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夭折
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ようせつ
ふりがな文庫
“
夭折
(
ようせつ
)” の例文
遺言
(
ゆいごん
)
によって、ベートーヴェンの墓の
側
(
かたわら
)
に葬られたが、それが三十一歳で
夭折
(
ようせつ
)
した、
稀代
(
きだい
)
の天才のせめてもの満足であったことであろう。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
天資
豪邁
(
ごうまい
)
、将来この地において我らの統率者たるべき英偉の資質をもってこの
夭折
(
ようせつ
)
を見たることは我らの痛嘆措かざるところ
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
文学士斎藤勤には、「中世における
陰陽学
(
おんようがく
)
と
卜筮
(
ぼくぜい
)
の研究」の一著がある。それだけで、大学を出てまもなく
夭折
(
ようせつ
)
してしまった。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、
夭折
(
ようせつ
)
した二児のことを考えるたびに、せめて、正しく生きる為には、余生をいかなる苛竦な鞭で打たるゝとも辞さないと思うのです。
貧乏線に終始して
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
日記にも書いてある通り、上の子が
夭折
(
ようせつ
)
したので、生れて来る子供に対して、父が大へん喜んでいる有様がよく分るので野村は思わず微笑んだ。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
▼ もっと見る
中途にしてやむ、若くして
夭折
(
ようせつ
)
する、そういう恐ろしい心配が、いつも彼を悩まし、彼を圧迫し、彼につきまとっていた。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「一葉! そう/\あれは天才だ、
夭折
(
ようせつ
)
した天才だ! 一葉に比べると、紅葉なんか才気のある凡人に過ぎませんよ。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
夭折
(
ようせつ
)
せる小児の教育の一手段としては、しばしば
之
(
これ
)
を霊媒の
躯
(
からだ
)
につけて、地上生活の経験を繰り返させることもある。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
逼塞
(
ひっそく
)
になった綱宗は、亡き忠宗の六男であった。長男の虎千代は七歳で
夭折
(
ようせつ
)
、二男の光宗は十九歳で死んだ。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
源氏となって益々衰えただ実朝がその
好奇
(
ものずき
)
から京師の風俗を取り入れた時、一緒に造顔師も呼び迎えたが、その実朝は
夭折
(
ようせつ
)
し、造顔師はほとんど途方に迷い
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
たち拠らば大樹の陰、たとえば鴎外、森林太郎、かれの年少の友、笠井一なる
夭折
(
ようせつ
)
の作家の人となりを語り、そうして、その縊死のあとさきに就いて書きしるす。
狂言の神
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
抽斎の父
允成
(
ただしげ
)
である。その間と左とに高祖父と父との配偶、
夭折
(
ようせつ
)
した允成の
女
(
むすめ
)
二人
(
ふたり
)
の
法諡
(
ほうし
)
が彫ってある。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
高等学校時分の事でした、親友に米山保三郎という人、
夭折
(
ようせつ
)
しましたが、この人が
説諭
(
せつゆ
)
しました。その説諭に曰く、セントポールのような家は我国にははやらない。
おはなし
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が私がそのような手紙を宛てた久保正夫君は、京都大学を卒えて、同志社大学に君独特のスタイルでのフィヒテ哲学を講じつつあった間に、惜しくも
夭折
(
ようせつ
)
してしまった。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
そして二三年
同棲
(
どうせい
)
しているうちに、一子を設けたが
夭折
(
ようせつ
)
させた。請地にある上条氏の墓のかたわらに、一基の小さな墓石がある。それがその
薄倖
(
はっこう
)
な小児の墓なのであった。
花を持てる女
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
但し
上山草人
(
かみやまそうじん
)
の正妻であった
山川浦路
(
やまかわうらじ
)
の妹で、後に女優になって
夭折
(
ようせつ
)
した
上山珊瑚
(
かみやまさんご
)
、——彼女には大分
思召
(
おぼしめし
)
があったらしい。あるいはただの関係ではなかったかも知れない。
文壇昔ばなし
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
僕の「点鬼簿」に加えたいのは
勿論
(
もちろん
)
この姉のことではない。丁度僕の生まれる前に突然
夭折
(
ようせつ
)
した姉のことである。僕等三人の姉弟の中でも一番賢かったと云う姉のことである。
点鬼簿
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
(まんなかの父⦅草壁太子⦆は
夭折
(
ようせつ
)
したのだ。然し、母は残り、これ又、次に天皇となる)
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
すでに、葬られている子供たち——
夭折
(
ようせつ
)
した国子、一枝、死産児、などのことを考えた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
そしてこの苗の生長を楽しみにしておられた博士は不幸にして
夭折
(
ようせつ
)
されたのである。
郷土的味覚
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その
涵養
(
かんよう
)
せる新智識と独得の才気を以て各種の事業を企て、大部分失敗に終ったが、この新たなる経験を利用して将来大いに為すべき望みを持ちながら、不幸にも
夭折
(
ようせつ
)
してしまった。
東洋学人を懐う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
最初に出来た長子が
夭折
(
ようせつ
)
し、次に生れた長女はひ弱くて心細かったのでしょう、その頃
石見国美濃郡
(
いわみのくにみのごおり
)
に高橋
魯庵
(
ろあん
)
という人があって、その子の順吉というのが
夙慧
(
しゅくけい
)
として聞えていましたので
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
とはいえ私は十六七歳になってから、こうした父の言葉を痛切に
感佩
(
かんぱい
)
