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水音
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みづおと
洗ふ
水音滔々として其の夜は
殊に一
天俄かに
掻曇り
宛然墨を
流すに似て
礫の如き
雨はばら/\と降來る
折柄三更を
「
沈んだ
船——」と、
思はず
私が
聲を
掛けた。
隙も
無しに、
陰氣な
水音が、だぶん、と
響いた……
名も
月の
輪のおくまとは、
食ひ
詰者と
白浪の深き
企みに
当りしは
後の話の
種ヶ
島、
危ないことで……(ドン/\/\/\
激しき
水音)あつたよなア——これでまづ
今晩はこれぎり——。
折も
折、
愛ちやんは
少しく
離れて
池の
中で
何かゞ
水音を
立てゝるのを
聞きつけ
何だらうかと
思ひつゝ
傍へ/\と
泳いで
行きました。
初め
愛ちやんは、それが
海象か
河馬に
違ひないと
思ひました。
極めて
狭い
溝板の上を通行の人は
互に身を
斜めに
捻向けて
行き
交ふ。
稽古の
三味線に人の
話声が
交つて
聞える。
洗物する
水音も
聞える。赤い
腰巻に
裾をまくつた
小女が
草箒で
溝板の上を
掃いてゐる。
雨樋からはぽとりぽとりと
絶え
絶えに落つる
水音
尋る中
彌生の空も十九日
子待の月の
稍出て
朧ながらに差かゝる
堤の
柳戰々と
吹亂れしも物
寂寞水音高き大井川の此方の
岡へ來
掛るに何やらん二
疋の犬が
爭ひ居しが安五郎を見ると
齊しく
咥へし物を