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甜
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な
ふりがな文庫
“
甜
(
な
)” の例文
それで
皆
(
みん
)
な
御免蒙
(
ごめんこうむ
)
って岡田より先へ食事を済ました。岡田はそれがこっちも勝手だといった風に、
独
(
ひと
)
り
膳
(
ぜん
)
を控えて
盃
(
さかずき
)
を
甜
(
な
)
め続けた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
然しこちらを
甜
(
な
)
めてかかつた相手に向つて正面から、返答するのも気の利かない話だから、目下頻りに考へ中でまだ手紙は投函しないのだ。
西東
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
で、試みに綱をさげると、その端がしっかりと湿ってくる。
甜
(
な
)
めると、それが海水の味。さすが折竹も、オロオロ声になって
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
片目の小さい、
始終
(
しよつちゆう
)
唇を
甜
(
な
)
め廻す癖のある、鼻の先に新聞記者がブラ下つてる様な
挙動
(
やうす
)
や物言ひをする、
可厭
(
いや
)
な男であつた。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
又、私の袖を引きますので
五月蠅
(
せから
)
しい奴と思うて振向きますと、大惣の奴、熱で黒くなった舌を
甜
(
な
)
めずりまわしております。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
仏教では、これを「愛見の大悲」といっておりますが、ほんとうの慈悲は、盲目的な愛、母牛が
仔牛
(
こうし
)
を
甜
(
な
)
めるような、そんな愛ではないのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
なにか仰しゃったようでごぜえますが、むずかしくって少しも分りませんが、
若
(
わけ
)
え殿様に水飴を
甜
(
な
)
めさせて、それから殿様にも甜めさせて、それを
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何だ、何だ、何だ、何だと?
掏摸
(
すり
)
だ、
盗賊
(
どろぼう
)
だと……クソを
啖
(
くら
)
え。ナニその、
胡麻和
(
ごまあえ
)
のような
汝
(
てめえ
)
が
面
(
つら
)
を
甜
(
な
)
めろい! さあ、どこに
私
(
わっし
)
が
汝
(
てめえ
)
の紙入を
掏
(
す
)
ったんだ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
障子をガラリと開けると、中は小さい居間、長火鉢の
銅壺
(
どうこ
)
に徳利を突っ込んで、
甜
(
な
)
め物を二つ三つ猫板に並べ、一人者の気楽に独酌をやっている真っ最中です。
銭形平次捕物控:068 辻斬綺談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これを
甜
(
な
)
めて
蝗
(
いなご
)
をたべてたとすれば
古
(
いにしえ
)
のユダヤの予言者は決して粗食だったとはいえないであろう。
胆石
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
書きかけては鉛筆を
甜
(
な
)
めながら眼をあげた。どのへんだか、何時頃だか判らなかった。ただ激しい風と
暗闇
(
くらやみ
)
を
衝
(
つ
)
いて
疾走
(
はし
)
りつづけている列車の
轟音
(
ごうおん
)
だけがきこえていた。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
そのとき一人の皇子がどうしたものでしたか、お
傍
(
そば
)
の者と別れて、独りで逃げ迷つていらつしやいました。風に
煽
(
あふ
)
られた火は
大蛇
(
だいじや
)
の舌のやうにペロリ/\とお軒先を
甜
(
な
)
めてまゐります。
拾うた冠
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
それから
愛
(
あい
)
ちやんは
菌
(
きのこ
)
を
甜
(
な
)
めて(
衣嚢
(
ポケツト
)
の
中
(
なか
)
に
有
(
あ
)
つたもう一
ト
片
(
かけ
)
の)
殆
(
ほと
)
んど一
尺
(
しやく
)
ばかりの
身長
(
せい
)
になつて、その
小
(
ちひ
)
さな
路
(
みち
)
を
下
(
くだ
)
つて
行
(
ゆ
)
き、
軈
(
やが
)
て——
愛
(
あい
)
ちやんは
遂
(
つひ
)
に
赫灼
(
かくしやく
)
として
目
(
め
)
も
綾
(
あや
)
なる
花壇
(
くわだん
)
や
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
と相手がいおうものなら、ドレゴは待ってましたという風に唇を
甜
(
な
)
めて
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
それに文化と云う奴が世の中を
甜
(
な
)
め廻して、2495
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
なに
甜
(
な
)
めた
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
コップもかうして握つて
甜
(
な
)
めりや、ラヂウム程度にスリへるだらうから、然し、握らねえで、甜めねえで飲むてえわけには行かねえだらうな。
金銭無情
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
小「何故
大地
(
ぢびた
)
を
甜
(
な
)
める、汚ならしい、
塵
(
ごみ
)
でも這入ってるといかないから止せ……御用の会符でも立って
居
(
お
)
るか見ろ」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その間も彼の目は、寝ているドドの背に置かれたマヌエラの手のうえを、まるで
甜
(
な
)
め廻すように
這
(
は
)
いずっているのだが、どうやらそれも、ただの酔いのせいではなさそうに思われてきた。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
二人は火鉢の
縁
(
ふち
)
に片手を
翳
(
かざ
)
したまま、ずっと離れた一人はそこに取り散らした新聞紙の上へ
甜
(
な
)
めるように顔を押し付けたまま、また最後の一人は彼の今腰をおろした長椅子の反対の隅に
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
長い舌がペロリと上唇を
甜
(
な
)
めました。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
