“業火:ごうか” の例文
“業火:ごうか”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治9
浅野和三郎1
神西清1
芥川竜之介1
谷崎潤一郎1
“業火:ごうか”を含む作品のジャンル比率
文学 > ドイツ文学 > 戯曲25.0%
哲学 > 心理学 > 超心理学・心霊研究4.5%
文学 > 日本文学 > 戯曲0.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
さしもの安土城もいくばくもなくまたあのような業火ごうかにくるまれ、信長一門のさいごこそ地獄絵巻の一図にもありそうだった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当時とうじわたくしどものむねにはまさ修羅しゅら業火ごうか炎々えんえんえてりました。
物をあつめてよろこぶ人が、一つことに気をつめた末、往々にして捉われる迷執めいしゅうである。業火ごうかである。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
百霊の痛恨つうこんは思いやられる。悲惨はいうもおろかである。さはいえまた、きわまりなく美しい生命の業火ごうかよとも仰がれた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
従って、乱がきざすと忽ち業火ごうか掠奪りゃくだつのうき目にあい、この世ばかりか、その追及は、地下百尺まで追いかけてゆくじゃあないか。
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今はほどこすすべもない。なにをかえりみているいとまもない。業火ごうか叫喚きょうかんと。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ業火ごうか地獄じごくから八かん地獄じごく位置いちえたにすぎなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あせればあせるほど、彼の道心どうしんをとろかすような強い強い業火ごうかは胸いっぱいに燃え拡がって、玉藻のすがたは阿闍梨の眼先きを離れなかった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
北ノ庄の業火ごうかが世に生みのこした名花だという人もあり、織田どのの由来美人系の血をひかれて、母君のお市の御方にも増してお美しいとほめたたえる者もある。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年を越えて、ことし弘治二年の四月、浅ましき父子の合戦は、岐阜ぎふの里、長良川ながらがわほとりを、業火ごうかの炎と、血みどろのちまたにして闘い合った。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まことに此の時、桔梗の方も、則重も、武州公も、不思議な悪因縁に繋がれたまゝ業火ごうかうずき込まれてしまったら、三人ながら却って幸福であったかも知れない。
きあがった業火ごうかはふたりの無益むえき努力どりょくをあざわらうもののごとく、ずッしりと黒くげたワラ山から小屋の羽目板はめいたをなめずりまわしている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はやりきった馬はまだ血気が下りきるまいが、鶏は平和だ。いかに業火ごうかのちまたでも、修羅の戦場でも、その間から鶏が聞え出せば占めたものだ。鶏の声は、暁と、平和のほかには響かない。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
姉さまはあの業火ごうかのなかで亡くなつたのです。
死児変相 (新字旧仮名) / 神西清(著)
まあ、こん度は一滴の業火ごうかで済みました。
(黒髪のその呪詛のろいの火を払い消さんとするや、かえって青き火、幣に移りて、めらめらと燃上り、心火と業火ごうかと、ものすご立累たちかさなる)やあ、消せ、消せ、悪火あくびを消せ、悪火を消せ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうでなくても火事場は風の多いものを、ここに心あって吹く業火ごうかでもあるかのように、一時に襲い来った風のために、弁信のまとうていた黒の法衣ころもを吹きめくられて、白衣びゃくえの裾が現われてしまいました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ああ長い年月だった。また、短いつかの間の夢でもあった。空の星だけは、何も知らぬげに、悠久と、またたいていることよ。——何百年、何千年、今夜のような業火ごうかをくり返して、ここの土が、ほんとに、禍いなく安楽に住める土になることやら? ……。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「は、は、は。つねの遊山なれば、そうありたいが、きょうの山詣やまもうでは、飽くまで往年の業火ごうかのあとを弔い、無数の白骨に一片の回向えこうをもせばやと思う菩提ぼだいの心にほかならない。——酒壺珍味しゅこちんみをさげて登ってはすむまいが」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとい今生こんじょうでは、いかなる栄華えいがを極めようとも、天上皇帝の御教みおしえもとるものは、一旦命終めいしゅうの時に及んで、たちまち阿鼻叫喚あびきょうかんの地獄にち、不断の業火ごうかに皮肉を焼かれて、尽未来じんみらいまで吠え居ろうぞ。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「何で立ちましょうや。生きてわが殿の狂気沙汰を見、君家の滅亡に会うよりは、死をもっておさまたつかまつります。——古来、入道清盛にゅうどうきよもりをはじめ、幾多の例をみても、仏舎ぶっしゃ霊閣れいかく業火ごうかとして、僧徒を殺戮さつりくした者に、よい終りをとげた者はありません」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
怒れッ、いきどおれッ。自分にたいして。——聞けよ摂津守。もし人の世が道徳の美と信義を失ったら、地上はけものの地上ではないか。戦いまた戦い、業火ごうかと人の相剋そうこくはなおまずといえ、乱れれば乱れるほど、濁れば濁るほど、おたがい人間は、この地上をけもののものと化し去ってはならんのだ。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)