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みづおと
折も
折、
愛ちやんは
少しく
離れて
池の
中で
何かゞ
水音を
立てゝるのを
聞きつけ
何だらうかと
思ひつゝ
傍へ/\と
泳いで
行きました。
初め
愛ちやんは、それが
海象か
河馬に
違ひないと
思ひました。
極めて
狭い
溝板の上を通行の人は
互に身を
斜めに
捻向けて
行き
交ふ。
稽古の
三味線に人の
話声が
交つて
聞える。
洗物する
水音も
聞える。赤い
腰巻に
裾をまくつた
小女が
草箒で
溝板の上を
掃いてゐる。
雨樋からはぽとりぽとりと
絶え
絶えに落つる
水音