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破目
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はめ
ふりがな文庫
“
破目
(
はめ
)” の例文
ことに妊娠というようなことにでもなれば、抜き差しならぬ
破目
(
はめ
)
に陥ることがある。これは充分警戒しなければならぬことだ。
学生と生活:――恋愛――
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
私を此のような
破目
(
はめ
)
に追いこんだ何物かに、私は烈しい怒りを感じた。突然するどい哀感が、胸に湧き上った。何もかも、
徒労
(
とろう
)
ではないか。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
「どうすると言うて、逃がれぬ
破目
(
はめ
)
じゃ。」と、小坂部は再び嘆息した。「夜のあけぬ間に都を落つる。それよりほかに仕様はあるまい。」
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
こんな
破目
(
はめ
)
になることをちゃんと見抜いていたのだ。明智にはいつもこの手でやられるのだ。ボーイの合鍵でドアは開かれた。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
若し房一達の来るのがもう少し遅れたら、加藤巡査の報告もあやふやになり、署長はじめを現場へ案内せざるを得ない
破目
(
はめ
)
にもなつただらう。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
▼ もっと見る
身代を作るよりは減らす方が
上手
(
じょうず
)
で、養家の身代を少しも伸ばさなかったから、こういう
破目
(
はめ
)
となると自然淡島屋を遠ざかるのが当然であって
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ちょっと抜き
揷
(
さ
)
しならぬ
破目
(
はめ
)
になってしまったのも、私が最初からの茶屋を通して話を進めなかったことの手ぬかりを言うのであろうと思った。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
遂
(
つい
)
に、その刀を打ち折り、その
箭種
(
やだね
)
を
射尽
(
いつ
)
くされたとでも申しましょうか……どうしても自殺されなければならぬ
破目
(
はめ
)
に陥って来られたのです。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
で
踠
(
あが
)
けば
躓
(
つまづ
)
き、躓いては踠き、
揚句
(
あげく
)
に首も廻らぬ
破目
(
はめ
)
に押付けられて、
一夜
(
あるよ
)
頭拔
(
づぬ
)
けて大きな
血袋
(
ちぶくろ
)
を
麻繩
(
あさなわ
)
にブラ下げて、
脆
(
もろ
)
くも
冷
(
ひやツこ
)
い體となツて了ツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
そんな
破目
(
はめ
)
にある甚三郎を、悪く云うではないが、日頃からいやに君子ぶッて、
美
(
い
)
い男を鼻にかけ、
交際
(
つきあ
)
いはしない奴だから、誰も同情する者はない。
夏虫行燈
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中畑というのにも僕は一度あってるきりだし、世間さまに云わせたら、僕が君をなんとかしてケチをつけたい
破目
(
はめ
)
に居そうにみえるのではないかしら。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
結局のところ濠洲黄金狂時代の申し子であった巨船「グレート・イースタアン」が、結局のところ大西洋を——他人の
洋
(
うみ
)
を——稼がねばならん
破目
(
はめ
)
となった。
黒船前後
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
長屋の胴腹に穴をあけて造つたトンネル路地まで來ると、周三は、そこの
破目
(
はめ
)
に
凭
(
もた
)
れてしやがんでしまつた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
「だけど今じゃもう別れたくっても別れられない
破目
(
はめ
)
になっている。こんなことだったら、いつか別れかけたときに
一思
(
ひとおも
)
いに思い切ってしまえばよかった……」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
まごつくとワイアに、はね飛ばされねばならぬ
破目
(
はめ
)
になるのであった。おまけに鉤は一人で動かない、やつであった。従って作業がはなはだしく困難であった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「何方も拔き差しならねえ
破目
(
はめ
)
だ。仲間の仕來りは、こんな時には二
梃
(
てう
)
の匕首に物を言はせる外はねえ」
銭形平次捕物控:075 巾着切の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
隨分つかはせたあげくだが、その友人と共に店の格子さきに立ち、百圓の金がなければ免職される
破目
(
はめ
)
