「ふーム。そいつは相当な男だとみえる。しからばこちらからも、由々しい大物を大将として、討伐に向わせねばならんが……」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれどもたとえ、小銃の弾丸一発といえども、在るべからざるところに在り、発すべからざるところに発したのは、どうしても由々しき出来事といわねばならぬ。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
女魔と申すものはとかく美しきもの、御寵愛はさることながら、それゆえにお上ほどの御明君が、正邪のお目違い遊ばされたとあっては由々しき大事、只々御明察のほど願わしゅうござります……
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
女興行師のお角の残して行ったものは、田山白雲にとっては由々しき謎でありました。しかも本人が、謎とも、問題ともせずして、投げつけて行ったところが奇妙です。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
過ぐる十日というもの一度も見舞う事をせずにいて、今さらその由々しげな顔つきはなんだ。そう倉地にでも岡にでもいってやりたいほど葉子の心はとげとげしくなっていた。
ともかく今の瓦は面白味の全くないものです。こんな質と形との瓦でどんなに屋根を葺いても、もう美しい構造は現れては来ないのです。これは日本の建築にとって由々しき損失だと思われます。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はっ、宋憲はこれに」とかけ寄ると、曹操は何を見たか、いとも由々しく命じた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お体に怪我でもなければよいが、気の立っている武者たちに連れられて、御本陣まで曳かれて行ったとすれば、何しても、由々しい御心配。……この上は、南宗寺の和尚のお力にでも縋ってみるほかは、よい思案もあるまいが」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)