れん)” の例文
正しい時代は常に「美」と「れん」との一致を示すであろう。美が高き代価においてのみあがなわれると思うのは、全くの錯誤である。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
自動車の便はたやすく得られて、しかも、旅館の隣が自動車屋だと聞いたから、価値ねだんを聞くと、思いのほかれんであった。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
年少の子弟醵金きよきんして、同人雑誌どうじんざつしを出版する事、当世の流行の一つなるべし。されど紙代印刷費用共にはなはだれんならざる今日こんにち、経営に苦しむものまた少からず。
書家は数多く、書はれんにして得やすきに因るといへどもまた画を解せざるに因るなり。ただし家屋器具全く装飾なき処には濃厚の画の調和せざる、また一因なり。
病牀譫語 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
かへりがけに玄關げんくわんわき藥局やくきよくで、粉藥こぐすりまゝ含嗽劑がんそうざい受取うけとつて、それを百ばい微温湯びをんたう溶解ようかいして、一にち數回すうくわい使用しようすべき注意ちゆういけたとき宗助そうすけ會計くわいけい請求せいきうした治療代ちれうだい案外あんぐわいれんなのをよろこんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
孟軻マウカ氏曰く、伯夷ハクイの風を聞く者は、頑夫もれんに、懦夫だふも志をたつる有り、又曰く柳下恵リウカケイの風を聞く者は、鄙夫ひふも寛に、薄夫もあつしと、吾人は其生涯の行為、磊々落々らい/\らく/\、天の如く、神の如く
草をしとねとし石をたくとして、谿流けいりゅう縈回えいかいせる、雲烟うんえんの変化するを見ながら食うもよし、かつ価もれんにして妙なりなぞとよろこびながら、あおいで口中に卵を受くるに、におい鼻をき味舌をす。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
文六 れん太のやつ、一体、何処へ行つてやがるんだらう、今ごろまで……。
宿料もれん、その割には坐舗ざしきも清潔、下宿をするなら、まず此所等ここらと定めなければならぬ……となると文三急に考え出した。「いずれ考えてから、またそのうちに……」言葉を濁してそのうちを出た。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
清廉潔白せいれんけっぱくれんだよ」
うた時計 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
れんや、それはね、おほきな五色ごしきはねがあつて天上てんじやうあそんでるうつくしいねえさんだよ)
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
帰りがけに玄関脇の薬局で、粉薬こぐすりのまま含嗽剤がんそうざいを受取って、それを百倍の微温湯びおんとうに溶解して、一日十数回使用すべき注意を受けた時、宗助は会計の請求した治療代の案外れんなのを喜んだ。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いゝけれど、れんや、おまへまたあんまりおさるにからかつてはなりませんよ。さう、可塩梅いゝあんばいにうつくしいはねへたねえさんが何時いつでもいるんぢやあありません。またつこちやうもんなら。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
れんや、それはね、雨が晴れるしらせなんだよ。」
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
れんや、それはね、あめれるしらせなんだよ。」
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)