竹竿たけざを)” の例文
指さしたのは、お勝手寄の壁に立てかけた竹竿たけざをの切れつ端、六尺くらゐもあるのに、一尺程の曲つた横木を持つた十字形のものでした。
あみつたたか竹竿たけざをには鳥籠とりかごかゝつてました。そのなかにはをとりつてありまして、小鳥ことりむれそらとほたびこゑびました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
勘次かんじ百姓ひやくしやうもつとせはしいころの五ぐわつ病氣びやうきつた。かれくつわけた竹竿たけざをはしつてうまぎよしながら、毎日まいにちどろだらけになつて代掻しろかきをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
見る/\うち満月が木立こだちを離れるに従ひ河岸かはぎし夜露よつゆをあびた瓦屋根かはらやねや、水に湿れた棒杭ぼうぐひ満潮まんてうに流れ寄る石垣下いしがきした藻草もぐさのちぎれ、船の横腹よこはら竹竿たけざをなぞが、逸早いちはやく月の光を受けてあをく輝き出した。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
たか羽音はおとでもあるやうにうなつておとは、その竹竿たけざをにしたひと口端くちばたとがらせてプウ/\なに眞似まねをしてせたこゑでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其處そこには數本すうほん竹竿たけざをてられてあるのも同時どうじかれつた。かれぐにそれが鮭捕船さけとりぶねであることをつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
曲者——彦徳の源太は、かねて用意したらしい竹竿たけざをを手に取つて、井戸の上から覗きました。中の平次が這ひ上がらうとすれば、一氣に突き落すだけの事です。
そのうちに蝶々てふ/\とうさんの竹竿たけざをになやまされて、手傷てきずつたやうでしたが、まだそれでもげてかうとはしませんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
五百兩持出させた晩、竹竿たけざをで菊次郎をなぐり殺したが、五百兩といふ小判を持ち運ぶ工夫はない、お銀は舟は漕げないから、川に沈めて竿を立てて眼印めじるしにして置いたのだ。
らようまづぢや八九ねんなやんだんだが、へびでこすればえゝつちから、うめえこときいたとおもつてな、えけ青大將あをだいしやうぶらんとかきからぶらさがつたから竹竿たけざをおとすべとおもつたら
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「さう言へば二間位の竹竿たけざをを持つて居ましたよ。流を飛越す時も、それを使つた樣子で——」
「旦那、あの晩短刀を差し込んだ竹竿たけざをは何處にありました」
泥の中に突つ立つた握り太の竹竿たけざをが一本。