晩飯ばんめし)” の例文
それはいつまでここにいなければならないかわからないので、親方がいくらか晩飯ばんめしのこしておくほうが確実かくじつだと考えたからであった。
と、まアこういう話なんだがね、そのうちに、妻もお湯から帰ってくるだろうから、そうしたら、晩飯ばんめしでも御馳走することにしようよ。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そしてその間も時々家の者らは晩飯ばんめしの後の話のついでに吉の職業を選び合った。が、話は一向にまとまらなかった。
笑われた子 (新字新仮名) / 横光利一(著)
うせものがしたところで、そんなにさわぐにはあたるまいとおもつた。が、さてくと、いやうして……色紙しきし一軸いちぢくどころではない。——大切たいせつ晩飯ばんめしさいがない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もう晩飯ばんめしの用意もできたから帰ろうじゃないかと云って、二人帰路きろについた時、自分は突然岡田に、「君とお兼さんとは大変仲が好いようですね」といった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
日が暮れて、鶏小舎とりごやめると、彼は、第一の用心をしておくのであるが、それも無駄むだで、明日の朝までは、とても持ちそうにない。晩飯ばんめしを食い、ぐずぐずしていると、九時が鳴る。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
しかるに大概は腐っている玉子だ。患者もそれを知っていて滅多めったに食べない。割ってもそのまま皿へ入れて下げてやる。すると昼飯ひるめし晩飯ばんめしに必ずそれが玉子焼かオムレツに変化するそうだ。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
先生は、僕を晩飯ばんめしに呼んで、是非頼みたいことがあると云ふんだ。
昨今横浜異聞(一幕) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
夜はうまややひつじ小屋で一きれのパン、晩飯ばんめしにはじつに少ない一きれのパンを食べてねむった。その一きれが昼飯と晩飯をかねていた。
わたくし此処ここ蚊帳かやを釣って潜込もぐりこんでから、帰って見えて、晩飯ばんめしももう、なぞと言われるさえ折々の事。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三重吉にって見ると例の件がいろいろ長くなって、いっしょに午飯を食う。いっしょに晩飯ばんめしを食う。その上明日あすの会合まで約束してうちへ帰った。帰ったのは夜の九時頃である。
文鳥 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
うちに着くと、ガスパールおじさんはわたしたちを晩飯ばんめし招待しょうたいしてくれることになった。この招待ほどわたしをゆかいにしたものはなかった。
あくる晩飯ばんめし支度前したくまへに、臺所だいどころから女中部屋ぢよちうべやけて、をんなたちがしきり立迷たちまよつて、ものをさがす。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「じゃあ感心に謝肉祭しゃにくさいのおいわいをするのだな、まあけっこうよ。おれははらっているのだ。晩飯ばんめしはなんのごちそうだ」
ちら/\ゆき晩方ばんがたでした。……わたくしは、小児こども群食むらぐひで、ほしくない。両親りやうしん卓子ていぶる対向さしむかひで晩飯ばんめしべてた。其処そこへ、彫像てうざうおぶつてはいつたんですが、西洋室せいやうまひらきけやうとして
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けれどもそのうちわたしは食いしんぼうと思われるよりもほんとうの話を打ち明けてしたほうがいいと思ったので、じつはゆうべ晩飯ばんめしを食べなかったことを話した。
なによりもつとがたいのは晩飯ばんめし支度したくむと、たちまあかり行燈あんどうへて、薄暗うすぐらところでおやすみなさいと命令めいれいされるが、わたしけるまでることが出来できないから、其間そのあひだ心持こゝろもちといつたらない
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
旅宿やどいて、晩飯ばんめしと……おさかなういふものか、といた、のつけから
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのそばにこしをかけて晩飯ばんめしを食べ始めた。
うへ好奇心かうきしんにもられたでせう。ぐにも草鞋わらぢはして、とおもつたけれども、彼是かれこれ晩方ばんがたつたから、宿やど主人あるじゐて、途中とちゆうまで案内者あんないしやけさせることにして、晩飯ばんめしすませました。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大好物だいかうぶつ晩飯ばんめしさいになさる、お嬢様ぢやうさまを一たいなんじやとおもはつしやるの。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)