“犒:ねぎら” の例文
“犒:ねぎら”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治17
折口信夫3
野村胡堂3
岡本かの子3
徳田秋声2
“犒:ねぎら”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > スポーツ・体育 > 戸外レクリエーション2.9%
歴史 > 地理・地誌・紀行 > 日本2.3%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
茶道具を運んで来た主婦はそれを傍において、改めてていねいに客を招じ入れた。挨拶あいさつをしながらねぎらうのであった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
旧藩閥の明治の功傑たちは、新政府に従順だつた幕府方の旧権臣の家門をねぎらふ意味から、その後嗣者を官吏として取り立てた。
過去世 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
それは多くの農夫の為に、一日の疲労つかれねぎらふやうにも、楽しい休息やすみうながすやうにも聞える。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
三日ばかりそこで休養してから、厚くねぎらってテンバを帰し、六貫目ばかりになった荷を背負ってトルボ・セーのほうへ歩きだした。
新西遊記 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
金五郎も、自宅に、「六ゾロの源」をはじめ、十人あまりの仲間を招いた。すき焼で、ささやかなねぎらいの宴を張った。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「第一夜からして、あの勢いでは頼もしくはあるが、一言その労をねぎらう言葉だけでも贈ってやりたいものだな。」
吊籠と月光と (新字新仮名) / 牧野信一(著)
後ろを振りむくと、青緑色の山の額や肩や腰が、深い雲霧の隙をぬすんで私達の足の疲れをねぎらつてくれる。
霧ヶ峰から鷲ヶ峰へ (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
何をねぎらわれているのか、彼らには自覚がなかった。故に秀吉は、銚子を下に置くと、それを歯痒はがゆがって、さとすのであった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
郎女は、久しぶりでにっこりした。労をねぎらうと共に、考えの足らぬのを憐むようである。刀自は、驚いて姫のことばき止めた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
もう行く先は眼の下に見えていますので、私たちは案内者の老人をねぎらい、私たちが徒歩で出発した箕輪の駅へ、こゝから帰してやりました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
人を戒めてもねぎらうても、其ことばつきには、おのれを叱り、我を愛しむ心とおなじ心持ちが感じられる。
それから盛長に、大儀であった、休むがよいと、ねぎらって、自身は、時政やその他の将を集めて評議し始めた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
多くの同朋衆は、手分けして、各詰所の小部屋で、一筅いっせんをそそぎ、茶をけんじ、香をくんじて、ねぎらいをたすけていた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
麦を蒔く野良の寒さを想いやって、帰って来たらこれをねぎらうべく葱汁を拵えた、という風にも解せられる。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
政子は、聞いているうちから、涙があふれて——天佑に感謝する気もちと歓びにいっぱいになって——於萱の労をねぎらってやることばすら出なかった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、ありがとう御座いました」と警部は戸浪三四郎の質問には答えないで、彼の労をねぎらった。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
子刻こゝのつ(十二時)近くまで飛び廻る子分に對してそれは平次のさゝやかなねぎらひ心でした。
私たちの仕事の終るのを見ていた祖母は、えらい労でもねぎらうように「御苦労さん。」と云った。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
民部は、浅野家の家来たちをねぎらってすぐ帰った。彼を送って出た奥田孫太夫は、老年なので、
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
用意に残りの米を与えその労をねぎらって、急ぎ足に遠ざかり行く後姿を暫く見送った。
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
綱利つなとしは彼の槍術を賞しながら、この勝負があったのちは、はなはだ不興気ふきょうげな顔をしたまま、一言いちごんも彼をねぎらわなかった。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
冬ごもり時しも、旨飯を水にかもみなし客をねぎらう待酒の新酒の味はよろしかった。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
と、肚の虫がいいたいこととはあべこべに、そういって、彼をねぎらいなどしてしまった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、秀吉は、信長の書を、自身のふところに奉じ、それから使いの労をねぎらった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日々の労苦をねぎらう音楽として、モーツァルトの作品以上のものはあり得ない。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
それらの人をねぎらうために、台所で酒の下物さかなの支度などをしていた母親と、姉はしばらく水口のところで立話をしてから、お島のところへ戻って来たのであった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「いや、よく気がつかれた」と、忠左衛門は相手の労をねぎらうように言った。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
