いはや)” の例文
汝まづ我をパルナーゾのかたにみちびきてそのいはやに水をむすぶをえしめ、後また我を照して神のみもとに向はしめたり 六四—六六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
出流いづるの觀音のいはやのある谷は狹い小さな峽谷だが、山巒が深く入り込んでゐるので、嵐氣が深い。窟はちよつと奇觀だ。
日光 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
又その歌ひ給ふところは皆君が上なるやうに聞きされたり、地下のいはやに迷ひ入りし少年と畫工とは、君とフエデリゴの君とに外ならず思はれたりといふ。
忘れもせぬこの三月、いはや詣での下向路げかうみち、桂谷の川上で、はじめて御目見得をいたしました。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
保安上ほあんじやう容易よういならぬ問題もんだいであるといふので(それにみだりに神社呼じんじやよばはりをこと法律はふりつゆるさぬところでもあるので)奉納ほうのう旗幟はたのぼり繪馬等ゑまとうてつせしめ、いはやから流出りうしゆつする汚水をすい酌取くみとるをきん
然ども鬼のいはや、鬼の首塚等の名あれば、好事者鬼といふより伊勢もの語にひきあてゝつけし名ならんか。三里御嶽駅。一里五丁伏見駅。太田川を渡り二里太田駅。芳野屋庄左衛門の家に宿す。熱甚。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
案内者いはく、御花圃はなはたけより(まへにいひたる所)別にみちありて竜岩窟りうがんくつといふ所あり、いはやの内に一条ひとすぢの清水ながれそのほとりに古銭多く、鰐口わにくち二ツ掛りありて神をまつる。むかしより如斯かくのごとしといひつたふ。
暗きうしほめぐる海のいはや
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
或は鎌倉のいはやに投じ
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鵜戸うどいはや
青い眼の人形 (新字新仮名) / 野口雨情(著)
我は灰となりいはやとなれるトロイアを見き、あゝイーリオンよ、かしこにみえし彫物ほりものかたちは汝のいかに低くせられ衰へたるやを示せるよ 六一—六三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
だいばんには大野氏おほのしはづだからとかんがへながら、なほいまいはや底部ていぶらしてやうとして、龕燈がんどう持直もちなほ途端とたんに、あし入口いりくちのくづれたる岩面いはづらんだので、ツル/\とあななかすべちた。
水を呑吐する大小のいはや許多あまたありて、中には波の返す毎に僅かに其天井をあらはすあり。こは彼妙音の女怪のすみかにして、草木繁茂せるカプリの島は唯だこれをおほへる屋上やねたるに過ぎざるにやあらん。
案内者いはく、御花圃はなはたけより(まへにいひたる所)別にみちありて竜岩窟りうがんくつといふ所あり、いはやの内に一条ひとすぢの清水ながれそのほとりに古銭多く、鰐口わにくち二ツ掛りありて神をまつる。むかしより如斯かくのごとしといひつたふ。
黄金こがねの外はいづこにもさけめ生じて涙したゝり、あつまりてかのいはやを穿ち 一一二—一一四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
發見はつけんしたのは、明治めいぢ四十ねんぐわつの四で、それは埋立工事うめたてこうじもちゐるために、やまつち土方どかた掘取ほりとらうとして、偶然ぐうぜん其怪窟そのくわいくつ掘當ほりあてたのであるが、いはやなかから人骨じんこつ武器ぶき玉類たまるゐ土器等どきなどたのでもつ