こゞ)” の例文
宗助そうすけ外套ぐわいたうがずに、うへからこゞんで、すう/\いふ御米およね寐息ねいきをしばらくいてゐた。御米およね容易よういめさうにもえなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
黄ばんだ銀杏いてふの樹の下に腰をこゞめ乍ら、余念もなく落葉を掃いて居たのは、寺男の庄太。『瀬川君は居りますか。』と言はれて、馬鹿丁寧な挨拶。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其日そのひかぜが強くいた。かつくるしさうに、まへほうこゞんでけた。つてゐた代助は、二重のあたまがぐる/\回転するほど、かぜに吹かれた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とうさんがそのちいさなむらさきいろのはなまへ自分じぶん草履ざうりひもむすばうとしてりますと、伯父をぢさんはとうさんのそばて、こしこゞめて手傳てつだつてれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
貴方々々あなた/\」と宗助そうすけ枕元まくらもとこゞみながらんだ。其時そのときをつとはもういびきをかいてゐなかつた。けれども、もととほふかねむりから呼吸いきつゞけてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
丑松も叔父に導かれ、すこし腰をこゞめ、薄暗い蝋燭らふそくの灯影に是世の最後の別離わかれを告げた。見れば父は孤独な牧夫の生涯を終つて、牧場の土深く横はる時を待つかのやう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
がらうとする拍子ひやうしに、小六ころくてた下駄げたうへへ、かずにあしせた。こゞんで位置ゐち調とゝのへてゐるところ小六ころくた。臺所だいどころはうで、御米およね
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さうかうする中に、聴衆は最早もう悉皆すつかり帰つて了ふ。急に本堂の内は寂しく成る。若僧や子坊主は多忙いそがしさうに後片付。庄馬鹿は腰をこゞめ乍ら、畳の上の賽銭を掻集めて歩いた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ありでもきましたか」と門野かどのが玄関の方からた。はかま穿いてゐる。代助はこゞんだ儘顔をげた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
は大きな花のうへに落ちてゐる。代助はこゞんで、花のなかのぞき込んだ。やがて、ひよろ長い雄ずゐいたゞきから、花粉くわふんを取つて、雌蕊しずゐさきへ持つてて、丹念たんねんけた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)