暹羅シャム)” の例文
ツイ昨年易簀えきさくした洋画界の羅馬ローマ法王たる黒田清輝くろだせいき好事こうずの聞え高い前の暹羅シャム公使の松方正作まつかたしょうさくの如きもまた早くから椿岳を蒐集していた。
もっとも、この頃の日本も日本でございますが、しかし、馬来マレイ暹羅シャムの方では中国人も此の頃ではなかなか困難になって来ております。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
この呪文は暹羅シャム語で、(アルス・ロンガ・ヴイタ・ヴレヴイス)というのですが、モナコの模擬貨幣ジュットンシャム語を知ってるはずはありません。
もしも外形だけで云うなら、庄造だってもっと美しい波斯ペルシャ猫だの暹羅シャム猫だのを知っているが、でもこのリリーは性質が実に愛らしかった。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しかも、二卵性の男女双子に、暹羅シャム兄弟が全然ありえないということを知ったら、はっきりと君は、悪夢から醒めるだろうね。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
場合によってはと考えて、初から娘の旅券には暹羅シャム、安南、ボルネオ、スマトラ、爪哇ジャバへの旅行許可証をも得させてあったのが、幸だった。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
叔父さんのうちには祖先伝来の宝として、天竺徳兵衛てんじくとくべえ暹羅シャムから持ってきたという大きな紅色べにいろのダイヤモンドがあります。
紅色ダイヤ (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
その半面は、豪壮な彩具えのぐと太い線で、朝鮮、明国、呂宋ルソン暹羅シャムなどにわたる亜細亜アジアの沿海と大陸の地図が画いてあった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その他山田長政が威を暹羅シャムに振いたる、天竺てんじく徳兵衛が印度に渡りたる、浜田弥兵衛が台湾にある和蘭オランダ人をくじきたる、みな元和げんな、寛永の間にありとす。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
インドとシャムで象厩に猴をえば、象を息災にすと信ずる由書いたが、近日一七七一年パリ板ツルパンの『暹羅シャム史』に、シャムの象厩に猴を飼い
其の羅越は老撾ラオスである、何でも高岳親王の御墓所は暹羅シャムの北境にあるに相違ないといふ説を唱へ出した人である。
那珂先生を憶う (旧字旧仮名) / 桑原隲蔵(著)
高麗こうらい唐土もろこし暹羅シャム国、カンボジャ、スマトラ、安南あんなん天竺てんじく、世界ははて無く広がって居りまする。ここの世界が癪に触るとて、癪に触らぬ世界もござろう。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
天竜寺船てんりゅうじせん御朱印船ごしゅいんせんのような貿易船も南の海を渡って、呂宋ルソン(フィリッピン)、渤泥ブルニー(ボルネオ)、安南アンナン(仏印)、暹羅シャム(泰)の国々や島々と、日本との間をした。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
即ち呂宋ルソン媽港マカオ、安南、東京、占城チャンパ柬埔塞カンボジア暹羅シャム太泥パタニ等と貿易をしたのは相当旧くからであるが、それらの国々へ渡航する船舶に対し、官許の免許状(朱印)を与えて
墨西其メキシコ、モンテネグロ、和蘭オランダ波斯ペルシャ葡萄牙ポルトガル羅馬尼亜ルーマニア露西亜ロシア塞耳比亜セルビア暹羅シャム瑞典スウェーデン那威ノルウェー瑞西スイス土耳其トルコ勃牙利ブルガリアの二十六ヵ国の全権大使が会合して、国際的争議を解決するに
文明史上の一新紀元 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
私は俗に暹羅シャムの兄弟と云われる、奇妙な双生児の話を聞いていないではなかった。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
暹羅シャム、中国の諸国を表面上の株主として、莫大な建造費を出しているのだった。
浮かぶ飛行島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
印度インドは既に亡びて英国に属し、爪哇ジャワはその制を荷蘭オランダに受け、暹羅シャムはその命を英国に聞き、近時安南アンナンた疲れて仏蘭西フランスに帰する等、漠々たる亜細亜大陸の広き、能く独立の躰面を全うし
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
武子さんは暹羅シャムの皇太子に入輿にゅうよの儀が会議され——明治の初期に、日支親善のため、東本願寺の光瑩こうけい上人の姉妹はらからが、しん帝との縁組の交渉は内々進んでいたのに沙汰さたやみになったが——武子さんのは
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その時代、一番親しくしたは二葉亭の易簀えきさく当時暹羅シャム公使をしていた西源四郎と陸軍大尉で早世した永見松太郎の二人であった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
