楽園らくえん)” の例文
旧字:樂園
「もうこんなみじめな下界げかいには一こくもいたくない。」といって、いもうとはふたたびはとの姿すがたとなって、天上てんじょう楽園らくえんかえってしまったのです。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところが、鳥たちのほうでは、ここをほんとうの楽園らくえんとでも思いこんでいるようすです。カモや灰色はいいろガンは、草地でさかんに草をたべています。
ながく水流中に在りし冷気れいき露営ろえい寒気かんきあはせ来るにひ、此好温泉塲をはじめて蘇生そせいするのおもひあり、一行の内終夜温泉に浴してねむりし者多し、しんに山中の楽園らくえんと謂ふべし
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
ローズ・ブノワさんは、その楽園らくえんにある花の名前なまえ全部ぜんぶと、その方舟はこぶねっていたけものの名前を全部っています。それから、ジャンセエニュ先生せんせいと同じ数だけのお伽話とぎばなしを知っています。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
焦熱しょうねつ地獄じごくのような工場の八時間は、僕のような変質者にとって、むしろ快い楽園らくえんであった。焼け鉄のっぱい匂いにも、機械油の腐りかかった悪臭にも、僕は甘美かんびな興奮をそそられるのであった。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こうして亜弗利加の沙漠の中に楽園らくえんが出来たのでございます。
今朝けさのここは楽園らくえんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みんなは自分じぶんたちがいきれぬほど収穫しゅうかくのあるのをよろこんでいます。そのさまは、とてもこの天国てんごく楽園らくえんさまどころではありません。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
もしも天上に国があるとすれば、それもやっぱりこんなふうに青いにちがいありません。ニールスは、楽園らくえんというところがどんなふうか、おぼろげながらわかったような気がしました。
反対はんたいに、聖書せいしょのお話は大変たいへんよく知っています。ジャンセエニュ先生せんせい生徒せいとのうちでも、地上ちじょう楽園らくえんとノアの方舟はこぶねことをローズ・ブノワさんのように上手じょうずにお話しできる生徒せいとは一人もいません。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
東雲しののめ空色そらいろのような、また平和へいわ空色そらいろのような、うすあかいろ着物きものをきた少女しょうじょが、この楽園らくえんあるいていたのです。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてテーブルのうえには、いろいろのはなみだれているばかりでなく、桃色ももいろのランプのほか緑色みどりいろのランプがともって、楽園らくえんにきたようなかんじがしたのであります。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ねん、十ねんのちには、りっぱな楽園らくえんとなるでしょう。果物くだものは、いまでも、みんなのべきれぬほどみのっています。うみからはさかなれますし、また、やまにゆけば温泉おんせんがわいています。
花咲く島の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おれたちにもふるさとがあるんだぜ! それは、南洋なんようしまにある楽園らくえんだ!」
花咲く島の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それで、その庭園ていえんをふるさとときめて、おもしては、そこにかえるのです。それは、気候きこうのいいところで、果物くだものもたくさんあれば、やまには、温泉おんせんもわきています。まるで、この楽園らくえんです。
花咲く島の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)