-
トップ
>
-
大廣間
>
-
おほひろま
愛ちやんは
扇子と
手套とを
取り
上げ、
大廣間が
甚だ
暑かつたので、
始終扇子を
使ひながら
話し
續けました。
座敷は——こんな
貸家建ぢやありません。
壁も、
床も、
皆彩色した
石を
敷いた、
明放した
二階の
大廣間、
客室なんです。
到頭其處に
深さ
殆んど四五
寸の
大きな
池が
出來て、
大廣間が
半分も
浸つて
了ひました。
上段づきの
大廣間、
正面一段高い
處に、
疊二疊もあらうと
思ふ、
恰も
炎の
池の
如き
眞鍮の
大火鉢、
炭火の
烈々としたのを
前に
控へて、
唯見る
一個の
大丈夫。
手を
緊めて、
差窺ふ、
母屋の、
遠く
幽なやうな
帳場から、
明の
末が
茫と
屆く。
池に
面した
大廣間、
中は四五十
疊と
思はるゝ、
薄暗い
障子の
數の
眞中あたり。
わつと
云つて、
一同逆雪頽に
飛出したと
思ふと、
元の
大廣間で、
其の
畫、
儼然として
壁に
異彩を
放つ。