篦棒べらぼう)” の例文
「あの人は真面目むきだから怒るとこはいぜ。それに、今度のことぢや、若旦那、篦棒べらぼうなのぼせやうをして居なさるんだつて言ふからな。」
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
甲「出来んなら尚宜しい、さ出ろ、病身結構だ、広々した飛鳥山へ出て華々しく果合いをしなせえ、う了簡まかりならん、篦棒べらぼうめ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「おお呼んで見ろ、おお、呼んで貰おうじゃねえか。篦棒べらぼうめ、今じゃ扶持ふちに離れているおれ達三人、そんな事にビクついちゃいねえんだ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……ハッハッどうだい。わかるかね。シャフトの素晴らしさが。ウン。わかるだろう。コンナ篦棒べらぼうな苦心した機関長はタントいないだろうと思うがね。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「それにしても綺麗な花だなあ。見たことのねえ綺麗な花だ。焔が其尽凍ったような花だ。……おや、裏手へ廻りやァがる。へ、篦棒べらぼう! 負けるものか!」
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
篦棒べらぼう、さうだやつけえつらかぜとこあるけるもんぢやねえ」ぢいさんはむきにつていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それでもだくだく汗が流れるような篦棒べらぼうな暑中や、夜具みたいに綿の入った着物を何枚もしょい込んで、それでもがたがた胴ぶるいをしながら、水っ鼻をすすり込む寒中が島国的気候なら
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
「いつって、まだ一昨日おととい買ったばかりさ。篦棒べらぼうに高い金を出したものよ。」
此世界では斯る男性的な、率直な方法が、何の障碍こだわりも無く行われるので詐欺、放火、毒殺などの女性的な、迂曲まわりくどい方法は流行はやらぬ、此世界では良心や温情は罪悪である、正義や涙は篦棒べらぼうである。
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
篦棒べらぼうめ、イナゴもバッタも同じもんだ。第一先生を
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なんでえ篦棒べらぼうめ、己が柔和おとなしくして居るのだから文句なしに出すが当然あたりめえだ、手前等てめえらが此の村に居ると村がけがれらア、手前等を此処こけえ置くもんか篦棒め
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「……篦棒べらぼうめえ人道主義者だ……このまんま帰れあ死体遺棄罪じゃあねえか。不人情もいい加減にするがいい……手前てめえ等あタッタ今までその芸妓げいしゃを……」
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「領主とは何んだ、篦棒べらぼうめ! そっちが領主ならこっちも領主だ! 俺は『獣人』の酋長だからな。……麗人も糸瓜へちまもあるものか。同じ駒ヶ岳の住民じゃねえか」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
篦棒べらぼう以前めえかたのことなんぞ、外聞げえぶんりい、らなんざこんで隨分ずゐぶん無鐵砲がしよきなこたあしたが、こんでをんなにやれねえつちやつたから」とくび珠數じゆずいたぢいさんがそばでそれを呶鳴どなつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その後で彼は、チチコフにまで胡散くさそうな目を向けはじめた。どうも、相手のそんな篦棒べらぼうな太っ腹が本当らしく思われなくなったので、彼は肚の中で⦅こりゃ何とも分ったもんじゃないぞ。
篦棒べらぼうめえ。無代ただで呉れてやるから無代で博士になれ。その代り開業してから診察料を取ったら承知しねえぞ」
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
又「白痴たわけた奴だ、どうもそんな事を云って篦棒べらぼうめ、手前てめえどう云う訳で死人しびとだと云うのだ、失敬なことを云うな」
俺ら、山男というからにゃ、頭の髪が足まで垂れ、身長せいの高さが八尺もあって、鳴く声ぬえに似たりという、そういう奴だと思ってたんだが、篦棒べらぼうな話さ、ただの人間だあ
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「人間という動物は自惚うぬぼれと迷信で固まっているものだ」ぐらいの事はウスウス知っていないではなかったが、それにしてもコンナまで篦棒べらぼうなものであろうとは
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
なんだか変にゾッとして、不意に背後を振り返って見ると、篦棒べらぼうめ誰もいないってものさ。が、確かにいた筈だ。あの人がいたに相違ねえ。うん、そうだ、仮面の大将がな。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
金「馬鹿ア云え、そんな事が云えるものか、あの浪人は堅い男だ、毎朝板の間へ手を突いて、お早うと丁寧に厳格こつ/\した人だが、そんな篦棒べらぼうな事を頭を禿はげらかして云えるものか」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「何だ喧嘩だ。喧嘩なら持って来い。俺が相手になってやる。篦棒べらぼうめえ、誰だと思っていやがるんだ」
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
