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彫物
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ほりもの
ふりがな文庫
“
彫物
(
ほりもの
)” の例文
その上、死骸の耳の下に傷を拵へて、お玉の
黒子
(
ほくろ
)
を誤魔化したが、二の腕の
巳
(
み
)
(蛇)の
彫物
(
ほりもの
)
をお關に見られて、
企
(
たく
)
らみに
龜裂
(
ひび
)
が入つた。
銭形平次捕物控:160 二つの刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
丁蘭は
彫物
(
ほりもの
)
の道にかけては、ずぶの素人だつたが、出来上つた木像を見ると、簡素なうちに母親にそつくりな
面
(
おも
)
ざしがあつた。
茶話:11 昭和五(一九三〇)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そのニンフの
彫物
(
ほりもの
)
は、主人の太い、荒々しい手で握つてゐる杖の
頭
(
かしら
)
に附いてゐて、指の間からはそれを鋳た
黄金
(
わうごん
)
がきら附いてゐるのである。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
その留守に、アグネスと島田とお角と三人で暫く話していると、そのうちに島田がお角にむかって、細君もおまえの
彫物
(
ほりもの
)
を写真に撮りたい。
半七捕物帳:59 蟹のお角
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
我は灰となり
窟
(
いはや
)
となれるトロイアを見き、あゝイーリオンよ、かしこにみえし
彫物
(
ほりもの
)
の
象
(
かたち
)
は汝のいかに低くせられ衰へたるやを示せるよ 六一—六三
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
▼ もっと見る
お深は傍邊よりモシ九郎兵衞殿其
彫物
(
ほりもの
)
は此
間
(
あひだ
)
ソレ
小
(
ちひ
)
さく有たと云れたではないかと九郎兵衞へ
眼
(
め
)
で知らせる樣子なるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「左様、女軽業の
元締
(
もとじめ
)
とか言いおったが、
彫物
(
ほりもの
)
の一つもありそうな女じゃ、しかし悪党ではないらしい」
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
やがてお葉が空を見上げて再び前を見た時に、白い足の上には氣味の惡いやうな木目が
彫物
(
ほりもの
)
のやうに長くついてゐて、觸れた指先には無心な冷さが傳はつたのであつた。
三十三の死
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
首領の
四馬剣尺
(
しばけんじゃく
)
は、あいかわらず
竜
(
りゅう
)
の
彫物
(
ほりもの
)
のある、大きな椅子に坐っていた。身のたけ六尺にちかく、ビール
樽
(
だる
)
のように
肥
(
ふと
)
ったからだは
横綱
(
よこづな
)
もはだしで逃げだしそうな体格だ。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その
龕子
(
がんす
)
一つでも二百円以上三百円位するそうです。で右の腕には小さな
法螺貝
(
ほらがい
)
の
殻
(
から
)
の
腕環
(
うでわ
)
、左の腕には銀の
彫物
(
ほりもの
)
のしてある腕環を掛けて居る。それから
前垂
(
まえだれ
)
は誰でも掛けて居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
流
(
ながれ
)
には
斧
(
をの
)
の
響
(
ひゞき
)
、
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
には
鑿
(
のみ
)
の
音
(
おと
)
、
白
(
しろ
)
い
蝙蝠
(
かはほり
)
、
赤
(
あか
)
い
雀
(
すゞめ
)
が、
麓
(
ふもと
)
の
里
(
さと
)
を
彩
(
いろど
)
つて、
辻堂
(
つじだう
)
の
中
(
うち
)
などは
霞
(
かすみ
)
が
掛
(
かゝ
)
つて、
花
(
はな
)
の
彫物
(
ほりもの
)
をして
居
(
ゐ
)
やうとまで、
信
(
しん
)
じて
居
(
ゐ
)
たのが、
恋
(
こひ
)
しい
婦
(
をんな
)
と
一所
(
いつしよ
)
に
来
(
き
)
たゝめ
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その中には金太もいたし、富三郎や仁兵衛、そして
彫物
(
ほりもの
)
部屋の伊助もいた。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
立派な座敷の道具にはならない、是は指物ばかりではない、
画
(
え
)
でも
彫物
(
ほりもの
)
でも芸人でも同じ事で、銭を取りたいという野卑な根性や、
他
(
ひと
)
に褒められたいという
謟諛
(
おべっか
)
があっては
美
(
い
)
い事は出来ないから
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その箱の
縁
(
ふち
)
や
角
(
かど
)
には、実に驚くべき腕前で
彫物
(
ほりもの
)
がしてありました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
加藤清正だのの
地車
(
だんじり
)
の
彫物
(
ほりもの
)
を和歌山の客は珍しさうに見た。
住吉祭
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
これは
彫物
(
ほりもの
)
のある大きい食器戸棚
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
「二代目一刀齋勘兵衞の
彫物
(
ほりもの
)
は、皆な初代勘兵衞が代作してやつたといふ事が判つたら、死んだお前さんの伜の名はまる潰れだぜ」
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お蔭で瀬戸物