逢痴には、暹羅シャム兄弟特有の、臓器転錯症がなかったのだよ。すると、三引く二は一じゃないか。君の片身は、村次郎なんだ。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
暹羅シャムにいると聞いたうえは、暹羅シャムまで行くしかないが、そうだとすれば、破船の中にある千貫目の銀が必要になってくる。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
呂宋ルソン爪哇ジャバ婆羅納ブルネオ安南アンナン暹羅シャムあたりまでを総じて南蛮諸国と申し、また島々とよび、満剌加マラッカから先、臥亜ゴアなどを奥南蛮とも申しております」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
是の説は根據極めて薄弱であるに拘らず、隨分贊成者もあつて、後には暹羅シャム政府とも交渉して御墓所を搜索するといふ騷ぎになつたが、勿論失敗に終つたのである。
那珂先生を憶う (旧字旧仮名) / 桑原隲蔵(著)
変えて西蔵チベット国民ばかりでなく原始仏教の信仰者——トルキスタン人や錫蘭セイロン島人やボハラ人や暹羅シャム人やキルギド人達の信者に依って極楽浄土の象徴かのように崇められるだけの美観うつくしさを
喇嘛の行衛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この地の活動写真館のアトラクションで見た暹羅シャムのあのすばらしくさばきのいい踊りを眺めていた時の彼女に、私はその踊りを習わせて、名踊子にしたい慾望さえむらむらと起ったほど
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
印度人あり、中国人あり、フイリッピン人あり、暹羅シャム人あり、それからまたソ連人、アメリカ人、フランス人、わが英人など、およそ世界各国の人種をあつめつくしている観があります。
浮かぶ飛行島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのまま羊が象べやに身をり付くると、いよいよ火事となりて象も猴も焼け死んだとある。象厩に猴をえば象を息災にすとシャムでも信ずる由、クローフォールドの『暹羅シャム使記』に見ゆ。
鴨緑江おうりょくこう材のケードルや、暹羅シャム材の紫檀したんと競いながら、従容しょうようとして昇って来た。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
〔註、所謂暹羅シャムの兄弟に類する癒合双体ゆごうそうたいの生存を保ちし例は、間々ままなきにあらねど、この記事の主人公の如きは、医学上甚だかいし難き点あり。賢明なる読者は、已にある秘密を推し給いしならん〕
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
両人の間になにか黙会もっかいがあったので、自分の見るところでは、迦知安(広東)か暹羅シャムあたりの物産だとしか思えない。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
倫敦ロンドン亜細亜アジア協会の「孔雀王呪経くじゃくおうじゅきょう」初版、暹羅シャム皇帝勅刊の「阿咜曩胝アタナテイ経」、ブルームフィールドの「黒夜珠吠陀クリシュナ・ヤジュル・ヴェーダ
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
平戸ひらどそのほかの海港と、呂宋ルソン、安南、暹羅シャム満剌加マラッカ、南支那一帯の諸港との往来は、年ごとに頻繁ひんぱんを加えて来るし、それが国民一般の宗教に、軍事に、直接生活に
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私が仲に立つ旨を云いると、店員からは案外喜んだ承諾の返事が来て、ただし、いま船は暹羅シャムの塩魚を蘭領印度らんりょうインドに運ぶために船をチャーターされているから、船も帰せないし、自分も脱けられない。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
して見ると鼠は支那で立派な上饌じょうせんでない。一七七一年パリ板ターパンの『暹羅シャム史』にいわく、竹鼠は上饌なり、常鼠に似て尾赤く、毛なく、蚯蚓みみずのごとし。猫ほど大きく、竹を食い、殊にたけのこを好む。
手前は交趾支那こうちしな安交アンコオルから暹羅シャム迷蘭メエランク地方へ猛獣狩りに参りました。するてえと、ある夏の暑い日でしたナ。
十九世紀の末頃だが、有名なシャン・エンの暹羅シャム兄弟——それが、一八七二年に死んだときのことだった。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
で、宗湛はその父の遺業をうけて、今では呂宋ルソン暹羅シャム柬蒲寨カンボジヤの数ヵ所に、支店まで設けていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
堂上方どうじょうがたはいうに及ばず、諸侯のうちでも、識者とみずから任じおる面々でも、明国と問うても、どんな国がらか、また暹羅シャム呂宋ルソン天竺てんじくなどを訊ねても、どの辺か、どんな国か、皆目
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手持の船に一家眷族けんぞくを乗せてツーランに入津し、フェイフォに落着きたい意嚮らしかったが、海賊の嫌疑けんぎがあるので、大年寄がいい返事をしなかったら腹を立てて暹羅シャムのアユチャに行き
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)