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咽喉
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いんこう
ふりがな文庫
“
咽喉
(
いんこう
)” の例文
何はともかく、本土に近い海路の
咽喉
(
いんこう
)
岡崎の港——
撫養
(
むや
)
街道を駆けぬけて周馬を追い越し、そこできゃつを引っ捕えなければならぬ。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さうだね。」諧謔作家は
咽喉
(
いんこう
)
を締められた鴎のやうな声を出した。「小さくつていゝから、島を一つもつて来てくれ。」
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
元來
(
ぐわんらい
)
咽喉
(
いんこう
)
を
害
(
がい
)
してゐた
私
(
わたくし
)
は、
手巾
(
ハンケチ
)
を
顏
(
かほ
)
に
當
(
あ
)
てる
暇
(
ひま
)
さへなく、この
煙
(
けむり
)
を
滿面
(
まんめん
)
に
浴
(
あ
)
びせられたおかげで、
殆
(
ほとんど
)
、
息
(
いき
)
もつけない
程
(
ほど
)
咳
(
せ
)
きこまなければならなかつた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
夕
(
ゆうべ
)
の昌平橋は
雑沓
(
ざっとう
)
する。内神田の
咽喉
(
いんこう
)
を
扼
(
やく
)
している、ここの
狭隘
(
きょうあい
)
に、おりおり捲き起される冷たい
埃
(
ほこり
)
を浴びて、影のような
群集
(
ぐんじゅ
)
が
忙
(
せわ
)
しげに
摩
(
す
)
れ違っている。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
検屍官は更にテーブルのはしへ廻って、死体の
頤
(
あご
)
から頭の上にかかっている絹のハンカチーフを取りはずすと、
咽喉
(
いんこう
)
がどうなっているかということが
露
(
あら
)
われた。
世界怪談名作集:04 妖物
(新字新仮名)
/
アンブローズ・ビアス
(著)
▼ もっと見る
役員や待合の若い
子息
(
むすこ
)
に、耳鼻
咽喉
(
いんこう
)
の医師、
煙草屋
(
たばこや
)
の二男に酒屋の主人など、予備の中年者も多かった。地廻りの不良も召集され、運転士も幾人か出て行った。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
此
(
これ
)
皆
開平
(
かいへい
)
の東北の地なり。時に
余瑱
(
よてん
)
居庸関
(
きょようかん
)
を守る。王曰く、居庸は
険隘
(
けんあい
)
にして、北平の
咽喉
(
いんこう
)
也、敵
此
(
ここ
)
に
拠
(
よ
)
るは、
是
(
こ
)
れ我が
背
(
はい
)
を
拊
(
う
)
つなり、急に取らざる可からずと。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
咽喉
(
いんこう
)
を害し睡眠を妨げられるばかりでなく、しだいに視力さえも薄れてくるのだから、自然そうした
瘴気
(
しょうき
)
に抵抗力の強い大型な
黄金
(
こがね
)
虫ややすでやむかで、あるいは
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
彼の
咽喉
(
いんこう
)
部に向って突貫をやるです、この
手断
(
しゅだん
)
をやればどんな犬でも驚鳴敗走再び近寄っては来ません、この手断を覚てから犬に対する恐怖心全くなくなりました
竹乃里人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
地ハ三陸二羽ノ
咽喉
(
いんこう
)
ヲ占メ、百貨
輻湊
(
ふくそう
)
シ、東京以北ノ一都会タリ。昨春
兵燹
(
へいせん
)
ニ係リ
闔駅蕩然
(
こうえきとうぜん
)
タリ。今往往土木ヲ興ス。然レドモイマダ
能
(
よ
)
ク前日ノ三分ノ二ニ復セズ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ここを占有しているドイツは東洋の
咽喉
(
いんこう
)
を
扼
(
やく
)
しているようなものだという意味を婉曲に匂わせながら聴衆の中に交じっている日本留学生の自分の顔を見てにこにこした。
ベルリン大学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
夫は感冒予防の
嗽
(
うが
)
いをしろと云って、わざと度の強い過酸化水素水を
拵
(
こしら
)
えて、それで始終彼女に嗽いをさせていました。そのために彼女は
咽喉
(
いんこう
)
カタールを起していたのです。
途上
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
被害者の
咽喉
(
いんこう
)
部にありしという、しめつけられたるごとき負傷は、自動車の衝突によりて自然に生じたるものとは絶対に信じ難い、車内にてかかる性質の傷を受くる可能性なければなり
鉄の規律
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
ために平素往々
患
(
うれ
)
うる所の、
扁桃腺炎
(
へんとうせんえん
)