彼はしきりに将士へ温顔をふりいた。とりわけ池田、高山、堀、堀尾などの面々へは、いんぎんに過ぎるほど、ていねいな会釈えしゃくを与え、ねぎらいの意を示した。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当然のこととして、家康はそうねぎらったのである。——が、強右衛門は、
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、きょうはもう暇を告げる考えでいたが、それをねぎらう心か、信長が、
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここまで聞いてから信長ははじめて、彼の労に一言のねぎらいをいった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしが湯に入っていると、各所の停車場へわたくしを捉える張番に行ってたらしい近所の出入りの若者たちがぽつ/\戻って来て、嘉六にねぎらわれ御祝儀包を貰って帰って行きました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
奧の方は島五六郎と主人の千本金之丞、次の間では川前市助、お勝手では錢形平次と八五郎、若黨の丑松に隣りの伜又吉、それぞれほぐれない心持で、兎も角もねぎらひの杯を重ねたのでした。
「まだ戦いの後、将士にねぎらいのことばもかけてっておりませぬ。信長ひとり、大宴のぜいに飽いては、何やら心がすまぬ心地——おあずけしておきましょう。再度、出仕の折に」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは秀吉が亭主となって、自身、四使へのねぎらいであった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「使者に、酒を与えろ。大いにねぎらってつかわそう」
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藤吉郎を、その新城に見ると、信長は労をねぎらって、
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
千秋万歳、御名誉なことであるというねぎらいだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はかりごとは密なるをたっとぶとはこのことだ、孔明や楠だからといって、なにもそんなに他人がましくするには及ばねえ、さあ、ならず者、これから大いに師をねぎらってやるから庭へ下りろ」
と、まるで自分のことのようにねぎらいながら、
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
使いをねぎらって、承諾の返辞を持たせ帰した。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殿下は「石塚が七時間は懸るというたので、如何かと思ったが、案外成績がよかった」とお喜びになり、一同をおねぎらいになって、頂上から少し西に寄った草原にお腰をおろされ、二十分許りお休みになった。
燕師いよ/\東昌に至るに及んで、盛庸、鉄鉉うしを宰して将士をねぎらい、義をとなえ衆を励まし、東昌の府城を背にして陣し、ひそかに火器毒弩どくどつらねて、しゅくとして敵を待ったり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「そうとも、ねぎらわなくッちゃ」
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
殺人鬼山本始が自殺してから数日後のある夜、警視庁の刑事部長は、捜査課長や中村係長の進言をれて、この大犯罪事件の終焉を祝し、並々ならぬ労苦をめた民間探偵宗像博士をねぎらう意味の小宴を催した。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
と、ねぎらった。そしてすぐ、
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、初めて彼をねぎらった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬子の労をねぎらって、
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、ねぎらった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一昨日をとゝひの晩は、内儀の心盡しでねぎらひの酒が出て、島五六郎はほろ醉機嫌で宵のうちに指ヶ谷町の自宅に歸つたが、後には用人川前市助が殘つて、主人千本金之丞と共に、床の間に据ゑた品々を、夜つぴて嚴重に見張つて居たといふのでした。
それが朦として、膜として血管に残り、脳枢部を刺激して、不思議な記憶の花模様を全身にりつけてくると人は鬼狐きこの如くこの感覚一点に繋がれて、又昨日の魚を思ひ、ねぎらひ、たわみ、迷うて、再び河海を遊弋ゆうよくするやうになる。
魚美人 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
「風邪でせっておるといっておけ。——しかし、ていねいにねぎらえよ。粗相にはするな。よろしいか。西の屋の客殿に請じ、酒肴をさしあげて、よくわけを申せ。秀郷はお会い申したく思うておるが、何せい老齢ではあり、この寒気。深く寝屋に閉じ籠っておりますれば……と」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此が、日本紀にある当世詞人(崇峻紀)や、斉明天皇の御製を伝誦したとある——実は代表者——歌人(孝徳紀)や、天智の亡妃を悼む心を代作した詞人(孝徳紀)や、万葉巻一の夫帝の山幸をねぎらふ歌を後の皇極帝の為に、代つてもたらした——実は代作——との理会の下に、姓名なども伝つた人のある訣である。
そんなことより寧ろ、その時お信さんから受けた直接の印象——私にいろ/\と身の上のことなど尋ねて、まるで姉が奉公に出てゐる弟でも慰撫するやうに、優しくいたはりねぎらつてくれたお信さんその人に、何となく、情愛に富んだ、人間的な温いものを感じて、それに一層心を動かされ、且つ引きつけられもしたのだつた。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)