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業火
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ごうか
ふりがな文庫
“
業火
(
ごうか
)” の例文
千恵は今こそはつきりさう申します。姉さまはあの
業火
(
ごうか
)
のなかで亡くなつたのです。どうぞ母さまもさう信じてくださいますやうに!
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
いかに
業火
(
ごうか
)
のちまたでも、修羅の戦場でも、その間から鶏が聞え出せば占めたものだ。鶏の声は、暁と、平和のほかには響かない。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
持つべきものは友達だ、あの書状がなかったら、わしはまだ児島の城の
業火
(
ごうか
)
の中に、みすみす昼夜の
苦患
(
くげん
)
にわずらっていたかも知れぬ。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あせればあせるほど、彼の
道心
(
どうしん
)
をとろかすような強い強い
業火
(
ごうか
)
は胸いっぱいに燃え拡がって、玉藻のすがたは阿闍梨の眼先きを離れなかった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ただ、専念に
祈祷
(
おらしょ
)
を
唱
(
とな
)
え、DS の御徳にすがり奉って、万一「いんへるの」の
業火
(
ごうか
)
に焼かるる事を免るべし」と。
るしへる
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
物をあつめてよろこぶ人が、一つことに気をつめた末、往々にして捉われる
迷執
(
めいしゅう
)
である。
業火
(
ごうか
)
である。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
母親から受け継いだ
呪咀
(
じゅそ
)
の血が、醜い肉体の中で、地獄の
業火
(
ごうか
)
に湧きたぎった。それからの十幾年、彼女は
最早
(
もはや
)
人間ではなかった。鬼であった。呪いの化身であった。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
まことに此の時、桔梗の方も、則重も、武州公も、不思議な悪因縁に繋がれたまゝ
業火
(
ごうか
)
の
渦
(
うず
)
に
捲
(
ま
)
き込まれてしまったら、三人ながら却って幸福であったかも知れない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
(黒髪のその
呪詛
(
のろい
)
の火を払い消さんとするや、かえって青き火、幣に移りて、めらめらと燃上り、心火と
業火
(
ごうか
)
と、もの
凄
(
すご
)
く
立累
(
たちかさな
)
る)やあ、消せ、消せ、
悪火
(
あくび
)
を消せ、悪火を消せ。ええ、
埒
(
らち
)
あかぬ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
当時
(
とうじ
)
の
私
(
わたくし
)
どもの
胸
(
むね
)
には
正
(
まさ
)
に
修羅
(
しゅら
)
の
業火
(
ごうか
)
が
炎々
(
えんえん
)
と
燃
(
も
)
えて
居
(
お
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
まあ、こん度は一滴の
業火
(
ごうか
)
で済みました。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
従って、乱が
兆
(
きざ
)
すと忽ち
業火
(
ごうか
)
と
掠奪
(
りゃくだつ
)
のうき目にあい、この世ばかりか、その追及は、地下百尺まで追いかけてゆくじゃあないか。
人間山水図巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここに心あって吹く
業火
(
ごうか
)
でもあるかのように、一時に襲い来った風のために、弁信の
纏
(
まと
)
うていた黒の
法衣
(
ころも
)
を吹きめくられて、
白衣
(
びゃくえ
)
の裾が現われてしまいました。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
たとい
今生
(
こんじょう
)
では、いかなる
栄華
(
えいが
)
を極めようとも、天上皇帝の
御教
(
みおしえ
)
に
悖
(
もと
)
るものは、一旦
命終
(
めいしゅう
)
の時に及んで、たちまち
阿鼻叫喚
(
あびきょうかん
)
の地獄に
堕
(
お
)
ち、不断の
業火
(
ごうか
)
に皮肉を焼かれて、
尽未来
(
じんみらい
)
まで吠え居ろうぞ。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何百年、何千年、今夜のような
