繼母まゝはゝ)” の例文
新字:継母
の一のかはをがれたために可惜をしや、おはるむすめ繼母まゝはゝのために手酷てひど折檻せつかんけて、身投みなげをしたが、それのちこと
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして、自然がいつも繼母まゝはゝのやうに、きりつめた贈り物をするのに、それを忘れてその愛するこの人に、祖母のやうな惠みを與へたのだ。
父が後妻こうさいとし私がため繼母まゝはゝなりしも家は段々衰へて父は四年以前より苟且かりそめの病ひにて打臥うちふしたるが家の事打任うちまかせたる彼のお早どのは夫の病氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
行先ゆくさき何處いづこちゝなみだは一さわぎにゆめとやならん、つまじきは放蕩息子のらむすこつまじきは放蕩のら仕立したつ繼母まゝはゝぞかし。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
繼母まゝはゝのお春は、娘のお玉を殺したのは、姉のお粂に違ひないと思ひ込んでゐるんだ、お粂が氣をんで、お前の御機嫌を取結ぶのも、無理はないよ」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
イッポリートが無情邪險の繼母まゝはゝの爲にアテーネを去れるごとく、汝フィオレンツァを去らざるべからず 四六—四八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そして雨に濡れた汚い人家の燈火ともしびを眺めると、何處かに酒呑の亭主に撲られて泣く女房の聲や、繼母まゝはゝさいなまれる孤兒みなしごの悲鳴でも聞えはせぬかと一心に耳を聳てる。
花より雨に (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
默つて材木から顏を離して振り返ると、肩のあたりへ近々と、お駒の繼母まゝはゝのお仙が、連れ子の少し足りない定吉と一緒に、心配さうに立つて居るのでした。
一歩いちぶに、のかはをかれたために、最惜いとしや、おあき繼母まゝはゝには手酷てひど折檻せつかんける、垣根かきねそとしたで、晝中ひるなかおびいたわ、と村中むらぢう是沙汰これざたは、わかをんな堪忍たへしのばれるはぢではない。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おもふまゝをとほして離縁りゑんとならは太郎たらうには繼母まゝはゝせ、御兩親ごりようしんにはいままでの自慢じまんはなにはかにひくくさせまして、ひとおもはく、おとゝ行末ゆくすゑ、あゝ此身このみ一つのこゝろから出世しゆつせしんめずはならず
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
主人善兵衞の歎き、繼母まゝはゝお瀧のおどろきは申すまでもなく、第一、これ程嚴重にしても、四番目の娘をさらはれた——では少しばかり大きい口を利いてやつて來た、錢形平次の顏が立ちません。
此邸こゝ奧樣おくさまうもひとつた、繼母まゝはゝつたので平常つね我慢がまん大底たいていではなく、つもつて病死びやうしした可憐かわいさういづをとここと御座ござりますから、眞面目まじめかほであり/\をひましたを
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)