になつたから、どうかして呉れないかとの相談を持ち込んだ。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「御冗談でございましょう。お! 御冗談といえばもう一つその御婦人とやらでおなくなりなすったというのもあんまり
破目
(
はめ
)
をはずした御冗談じゃありませんかね」
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お座なりのお世辞がだんだん身を縛つてしまつて、ぬきさしの出来ない
破目
(
はめ
)
となつたのでもあらう。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
しかも私の女神はまだ怒っていたので、私が自身に出頭して謝罪しなければならない
破目
(
はめ
)
になった。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
それに、そんなものを書くことは、自分で自分を一層どうしようもない
破目
(
はめ
)
に
陥
(
おと
)
し入れるようなものであることにも気がついたのだ。「アドルフ」の例が考えられた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
あのお子が悪者の手にかかってお果てなされなければならない
破目
(
はめ
)
に
立到
(
たちいた
)
ったのを、色々苦心の末に、この山奥にお捨て申して、
律儀
(
りちぎ
)
な百姓の手に御養育いたさせたのだ。
三人の百姓
(新字新仮名)
/
秋田雨雀
(著)
……こんな事なら仲間に話し、遠巻きさせればよかったんだが、何が烏組と莫迦にしたので、とうとうこんな
破目
(
はめ
)
に落ち込んでしまった! どうにも
足掻
(
あが
)
きがつかないねえ。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ひょんな
破目
(
はめ
)
で、敵味方になったといってあんまり
辛
(
つら
)
く当るのも、泥棒仲間の、
仁義
(
じんぎ
)
道徳にかけるというもんだ——あれだって、茶碗ざけの一杯も、たまにはやりたいだろう。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
昔の
氣紛
(
きまぐ
)
れで(彼のやうな
性急
(
せつかち
)
な、我儘な性質のものにはよくある缺點だ)、彼が、弱點を掴まれてしまふやうな
破目
(
はめ
)
に落ち、今更、ふり拂ふことも、無視することも出來なくなつてゐて
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「古土タダアゲマス」屋根に書いて
破目
(
はめ
)
に打付けてあるその露地へ入って行った女は
白足袋
(
しろたび
)
の鼠色になった裏がすっかり見えるように
吾妻下駄
(
あずまげた
)
の上でひっくらかえす歩き方を繰り返して行く。
豆腐買い
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかし現在の葉子はたわいもなく敵を手もとまでもぐりこませてしまってただいらいらとあせるだけだった。そういう
破目
(
はめ
)
になると葉子は存外力のない自分であるのを知らねばならなかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
苦しい
破目
(
はめ
)
もあるというのは、一人の六十あまりになるおばアさんの人があって、このおばアさんの考えでは自分の身内の或る人を嫁に入れようとする。が銀行員の婿さんはその女は
厭
(
い
)
やなのだ。
白い光と上野の鐘
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
それは余儀ない
破目
(
はめ
)
から女優になったとはいえ、こうまでに成功してゆけば、どれからはいって歩んだとしても、道はひとつではないか、けれど、立脚地が違うゆえ、全生命を没頭しきれないで
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
彼女はわたしが殉道に身を投じてゆく
破目
(
はめ
)
になるのを知って、いかにも私に勇気づけるように、力強い頼みがいのある顔を見せました。その眼は詩のように、眼の動きは歌のように思われたのです。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
自分を保つすべがないやうな
破目
(
はめ
)
になります。
寒い夜の自我像
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
あの場面に出て来ないように……そうしてアンナ苦しい
破目
(
はめ
)
に陥らないように……もしくは回復しかけている私の頭を
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ここで自分がもろい涙を見せて、男の覚悟をにぶらせるような事があってはならない。
所詮
(
しょせん
)
こういう苦しい
破目
(
はめ
)
に落ちたのが男も自分も不運である。
心中浪華の春雨
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
併しながら今や
絶體絶命
(
ぜつたいぜつめい
)
の場合となつて、何方とも身の振方を付けなければならぬ
破目
(
はめ
)
に押付けられてゐる。で
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
が、其の吉村という人とそんな仲になって、それから何ういう
理由
(
わけ
)
で、その男を逃げ隠れをするようになったり、またお前が
斯様
(
こん
)
な処に来るような
破目
(
はめ
)
になったんだ?
