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息吹
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いぶき
ふりがな文庫
“
息吹
(
いぶき
)” の例文
それ以来この家には住む人もなく、すべて生命の
息吹
(
いぶき
)
を伝える人のなくなった住居に見られるとおり、しだいに荒廃に帰してしまった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
天国の
息吹
(
いぶき
)
を吸われた変貌の山から下りて見れば、これはまたなんという混乱無信仰の下界であるか。イエスは深く嘆じて言われました
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
罪のない花を汚し——その清淨さに罪の
息吹
(
いぶき
)
をかけようとした、すると神はそれを私から奪ひ取つておしまひになつたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そこには良人の
息吹
(
いぶき
)
がある、良人の呼びかける声がある、なにかしら自分に関したことも書いてあったような気さえする。
日本婦道記:不断草
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それだけに、
厳
(
おご
)
そかな天の荒ら
息吹
(
いぶき
)
を真向にうけるのだから、弱虫やなまけ者、卑劣漢や臆病ばらには、とうてい辛抱しきれるものではあるまい。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
▼ もっと見る
そういう
息吹
(
いぶき
)
が炎のようにもつれあって、静かに
虚空
(
こくう
)
へ立ちのぼる相をそのままに結晶せしめたのが塔なのであろうか。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
のツホウホー、
人魂
(
ひとだま
)
が
息吹
(
いぶき
)
をするとかいふ
聲
(
こゑ
)
に、
藍暗
(
らんあん
)
、
紫色
(
ししよく
)
を
帶
(
たい
)
して、のりすれ、のりほせのないのは
木菟
(
みゝづく
)
で。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
若くして恋慕の
息吹
(
いぶき
)
をかけられなかったと同時に、年老いても罪深い女人どもの
懺悔
(
ざんげ
)
を聞いてやらねばならぬ
加特力
(
カトリック
)
の坊主の役をつとめなくとも
好
(
よ
)
かったのである。
妻
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
この部屋の陰気な家具——吹きつのってくる
嵐
(
あらし
)
の
息吹
(
いぶき
)
に吹きあおられて、ときどき壁の上をゆらゆらと揺れ、寝台の飾りのあたりで不安そうにさらさらと音をたてている
アッシャー家の崩壊
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
そして、その場合には、気の毒なビレラフォンは、少なくとも、その怪物の
息吹
(
いぶき
)
でひどい
火傷
(
やけど
)
をして、その上十中八九までは、殺されて、食われてしまっていたことでしょう。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
名手が出て
息吹
(
いぶき
)
を取戻す日が待たれます。九谷の未来には希望を抱かざるを得ません。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
種々の男の
息吹
(
いぶき
)
がかかってる彼女の肉体、自分の肉体を資本に生きてる彼女の生活、そういう風に抽象的に見た彼女のうちに、不快な五百円を投じ去るのに最も好都合な場所があり
溺るるもの
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
朽ちないものへ、あえて自分で自己を書いた老公の心理には、寿碑を建つほど生きてもなお——何かなおこの世に
息吹
(
いぶき
)
きれないものを、抱いておられるのではないかと人々は察してみた。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
文楽
(
ぶんらく
)
の人形芝居で、一日の演技の内に、たった一度か二度、それもほんの一瞬間、名人の使っている人形が、ふと神の
息吹
(
いぶき
)
をかけられでもした様に、本当に生きていることがあるものだが
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
お清書の直しに
朱墨
(
しゅずみ
)
の赤丸が先生の手でつけられてゆくのを見ていると、屏風の絵の
寒山拾得
(
かんざんじっとく
)
とおんなじような
息吹
(
いぶき
)
をしているように、子供心にも老人の無為の楽境を意識せずに感じていた。
旧聞日本橋:04 源泉小学校
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
同じやうに、荘重な
息吹
(
いぶき
)
が天上にも聞かれ、夜が、神々しい夜が、厳そかに更けて行く。妙なる
銀
(
しろがね
)
の光りに包まれた地上もまた美しかつた。だが、最早それに見惚れる人の子は一人もなかつた。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:05 五月の夜(または水死女)
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
だが、はたの人にやきもきされて、それで何とかなるなど、
田舎娘
(
いなかむすめ
)
だとはいえ、新しい時代を生きようとしている修造たちの
息吹
(
いぶき
)
にふれてきた茂緒にとっては、
阿呆
(
あほ
)
らしくて問題にならなかった。
風
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
この家に智恵子の
息吹
(
いぶき
)
みちてのこりひとりめつぶる
吾
(
あ
)
をいねしめず
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
春まひる隣に聽きてひそけさよ珠數みがく子らが
息吹
(
いぶき
)
ためつつ
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
息吹
(
いぶき
)
とはかん火ぞ、これは。
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
真ツ赤な気孔の
息吹
(
いぶき
)
の前に
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
軒端
(
のきば
)
を見れば
息吹
(
いぶき
)
のごとく
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
息吹
(
いぶき
)
まどはす秋風よ