このように要領のよい稲吉だから、心の中では兄弟子どもをことごとく
甜
(
な
)
めきッていた。オレは十八、お志乃は十九。別に奇妙な組み合わせではない。
明治開化 安吾捕物:17 その十六 家族は六人・目一ツ半
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
鐵「へえーお医者で、
私
(
わっち
)
どもはいけぞんぜえだもんだから、お医者と相宿になってると皆も気丈夫でごぜえます、
些
(
ちっ
)
とばかり
薄荷
(
はっか
)
があるなら
甜
(
な
)
めたいもんで」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
甜
(
な
)
めて見ると唇につうんと辛味を感じた。それでやっと分った。私は
砂川
(
サンド・リヴァ
)
から岩塩の層に落ちこんだのだ。地下水が岩塩を溶かしてつくる塩の洞窟だ。マヌエラ、あなたには想像もできまい。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「いえいえ、分るもんかね。やりかねない奴なんだよ。まるであたいのことなんか
甜
(
な
)
めきつてゐるんだから……」
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
紋「あゝ數馬が来たら何うか成るか、あゝ
逆上
(
のぼ
)
せて来た、折角お兄様から下すった水飴、
甜
(
な
)
めて見ようか」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ゴリラには、
憂鬱病
(
メランコリー
)
と
恐怖症
(
ホビー
)
が周期的にきて、その時期がいちばん狂暴になりやすいという。そして
苦悶
(
くもん
)
が
募
(
つの
)
って来て
堪
(
た
)
えられなくなると“
Hyraceum
(
ヒラセウム
)
”を
甜
(
な
)
めにきて緩和するというのだ。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その翌日から和尚は全く発狂して、やたらと女をペロペロ
甜
(
な
)
めたがり乍ら、間もなく黄泉の客となつた。と、そんな話を一夜龍然はぽつぽつと凡太に語つた。
黒谷村
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
貴方が御勘当になれば
私
(
わたくし
)
はあなたをベロ/\
甜
(
な
)
めますよ、あなたが御勘当になれば
揚屋町
(
あげやまち
)
の裏
辺
(
あたり
)
の小粋な処へ
世帯
(
しょたい
)
をお持たせ申して、私が仕送りをして御不自由はおさせ申しませんで
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ビール、酒が高すぎる、こゝのカストリも高すぎるてんで、みんなよそで飲んできて、こゝぢや、
甜
(
な
)
めてゐるばかりで、もつぱら女を口説いてますな。女で酒を
金銭無情
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
親類に成っちまって、お前の云うことは何んでも聞く、
頬辺
(
ほッぺた
)
でも
甜
(
な
)
めさせるから堪忍してくれろと
縋
(
すが
)
り附いて、機嫌を取って、花魁の御法事御供養をなさい、お金はかゝりますが、仕様が有りません
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は草鞋を履き、
裃
(
かみしも
)
のやうな古めかしい背広服に顔色の悪い丸顔を載せて、零れた人々を一人づつ
甜
(
な
)
めるやうな格巧をしながら、よろよろと彼を探し廻つてゐた。
黒谷村
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「私ね。あとで、男娼の手にすりかえさせようかと思ったんです。はじめの計画は、そうだったの。男娼はよろこぶわ。暗闇で先生に頬ずりしてよ。
甜
(
な
)
めるわよ」
街はふるさと
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
食べることはできないから
甜
(
な
)
めるだけでカンベンしてくれとたのんで、甜めて帰してもらいました。
明治開化 安吾捕物:13 その十二 愚妖
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
お前さんたちが甘えるッてことは、
甜
(
な
)
めるッてことなんだぜ。お前さんたちが甜めてるものが、ホンモノなのさ。そんなことは、お前さんたちには、わからねえやな。
街はふるさと
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
女と相愛の仲かと思えばそうらしくもなし、むしろ女に
甜
(
な
)
められきっているという風なんだね
日月様
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
一時にダビ所をつつみ、火勢あまって赤い舌は大地をたたき、
甜
(
な
)
めるように地面を走った。
明治開化 安吾捕物:16 その十五 赤罠
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
目から一寸五分ぐらゐのところへ押立てゝ
甜
(
な
)
めるやうに読む。試みにお札を数へさせると、やつぱり目のさき一寸五分のところへかざしてノゾキ眼鏡をいぢくるやうに数へる。
金銭無情
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
女は小量の紅茶をいたはるやうに飲んで口のまはりを
甜
(
な
)
めた。まぶしさうに笑つてゐる。
戦争と一人の女
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
ところが肥つた女は駄夫に優越を感じて
甜
(
な
)
めきつてゐるものだから、その都度「ふん」とか、なんだい青二才めといふやうに、何かしら駄夫へ対する軽蔑を仄めかしてみせるのである。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「この匿名を読んでごらん。拍子抜けがするだらう。一人前の字ぢやないんだね。張合がなくて、
甜
(
な
)
められたやうな、なさけない気持にならないかね。だから、君、読者をみんな悩ましてやるのさ」
新作いろは加留多
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
こういふ有様の日本軍なら明の援軍を待つまでもない、俺の力でも間に合ふだらう、と唐突に気が強くなり頭から
甜
(
な
)
めてきた。そこで行長の交渉に返答すらも与へず、返事の代りに突然全軍逆襲した。
二流の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
甜
(
な
)
めたこともないくせに、大きなことを言いだした。
現代忍術伝
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
甜
漢検準1級
部首:⽢
11画
“甜”を含む語句
甜瓜
甜菜
凍甜菜
清潤甜茶
甜漿
甜白檮
甜菜スープ
舌甜
酸甜
黒甜瑣語
黒甜郷
黒甜郷裡