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呂律
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ろれつ
ふりがな文庫
“
呂律
(
ろれつ
)” の例文
と、
呂律
(
ろれつ
)
のまわらない声をつづけながら、そこで息もやすまずに、元来た道のほうへ向って、また、のめるように駈け戻って行く。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
少年がナリン太子とわかった時分から私の
呂律
(
ろれつ
)
はだいぶ怪しくなってきていたが、それでもまだまだ私は飲み足りん気がしていた。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「はや、足腰もよう利かんで、さし掛傘も杖の
中
(
うち
)
じゃ。意気地はないの、
呂律
(
ろれつ
)
もよう廻らん、大分に嘘をついたからの、ははは。」
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
呂律
(
ろれつ
)
も廻らない声でお絹の名を呼びながら、庭下駄を穿いてこちらへ来るらしいのは、まさしく酒乱の神尾主膳の声であります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「橋がかりは
長
(
なげ
)
えやな、バッタリバッタリ
呂律
(
ろれつ
)
の廻らねえような足取りで歩くのは、江戸中捜したって、八五郎の外にはねえ」
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
然し、私の
呂律
(
ろれつ
)
はまわらなかった。私の舌はもつれ、殆ど、言葉を思うように表現することが、七分通り不可能になっていた。
小さな山羊の記録
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
愛之助は廻らぬ
呂律
(
ろれつ
)
で一通り事の次第を話したあとで、込み上げて来る涙を隠そうともせず、丁度泣き
上戸
(
じょうご
)
の様に、メソメソしながら続けた。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
鼓や笛の音が、杉の樹立に高く反響し、姉妹のうたう声の、澄みとおるような、美しい
呂律
(
ろれつ
)
が、これらのうえに、神秘的な印象を与えていた。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
クリストフは
呂律
(
ろれつ
)
の回らぬ叫び声をたてていた。その手は毛布を握りしめながら、そこに物を書くような格好をしていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
と
未
(
ま
)
だ腹を抱えていて
呂律
(
ろれつ
)
が廻らない。何がそんなに可笑しいのだろう? 元来が蒟蒻で、それが化物と来ているのだから到底要領を得難かった。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「負けたのよ。あなたは、負けたのよ。」かん高く叫んで、多少、
呂律
(
ろれつ
)
がまはらなかつた。よろめいて、耳をふさぎ
火の鳥
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
一番最後に来たのは、年が新らしくなつた四日目か五日目の事で、
呂律
(
ろれつ
)
の廻らぬ程酔つて居たが、本郷に居ると許りで、詳しく住所を云はなかつた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
呈したかというと彼は舌が短かすぎるのか長すぎるのか
呂律
(
ろれつ
)
が少々廻り兼ねる善人なる故に I beg your pardon という代りに
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
この町のずッと奥の方に、近ごろ出来た
石鹸
(
せっけん
)
工場の職工らしい
酔漢
(
よっぱらい
)
が、
呂律
(
ろれつ
)
の怪しい
咽喉
(
のど
)
で、
唄
(
うた
)
を
謳
(
うた
)
って通った。空車を
挽
(
ひ
)
いて帰る
懈
(
だる
)
い音などもした。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
述懐は
反
(
かへ
)
つて敬之進の胸の中を軽くさせた。其晩は割合に早く酔つて、次第に物の言ひ様も
煩
(
くど
)
く、
終
(
しまひ
)
には
呂律
(
ろれつ
)
も廻らないやうに成つて了つたのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
数えきれぬほどいる何とも言えない酔っ払いども、——ぼろっきれを着て、顔に打傷をつけ、どんよりした眼をして、
呂律
(
ろれつ
)
の廻らぬ舌でしゃべりながら
群集の人
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
呂律
(
ろれつ
)
のまわらない口でこんなことを頻りに繰返して呶鳴っているので、店の者はみんな困っているようでした。そのうちに誰かが呼んで来たのでしょう。
蜘蛛の夢
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「おや? 幻影で、いったいなにが悪いんです? これはアンタさんのお言葉とも思えないね」ガブ飲みのせいか、すでに大チャンは
呂律
(
ろれつ
)
があやしかった。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
呂律
(
ろれつ
)
の怪しい歌を一寸やめては、参右衛門は清江の枕を揺り動かすようだ。それが二三度つづいたときだった。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
彼はまだ
呂律
(
ろれつ
)
のまわらぬ舌で、切符売場の窓口にからみついた。ひどく飲みつづけていたらしい。飛行機なんか、もうとっくの昔に乗りおくれてしまっている。
暗号数字
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
福は
呂律
(
ろれつ
)
の乱れた声で言いながら、もう上衣を脱いでいた。福は相当に酔っていた。五郎も立ち上った。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
時には一合五
勺
(
しゃく
)
にふえた酒のわざで、ろくに
呂律
(
ろれつ
)
のまわらぬ
浄瑠璃
(
じょうるり
)
をあやつるようなこともあった。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
こう言ってバイエルタールは、妙にぎらぎらする瞳でマヌエラを見
据
(
す
)
えた。
魔烟
(
まえん
)
のために、大分
呂律
(
ろれつ
)
が怪しくなっているし、調子も、うきうきと薄気味悪いほどである。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
呂律
(
ろれつ
)
も廻らず、そのまま文字にうつすこともならぬが、彼が若い時、郷里へ帰つて貰つた女房を連れ、大阪へ戻る途中、花嫁である彼女が姫路のステーションで新聞を買つて
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
すると門番が敲くは敲くはと云いながら出て来て酔漢の
管
(
くだ
)
を
捲
(
ま
)
くようなたわいもない事を
呂律
(
ろれつ
)