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
初めからひそかに
咲耶子
(
さくやこ
)
を
救
(
すく
)
いだす
策略
(
さくりゃく
)
で来たのであるが、とちゅう、
馬糧小屋
(
まぐさごや
)
にふしぎな
煙
(
けむり
)
がもれていたため、その
疑惑
(
ぎわく
)
にひまどって、ついに、こういう
破目
(
はめ
)
になったのは
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてこれが私を、盗むことの余儀ない
破目
(
はめ
)
に
陥
(
おとしい
)
れた唯一の理由なのである。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
いかに同志のためとはいえ、いかに兵庫の頼みとはいえ、色仕掛けで萩丸を誘惑することなど、彼女としては不本意なのであったが、のっぴきならぬ
破目
(
はめ
)
となって、今実行しているのであった。
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
単に情痴ならばあのような
破目
(
はめ
)
に落ちずとも、少くとも彼ほどの男なら、もっと
悧口
(
りこう
)
に身を処することが出来る筈なのだ。もっと深い処で彼は身を賭けたに違いないのだ。しかしその
詳細
(
しょうさい
)
は判らない。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
今更それは嘘だとも云えない
破目
(
はめ
)
になって、よんどころなしに表へ出たが、もとより越前屋へ行くわけには行かない。
半七捕物帳:44 むらさき鯉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
全く立往生の姿にされてしまったらしい。……のみならずその
中
(
うち
)
にWは又、それ以上の手厳しい打撃を受けて、涙を呑んで退却しなければならぬ
破目
(
はめ
)
に陥った。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そのため、まもなく仁木、細川、今川、吉良などの味方を加えるには加えたが、鷺坂のふせぎもならず、またぞろ、駿州の手越河原まで敗退するの余儀ない
破目
(
はめ
)
になってしまった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何事もなければ仔細はないが、こういう事件が
出来
(
しゅったい
)
した以上、もう隠すにも隠されない
破目
(
はめ
)
になって、市之助は当然その
責
(
せめ
)
を負わなければならなかった。
半七捕物帳:14 山祝いの夜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
加うるに資金欠乏のために当座の仕事を中止せねばならぬ
破目
(
はめ
)
に陥りましたが、コンドルはこの時も前と同様に親切に妻の世話を致しまして、巨額の金を貸し与え
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
、是が非でも、わが
娘
(
こ
)
を成敗せねばならぬ
破目
(
はめ
)
に立たせてしまう
夕顔の門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「しかし唯者ではござりませぬ。時の
破目
(
はめ
)
で、こうして誘われては来たものの、
彼奴
(
あやつ
)
いよいよ不審と見ましたら斬って捨つるまでのことでござりまする。」
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いかに玉藻に口説かれても、千枝太郎は師匠の使命を果たさなければならない
破目
(
はめ
)
になっていた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
自然に伊勢屋の旦那の御機嫌を損じるような
破目
(
はめ
)
になって、その当座はちっと
縺
(
もつ
)
れたようでしたが、芸者をさせて置けばこそこんな事にもなるのだと云うので、この六月
半七捕物帳:67 薄雲の碁盤
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
実は八丁堀の旦那(同心)の
御新造
(
ごしんぞ
)
が産後ぶらぶらしていて、先月から箱根の湯本に行っているので、どうしても一度は見舞に行かなけりゃあならないような
破目
(
はめ
)
になって
半七捕物帳:14 山祝いの夜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お鉄は振り切って逃げて帰ろうとするのを、かれは腕ずくで引き留めたので、何事も主人のためと観念して、お鉄はなぶり殺しよりも辛い思いをしなければならない
破目
(
はめ
)
に陥った。
半七捕物帳:37 松茸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
破
常用漢字
小5
部首:⽯
10画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“破目”で始まる語句
破目板
破目山