店
(
みせ
)
や、
彫物
(
ほりもの
)
師は牛の註文で
懐中
(
ふところ
)
を膨らませたのも少くなかつたが、それを撫で廻した人達が、
幾人
(
いくたり
)
づばぬけて主殿頭のやうな出世をしたかは判らなかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
致し子供同士
鎌
(
かま
)
で
肩先
(
かたさき
)
へ
疵
(
きづ
)
を附られ候悴が今に
殘
(
のこ
)
り居候が何よりの
證據
(
しようこ
)
に御座りますと云に越前守樣
成程
(
なるほど
)
確固
(
たしか
)
なる證據ありして其
彫物
(
ほりもの
)
は何なる物ぞ憑司ヘイ
腕
(
うで
)
に力と申す字を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そして、部下にあうときは、いつもあの竜の
彫物
(
ほりもの
)
のある大きな椅子によっているのだ。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と思って米友はその石を見ると、袖切坂の文字には昨夜見た通りの朱をさしてありましたが、その文字の下に猿の
彫物
(
ほりもの
)
のしてあることに初めて気がつきました。この猿はありふれた
庚申
(
こうしん
)
の猿です。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
彫物
(
ほりもの
)
が知りたかつたのだよ。そして他の者には見せ度くなかつたのだ。死骸を尼寺の中に持込んで、佛壇の前で皮を
剥
(
は
)
ぐ——」
銭形平次捕物控:300 系図の刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
貰
(
もら
)
ひ信州へ參り越後の方を尋ね候處
不慮
(
ふりよ
)
の災
難
(
なん
)
に逢ひ終には猿島河の下にて首を
見付
(
みつけ
)
たるは先達て申上候と言にぞ
越前
(
ゑちぜん
)
守殿何源次郎其方
妻
(
つま
)
は右の二の
腕
(
うで
)
に源次郎命と
彫物
(
ほりもの
)
をしてを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「方丈様、お前は絵もかけば字も書く、
彫物
(
ほりもの
)
なんぞもなさるだね」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その死骸は、顏、口、頭は石で碎かれて居りますが、左右の腕に上り龍下り龍の
彫物
(
ほりもの
)
のある、
紛
(
まぎ
)
れもなく大膳坊覺方の無殘な姿だつたのです。
銭形平次捕物控:306 地中の富
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
持って、
彫物
(
ほりもの
)
をしながら、日本中を歩いてみてえつもりだ
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
江戸の大工では、
彫物
(
ほりもの
)
の左甚五郎、建物の辰三郎と並び稱された棟梁で、その名匠が金に飽かして造れば、この建物も別に不思議ではありません。
銭形平次捕物控:283 からくり屋敷
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それは俺も考へて居るよ。なか/\わからなかつたが、先刻の腹卷の話で
漸
(
やうや
)
くわかつたよ。曲者は鬼三郎の腹卷に隱した、
彫物
(
ほりもの
)
が見たかつたのだ」
銭形平次捕物控:300 系図の刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「御免下さい、私は
彫物
(
ほりもの
)
師の松本鯛六と申す者、唯今は無理な願いを早速お聴き届け下すって有難う御座います」
新奇談クラブ:06 第六夜 人形の獄門
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
習ひ覺えた遊藝を
資本
(
もとで
)
に、田舍芝居の一座に入つたり、
香具師
(
やし
)
の仲間に入つたり、やくざの仲間に入つたり、左右の腕に上り龍と下り龍の
彫物
(
ほりもの
)
があるさうですよ。
銭形平次捕物控:306 地中の富
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
香椎六郎は歌のように節を付けながら口ずさんで、
向日葵
(
ひまわり
)
の
彫物
(
ほりもの
)
の真ん中の穴へ手を入れましたが、手は真鍮板らしい金属に遮られて、いくらも深くは入りません。
向日葵の眼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「この
彫物
(
ほりもの
)
は決して古いものではあるまい。誰が彫つたのか知り度い。彫物師は、人肌に彫物をする時は、必ず下繪を作るものだ。その下繪を持つて居るに違ひない」
銭形平次捕物控:300 系図の刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彫物
(
ほりもの
)
を見せて
肌脱
(
はだぬ
)
ぎになつたり、
蝠女
(
ふくぢよ
)
とやらがお前に
執
(
しつ
)
こく
絡
(
から
)
み付いたり、上州屋の周太郎が顏の火口を刺して居るのを見せたり、皆んなする事がわざとらしいぢやないか
銭形平次捕物控:306 地中の富
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
たかが
彫物
(
ほりもの
)
職人で、金づくにも腕づくにも、お關を奪ひ返す力はなく、そのうち加賀屋の若い衆に見付けられて、引摺り込まれて散々に
毆
(
なぐ
)
られたのは、ツイ二た月ほど前のことですよ。
銭形平次捕物控:215 妾の貞操
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お前さんは江戸の
彫物
(
ほりもの
)
名人と言はれた、初代一刀齋勘兵衞師匠さ。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彫
常用漢字
中学
部首:⼺
11画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“彫物”で始まる語句
彫物師
彫物疵
彫物棟梁
彫物細工