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
時とすると、
息吹
(
いぶき
)
のように父が自分のそばを通って、耳に何かささやくかと思われた。彼はしだいに異常な気持ちになっていった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
かような歌にこそ、光明皇后の親しい音声が、
即
(
すなわ
)
ちいのちの
息吹
(
いぶき
)
がこもっていると思うからである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
しかしこの窯は昔はなかなかよい雑器を焼きまして、その青土瓶や絵土瓶などは忘れ難いものであります。もっと実際に使う台所道具に帰るなら、また昔の
息吹
(
いぶき
)
を取戻すでありましょう。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
おう、この兇悪な動物は、実に限りない害をしました! その燃える
息吹
(
いぶき
)
で以て、それは森林を火の海と化し、穀物畑を焼き尽し、あまつさえ、村をも、垣根や家もろともに焼き払いました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
がしだいしだいに——ごくゆっくりと——言いようのない嫌悪の情をもってその猫を見るようになり、
悪疫
(
あくえき
)
の
息吹
(
いぶき
)
から逃げるように、その
忌
(
い
)
むべき存在から無言のままで逃げ出すようになった。
黒猫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
また贈答歌を通読するに、宅守よりも娘子の方が
巧
(
たくみ
)
である。そしてその巧なうちに、この女性の
息吹
(
いぶき
)
をも感ずるので宅守は
気乗
(
きのり
)
したものと見えるが、宅守の方が受身という
気配
(
けはい
)
があるようである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
春まひる隣に聴きてひそけさよ珠数みがく子らが
息吹
(
いぶき
)
ためつつ
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
岩手の山の源始の
息吹
(
いぶき
)
に包まれて
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
息吹
(
いぶき
)
まどはす秋風よ
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
息吹
(
いぶき
)
がちがう。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何らの
喝采
(
かっさい
)
も起こらなかったが、低いささやきが長く続いた。言葉は
息吹
(
いぶき
)
である。それから来る知力の震えは木の葉のそよぎにも似ている。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
またこの円柱は光りばかりでなく、千二百年のあいだ、金堂に
詣
(
もう
)
でた人々の
息吹
(
いぶき
)
や体臭や衣の香りまでも吸い込んでいるにちがいない。感触が柔く、どこかに暖かさがこもっている。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
こがらしの背戸に音やむ小夜ふけて温罨法の
息吹
(
いぶき
)
眼に
当
(
あ
)
つ
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
尋問を行なう公衆の
激昂
(
げっこう
)
、いかに答うべきかを知らなかったカペ(ルイ十六世)、その陰惨なる
息吹
(
いぶき
)
の下にある王の頭の
呆然
(
ぼうぜん
)
たる恐ろしい揺らぎ
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
息長
(
おきなが
)
の
野分
(
のわき
)
の
息吹
(
いぶき
)
遠空に
兆
(
きざ
)
せども
明
(
あか
)
しこの牧はまだ
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
それはただ
息吹
(
いぶき
)
であった。それ以上のものではなかった。その息吹だけですべて自然を乱し感動させるに足りた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ややありて、
息吹
(
いぶき
)
のゆめもやはらかに
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
アンジョーラはカラビン銃の銃口に
片肱
(
かたひじ
)
をついて
舗石
(
しきいし
)
の段の上に立っていた。彼は考え込んでいた。そしてある
息吹
(
いぶき
)
を感じたかのように身を震わしていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ここ過ぎて、我が
息吹
(
いぶき
)
蘇らむ。
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そうぞうしい熱い空気が私の顔に吹きつけてきた。重罪裁判廷の群集の
息吹
(
いぶき
)
だった。私は中にはいった。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
香
(
かう
)
匐
(
は
)
ひぬ、苦熱の
息吹
(
いぶき
)
。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
愛に貫かれてるそれらの
息吹
(
いぶき
)
の中に、反照と反映との行ききの中に、光の驚くべき
濫費
(
らんぴ
)
の中に、黄金の液の名状し難い流出の中に、無尽蔵者の浪費が感ぜられた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
人
(
ひと
)
が
息吹
(
いぶき
)
は
力
(
ちから
)
ある
全都覚醒賦
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
それは凍った空気の
息吹
(
いぶき
)
のようだった。人々は皆口をつぐんだ。何か起こりかけていることを皆感じた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
人の言葉はようやく一つの
息吹
(
いぶき
)
にすぎなかった。新聞は客間と一致して一つの草双紙にすぎないらしかった。若い人々もいたが、それもみな多少死にかかっていた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“息吹”の意味
《名詞》
息吹【いぶき 別表記:気吹】
呼吸。
あるものが活動しているという様子がどことなくうかがえる様子。大地のような生物でないものにも用いる場合がある。雰囲気。
(出典:Wiktionary)
息
常用漢字
小3
部首:⼼
10画
吹
常用漢字
中学
部首:⼝
7画
“息”で始まる語句
息
息子
息女
息杖
息災
息気
息張
息切
息長
息苦