篦棒べらぼう……死ぬなんておどごとを云ったら、母親おふくろが魂消て置くべいかと思って、死ぬなんてえだ、死ぬと云った奴に是迄死んだためしはねえ、さたった今死ね、おれは義理さえ立てば
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「当城も糞もあるものか。へん篦棒べらぼうめ何が当城だ。当城の奴らはみんな誘拐者かどわかしだ!」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「よろしい……それじゃ話そう……イヤ。話が篦棒べらぼうに固苦しくなった。こっちへ来たまえ……」
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
やア是は篦棒べらぼうらしゅうございます、こりゃアきっと承りましょう、あんまりと云えば馬鹿々々しい、なんでげすか、金を借りて置きながら催促に来ると、切捨てゝもよいと仰しゃるか
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ナーンだ篦棒べらぼう、体のことか」源介は変に苦笑したが
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これはあんまり篦棒べらぼうな話で、多分、或るデモ主義者かゴロ付きの一人が思い付いてやった事を、市会議員の所業と結びつけた一片のうわさに過ぎないであろうが、それにしても
米「壱円弐拾銭あるのか、篦棒べらぼうらしい、商売だからお払いさえ下されば米は送ります」
土にじり付いても試験料をパクリ上げようという腹なんだからヒドイよ。そん時には流石さすがの僕も、思わずグッと来てしまったね。何しろ若かったもんだから……篦棒べらぼうめえ。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
勘「今明ける、戸がこわれるワ、篦棒べらぼうな、少し待ちな、えゝ仕様がねえ、さあ這入んな」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……妙な性分であっしは気が長い時にゃヤタラに長いんですが、何かの拍子にカーッとしちまうと、それから先が盲滅法めくらめっぽうに手ッ取り早いんで……篦棒べらぼうめえ日本人じゃねえか。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
離魂病りこんびょうなんかてえ病気があるもんか、篦棒べらぼうくせえこたア言わねえもんだ、大方支那の小説でも拾読ひろいよみしアがッて、高慢らしい顔しアがるんだろう、と仰しゃるお客様もありましょうが
身体からだは売っても心は売らぬ」という篦棒べらぼうなのが出て来るのもこの意義からであります。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
安さん何時でもいってえから安心して飲んで、酔って見ると気が強くならア、何んでえ篦棒べらぼうさむれえが何んでえという訳だ、外へ出て酒が醒めるとまた思出おめえだして怖くなるからまた飲み/\して
篦棒べらぼうめえ、キチガイだって腹は減るんだ。猿の出世したのが人間で、人間の立身したのがキチガイで、キチガイの上が神様なんだから、まだ全智全能とまでは行きかねる吾輩だ。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
勘「オイお嬢さん、其処そこにいなさったか、篦棒べらぼうに探がさせなせえした」
篦棒べらぼうめえ。十時半が早けあ六時頃は真夜中だろう。露西亜ロシアじゃあるめえし……」
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何だ篦棒べらぼうめえ己は弱虫で泣くのじゃアねえ此ん畜生……早く遣付やっつけて
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
抜ける抜けるとか何とかつまらねえ声を真夜中出しやがるんで……篦棒べらぼうめえ、抜ける程の別嬪と思ってやがるのか……ってんで、背中を一つドヤシ付けてやりましたらヤット正気付きましたがね。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
馬「ひゃア篦棒べらぼうに高い/\、もっと安いのは無いか、此方こっちのは」
篦棒べらぼうめえ。セント・ジョジったらアリュウシャン群島の奥じゃねえか」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
又「何を云うのだ、なんだ篦棒べらぼうめ、荷が臭いことが有るものか」
「当り前の事を云うな。篦棒べらぼうめえ。最初から結核だったのか、この犬は」
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
主人「篦棒べらぼうな……ういう了簡なら猶出せません」
何も御幣ごへいを担ぐんじゃありませんがね。そんな篦棒べらぼうな話がるかって反対もしてみたんですがね。今まであの小僧が乗った船が一艘残らず沈んだのが事実だったら、今度沈むのも事実に違いない。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
山「どうも師匠篦棒べらぼうだな」
「プッ……馬鹿にしちゃいけない。そんな篦棒べらぼうな話が……」
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そんな篦棒べらぼうな話があるものか……と云うんだろう。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
エエッ……コンナ篦棒べらぼうな……不公平な……。
キチガイ地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)