感覚かんかく)” の例文
旧字:感覺
御覧ごらんなさい、世界せかいはじめから、今日こんにちいたるまで、ますます進歩しんぽしてくものは生存競争せいぞんきょうそう疼痛とうつう感覚かんかく刺戟しげきたいする反応はんのうちからなどでしょう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
天の空間は私の感覚かんかくのすぐとなりにるらしい。みちをあるいて黄金いろの雲母うんものかけらがだんだんたくさん出て来ればだんだん花崗岩かこうがんに近づいたなと思うのだ。
インドラの網 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それは気持きもちが悪かった。何かよこぱらへんしわくちゃになったと思うと——やがてそのうちにシャツがやぶれて、もみくたになったという感覚かんかくが、もっとはっきりして来た。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
はちは石炭せきたんにおいをかいだり、またちいさなくちでなめてみたり、どこからきたかを自分じぶんちいさな感覚かんかくろうとしました。しかし、それはわかるはずがなかったのです。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
見えぬがために、見ようとする、心の異常いじょうなはたらきが、心眼しんがんともいうべき感覚かんかくを全身にするどくいで、右手めてにつかんだ般若丸はんにゃまるを、おのれの背なかにかくしながら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うしなはれゆく感覚かんかく懸命けんめいたゝかひながら、いたるまで、まもとほしたたうをとぎれ/\にんだ
村に着くと、パン屋がどこだと聞く必要ひつようもなかった。わたしたちの鼻がすぐにその店にれて行ってくれた。においをかぎつけるわたしの感覚かんかくは、もう犬に負けずにするどかった。
いったい感情は読んで字のごとく、われわれの感覚かんかくといわゆる人情にんじょうとの二つを含むものであるから、善くもとれるし、悪くもとれると同じく、正しきにも走り、正しからざるにも走りやすい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
あたたかににほひふかき感覚かんかくのゆめ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この感覚かんかくうちにおいて人生じんせい全体ぜんたいふくまっているのです。これをにすること、にくむことは出来できます。が、これを軽蔑けいべつすることは出来できんです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
とたんに——ゴツンとなにかしりに当ったような気がしたが、いたくなかったのは首尾しゅびよくワラで防いだものだろう——とは蛾次郎がじろうが夢中の感覚かんかく、ワラ山に大地震おおじしんを起して
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれは、どうすればいいのか?」さっと感激かんげきせた刹那せつな自分じぶんのすることがわからなくなり、こころがぐらつくとあし感覚かんかくまでなくなって、からだがずるずるとしたすべりはじめた。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
けた玉菜たまなや、ランプのいぶりや、南京虫なんきんむしや、アンモニヤのにおいこんじて、はいったはじめの一分時ぷんじは、動物園どうぶつえんにでもったかのような感覚かんかく惹起ひきおこすので。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
まだなかのほこりにけがされぬ若者わかもの感覚かんかくは、何人ひとびとこころにもないうそをいったり、あるいは、かざらず真実しんじつかたるか、また謙遜けんそんであって、信用しんようするにりるか、どうかということを、わけ
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)