し、一も体力、二も体力と考えるようになった。さもなければ私は二十四五位で所謂、
夭折
(
ようせつ
)
というのをやっていたかも知れない。
父杉山茂丸を語る
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
このごろ庸三は彼女に少し
寛
(
くつろ
)
ぎを見せるようになったが、
夭折
(
ようせつ
)
した彼女の良人三須春洋の幻が、いつも庸三の目にちらついた。その上彼女は同じ肺病同志が結婚したので、
痰
(
たん
)
が胸にごろごろしていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
後深草は
崩
(
ほう
)
ぜられ、亀山上皇も
御逝去
(
みまか
)
られた。さらに後二条も、在位わずか五年で
夭折
(
ようせつ
)
され、かねての皇太子、富仁親王が御位についた。これを
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その癖父親は鵠介の弟の神童じみたのが
夭折
(
ようせつ
)
したのを惜んで、鵠介を不肖の子として扱っているらしい。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
長男が
夭折
(
ようせつ
)
したため家督になおったのであるが、二男らしい
濶達
(
かったつ
)
な気性と、二十八歳という若さと藩主になってようやく五年、そろそろなにか始めそうなけぶりとで
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
私はかの即興詩人時代の情趣
濃
(
こまや
)
かなM博士がなつかしい。かのハルトマンの哲学を抱いて帰朝なすった頃の博士が慕わしい。思えば独歩の
夭折
(
ようせつ
)
は私らにとって大きな損失であった。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
私は四人の子供があって、その内娘が一人、物を書いていたが
夭折
(
ようせつ
)
してしまった。
平次と生きた二十七年
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
吾輩はただでさえこのくらいな器量だから、これより色男になる必要はないようなものの、万一病気に
罹
(
かか
)
って一歳
何
(
なん
)
が
月
(
げつ
)
で
夭折
(
ようせつ
)
するような事があっては天下の
蒼生
(
そうせい
)
に対して申し訳がない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大貫の
夭折
(
ようせつ
)
したのなぞも、病死には違ひないけれども、時代の影響で早くから神経を疲らせてゐたことが、余程原因してゐると思ふ。彼はもうずうつと以前から「死の恐怖」を口にしてゐた。
青春物語:02 青春物語
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
文武天皇は二十五で
夭折
(
ようせつ
)
した。皇子
首
(
おびと
)
は幼少であったから、その生長をまつまで、文武天皇の母(草壁皇子の妃)が帝位についた。元明天皇である。天智天皇の娘であり、持統天皇の妹であった。
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
青年の不幸な
夭折
(
ようせつ
)
が、特に多くの会葬者を、
惹
(
ひ
)
き付けているらしかった。信一郎が、定刻の三時前に行ったときに、早くも十幾台の自動車と百台に近い
俥
(
くるま
)
が、斎場の前の広い道路に乗り捨てゝあった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「琦君、一日あれば、一日荊州の主です。あのご病弱ゆえ、もし
夭折
(
ようせつ
)
されるようなご不幸があれば、また別ですが」
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天保十二年には、岡西氏
徳
(
とく
)
が
二女
(
じじょ
)
好
(
よし
)
を生んだが、好は早世した。
閏
(
じゅん
)
正月二十六日に生れ、二月三日に死んだのである。翌十三年には、三男
八三郎
(
はちさぶろう
)
が生れたが、これも
夭折
(
ようせつ
)
した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
これを案じえない三四郎は、現に遠くから、
寂滅
(
じゃくめつ
)
の
会
(
え
)
を文字の上にながめて、
夭折
(
ようせつ
)
の哀れを、三尺の外に感じたのである。しかも、悲しいはずのところを、快くながめて、美しく感じたのである。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
才能の開花のきざしを見せただけで
夭折
(
ようせつ
)
したのは残念だった。
二十七歳
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
江東の小覇王が、こんなにはやく
夭折
(
ようせつ
)
しようとは、たれも予測していなかったことである。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それだから建築家になったら、私も門前市をなすだろうと思いました。
丁度
(
ちょうど
)
それは高等学校時分の事で、親友に
米山保三郎
(
よねやまやすさぶろう
)
という人があって、この人は
夭折
(
ようせつ
)
しましたが、この人が私に
説諭
(
せつゆ
)
しました。
無題
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
次に寛政三年六月四日に、
寄合
(
よりあい
)
戸田政五郎
(
とだまさごろう
)
家来
納戸役
(
なんどやく
)
金七両十二人扶持
川崎丈助
(
かわさきじょうすけ
)
の
女
(
むすめ
)
を迎えたが、これは四年二月に
逸
(
いつ
)
という
女
(
むすめ
)
を生んで、逸が三歳で
夭折
(
ようせつ
)
した翌年、七年二月十九日に離別せられた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と三軍、士卒の
端
(
はし
)
にいたるまでが、その
夭折
(
ようせつ
)
を、惜しまぬはなかったという。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
千菊の
夭折
(
ようせつ
)
したあとは小太郎の二男三郎が立てた。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そうした風格が余りにも若くから備わり過ぎていたのも、後に思えば、短命な花の早咲きであったのか、安政二年の夏七月、実に、余りにも
飽
(
あ
)
っ気なく、静山は
夭折
(
ようせつ
)
してしまったのであった。
剣の四君子:04 高橋泥舟
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一男は
夭折
(
ようせつ
)
し、その下の
藤勝
(
ふじかつ
)
はまだ幼い。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“夭折”の意味
《名詞》
若くして死ぬこと。
(出典:Wiktionary)
夭
漢検1級
部首:⼤
4画
折
常用漢字
小4
部首:⼿
7画
“夭”で始まる語句
夭死
夭
夭札
夭々
夭逝
夭亡
夭壽
夭扎
夭邪
夭死者