業火
(
ごうか
)
をくり返して、ここの土が、ほんとに、禍いなく安楽に住める土になることやら? ……。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
古来、
入道清盛
(
にゅうどうきよもり
)
をはじめ、幾多の例をみても、
仏舎
(
ぶっしゃ
)
霊閣
(
れいかく
)
を
業火
(
ごうか
)
として、僧徒を
殺戮
(
さつりく
)
した者に、よい終りをとげた者はありません
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かくて私の処女作は世間へ出ずに製本されたまま社屋とともに焼けてしまった。わたくしの出発にとっては意義のあるまた有難い
業火
(
ごうか
)
であった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
百霊の
痛恨
(
つうこん
)
は思いやられる。悲惨はいうもおろかである。さはいえまた、
極
(
きわ
)
まりなく美しい生命の
業火
(
ごうか
)
よとも仰がれた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひとたび、山を追われて、今の
修羅
(
しゅら
)
の世に出て、あの
雄叫
(
おたけ
)
びを聞いたなら、おそらく、彼は、源
義朝
(
よしとも
)
の
嫡男
(
ちゃくなん
)
たちと共に、
業火
(
ごうか
)
の下に、
鉄弓
(
てっきゅう
)
もしごく男となろう
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
北ノ庄の
業火
(
ごうか
)
が世に生みのこした名花だという人もあり、織田どのの由来美人系の血をひかれて、母君のお市の御方にも増してお美しいとほめ
称
(
たた
)
える者もある。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戦いまた戦い、
業火
(
ごうか
)
と人の
相剋
(
そうこく
)
はなお
歇
(
や
)
まずといえ、乱れれば乱れるほど、濁れば濁るほど、おたがい人間は、この地上を
獣
(
けもの
)
のものと化し去ってはならんのだ。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つねの遊山なれば、そうありたいが、きょうの
山詣
(
やまもう
)
では、飽くまで往年の
業火
(
ごうか
)
のあとを弔い、無数の白骨に一片の
回向
(
えこう
)
をもせばやと思う
菩提
(
ぼだい
)
の心にほかならない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さしもの安土城もいくばくもなくまたあのような
業火
(
ごうか
)
にくるまれ、信長一門のさいごこそ地獄絵巻の一図にもありそうだった。
女童
(
めわらべ
)
たちの逃げ
惑
(
まど
)
うたさまも思いやられる。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
間髪
(
かんはつ
)
には、ふたりの
頭脳
(
あたま
)
に、助かッたぞッ——という
歓呼
(
かんこ
)
があがったであろうが、結果は同じことだった。ただ
業火
(
ごうか
)
の
地獄
(
じごく
)
から八
寒
(
かん
)
地獄
(
じごく
)
へ
位置
(
いち
)
を
代
(
か
)
えたにすぎなかった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
腐
(
す
)
えたる国の
自壊
(
じかい
)
が始まったのである。年を越えて、ことし弘治二年の四月、浅ましき父子の合戦は、
岐阜
(
ぎふ
)
の里、
長良川
(
ながらがわ
)
の
畔
(
ほとり
)
を、
業火
(
ごうか
)
の炎と、血みどろの
巷
(
ちまた
)
にして闘い合った。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふたりの
命
(
いのち
)
も早やあきらめなければなるまい。
噴
(
ふ
)
きあがった
業火
(
ごうか
)
はふたりの
無益
(
むえき
)
な
努力
(
どりょく
)
をあざわらうもののごとく、ずッしりと黒く
焦
(
こ
)
げたワラ山から小屋の
羽目板
(
はめいた
)
をなめずりまわしている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今は
施
(
ほどこ
)
すすべもない。なにをかえりみているいとまもない。
業火
(
ごうか
)
と
叫喚
(
きょうかん
)
と。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“業火”の意味
《名詞》
(仏教)悪業が身を滅ぼすことを譬えた地獄の猛火。
(出典:Wiktionary)
業
常用漢字
小3
部首:⽊
13画
火
常用漢字
小1
部首:⽕
4画
“業”で始まる語句
業
業腹
業平
業物
業病
業平橋
業因
業々
業突張
業刀