を誘起し、体温上昇し
咽喉
(
いんこう
)
腫
(
は
)
れ
塞
(
ふさ
)
がりて、
湯水
(
ゆみず
)
も通ずること能わず、
病褥
(
びょうじょく
)
に
呻吟
(
しんぎん
)
すること旬余日、僅かに
手療治
(
てりょうじ
)
位にて幸に
平癒
(
へいゆ
)
せんとしつつありしが
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
果たしてしからば、その声は、もとより唇舌の間に発するものにあらずして、多分
咽喉
(
いんこう
)
の辺りより発するものなるべければ、これを聴きてその位置を指定し難きも、もとより当然のこととす。
甲州郡内妖怪事件取り調べ報告
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
西蝦夷の生命をささえる
咽喉
(
いんこう
)
にあたっていた。従って、大きく
纏
(
まとま
)
った取引きはこの地に来なければ
埓
(
らち
)
があかないのだ。そこに
慇懃
(
いんぎん
)
を通じなければ糧米をととのえることが出来ないのであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
たしかにまちがいのないことを知ると、彼は歯をくい
縛
(
しば
)
り、思わず力を両手にこめた。男は身をもがいて、
苦悶
(
くもん
)
の
呻
(
うめ
)
きを
洩
(
も
)
らした。
陵
(
りょう
)
の手が無意識のうちにその男の
咽喉
(
いんこう
)
を
扼
(
やく
)
していたのである。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
『それはね、魔薬をかけたあとで入歯が
咽喉
(
いんこう
)
に入ると危いから——。』
青白き夢
(新字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
識らず
咽喉
(
いんこう
)
形勢
(
けいせい
)
の地
緑衣人伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
すなわち要道の
咽喉
(
いんこう
)
たる街亭附近の地図をひろげ、地形陣取りの法をくわしく説き、決して、進んで長安を攻めとると考えるな。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たま/\北辺に
寇警
(
こうけい
)
ありしを機とし、防辺を名となし、燕藩の護衛の兵を調して
塞
(
さい
)
を
出
(
い
)
でしめ、其の
羽翼
(
うよく
)
を去りて、其の
咽喉
(
いんこう
)
を
扼
(
やく
)
せんとし、
乃
(
すなわ
)
ち
工部侍郎
(
こうぶじろう
)
張昺
(
ちょうへい
)
をもて
北平左布政使
(
ほくへいさふせいし
)
となし
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その後間もなく市政の
布
(
し
)
かれたこの町は、太平洋に突き出た
牡鹿
(
おじか
)
半島の
咽喉
(
いんこう
)
を
扼
(
やく
)
し、仙台湾に注ぐ
北上河
(
きたかみがわ
)
の河口に臨んだ物資の集散地で、鉄道輸送の開ける前は、海と河との水運により
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
死因に関しては前頭部の後方の
打撲
(
だぼく
)
傷による内出血説と
咽喉
(
いんこう
)
部を強くしめつけられたための窒息致死説との二つの説にわかれ、どちらが先に行われたかわからないということになり、多分、何者かが
鉄の規律
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「京にはいるか。止まって、大津の
咽喉
(
いんこう
)
を抑え、徐々、包囲をちぢめて網の大魚を完全に捕るか」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
形勢はまさに大津の
咽喉
(
いんこう
)
を
扼
(
やく
)
し、京都に入り、淀川に待って、大坂石山の本願寺、その他と呼応して、信長を一挙に、その間で
屠
(
ほふ
)
り去ってしまおうとする作戦かに見られる——
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「小沛は徐州の
咽喉
(
いんこう
)
だ。自身参って、防ぎ支えねばならん」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしそこは越前から京都へ通ずる
咽喉
(
いんこう
)
の要地であった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“咽喉”の解説
咽喉(いんこう)は、首の一部であり、頸椎の前方にある。内部は咽頭と喉頭から構成され、口の奥、食道と気管の上にある。咽喉の重要な特徴として、食道と気管を分け、食物が気管に入るのを防ぐ喉頭蓋がある。
咽喉には、咽頭と喉頭のほかにさまざまな血管と筋肉がある。哺乳類の咽喉にある骨は、舌骨と鎖骨だけである。
(出典:Wikipedia)
咽
常用漢字
中学
部首:⼝
9画
喉
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
“咽喉”で始まる語句
咽喉笛
咽喉仏
咽喉元
咽喉首
咽喉頸
咽喉部
咽喉太
咽喉佛
咽喉輪
咽喉管