の廻らぬ調子で述べ立てる。これが対照だ。対照も対照も一通りの対照ではない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
老人は、こう
唾罵
(
だば
)
を飛ばしながら、おいおい、
呂律
(
ろれつ
)
がまわらなくなって来た。が、なおも濁った目に懸命の
憎悪
(
ぞうお
)
を集めながら、足を踏み鳴らして、意味のない事を叫びつづける。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「だ、だ、だ、だ、誰れぢや」と、北劍はどもりと醉ひとの爲めに
呂律
(
ろれつ
)
がまはらない。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
天心先生はお酒をのむと相当
呂律
(
ろれつ
)
が廻らなくなるので何を言ってるのか聞きとれないが、聞きとれてもどういう意味か子供の私には解らなかったろうから、既にその時に記憶はない。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
北の方が先ず驚いたのは、主人の国経が常になく
酔態
(
すいたい
)
をさらけ出し、だらしない恰好で何か
呂律
(
ろれつ
)
の廻らない
濁声
(
だみごえ
)
を挙げていることであったが、左大臣もそれに劣らず酔っているらしい。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それが不思議に、酒を飮み始めてからは案外によく聞え出して、後では平常通りの聲で話が通ずる樣になつた。そして今度は向うで言ふ
呂律
(
ろれつ
)
が怪しくなつて、私の耳に聞き取りにくくなつて來た。
山寺
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
やあ、待ってました、さあさあ、こちらへ、と
呂律
(
ろれつ
)
もあやしい口調で、女ども、酒をどんどんはこべ、と阿部は自分の前のコップをとり、さあ、大きいので行こう、と彦太郎の眼の前につき出した。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「おまえ、気は確かかえ。どうしたのです。わたしの言うことが聞こえないのですか。それとも分からないとでもお言いなのですか。お蔭さまで、わたしはまだ正気でいるし、
呂律
(
ろれつ
)
もちゃんと廻っているのですよ」
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
定次郎は次第に
呂律
(
ろれつ
)
が廻らなくなって来た。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
呂律
(
ろれつ
)
もちゃんといくらかよくなって。
獄中への手紙:10 一九四三年(昭和十八年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「——わかたなは、あんやたい——」若旦那は、ありがたいか、暖かな、あの屋台か、
五音
(
ごいん
)
が乱れ、もう、よいよい染みて
呂律
(
ろれつ
)
が廻らぬ。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二十一になつても
呂律
(
ろれつ
)
の廻らねえのが、殿樣にせがんで、中間の半次といふのと一緒に、同じ船の中に居たからたまりません
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
諸戸もその同じ不吉な言葉を繰返している内に、麻酔剤の利いて来る様に、段々
呂律
(
ろれつ
)
が廻らなくなってきてそのままグッタリとなってしまった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そしてまず子供の耳を引張りながら、
呂律
(
ろれつ
)
の回らぬ早口で、子供が父にたいしていだくべき尊敬について説教を始めた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あのだみ声の
呂律
(
ろれつ
)
でも、足踏みのしどろもどろでも分る通り、酒という魔物が手伝って、あれをああさせているのだ。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「負けたのよ。あなたは、負けたのよ。」かん高く叫んで、多少、
呂律
(
ろれつ
)
がまわらなかった。よろめいて、耳をふさぎ
火の鳥
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「その
方
(
かた
)
は何うしても正確に仰有れなかったのでございます。そこで、あの男は
呂律
(
ろれつ
)
が廻らないから少し足りないのだろうということになりました」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
呷
(
あお
)
ったウイスキイの酔いで、目がとろんこになり、足も少しふらつき気味で、
呂律
(
ろれつ
)
も乱れがちに、でれんとした姿で庸三の
傍
(
そば
)
に寄って来ることもあった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
呂律
(
ろれつ
)
が廻らなくなることは同じことだが、理性は案外シッカリしていて、ちょッとした大言壮語するぐらいで、大人のように取り乱した酔い方はしないものだ。
安吾巷談:06 東京ジャングル探検
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そしてそのまた隣りでも。——三軒めの役人は酔っているとみえて
呂律
(
ろれつ
)
が怪しい、「おれをよく眺めろ」
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
まあ一
杯
(
ぱい
)
、おや僕が飲めと云うのに……などと
呂律
(
ろれつ
)
の
巡
(
まわ
)
りかねるのも
一人二人
(
ひとりふたり
)
出来て来た。少々
退屈
(
たいくつ
)
したから便所へ行って、昔風な庭を星明りにすかして
眺
(
なが
)
めていると山嵐が来た。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
呂律
(
ろれつ
)
の乱れた声であったけれども、それは目が覚めるほど鮮かな肉体の声であった。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
反逆の
呂律
(
ろれつ
)
の手ほどきをしてくれたのはこの父ではなかつたか。その頃まかれた種は芽生えようとしてゐる。燐寸工場で
刷板部
(
すりはんぶ
)
の勇敢な女工の組織を彼女が中心になつて始めてゐたのだ。
反逆の呂律
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
譚はテエブルに
頬杖
(
ほおづえ
)
をつき、そろそろ
呂律
(
ろれつ
)
の怪しい舌にこう僕へ話しかけた。
湖南の扇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今までぐでん/\に酔いしれていた国経は、急に
活
(
かつ
)
を入れられたようにしゃんとして立っていた。言葉も
呂律
(
ろれつ
)
が廻らなかったのが、てきぱきした物云いで、りん/\と響き渡るように云った。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「おかしいな!
呂律
(
ろれつ
)
が、廻らなくなってきたぞ」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
“呂律”の意味
《名詞》
呂 律 (ろれつ)
言葉の調子。
物を言うときの調子。
(出典:Wiktionary)
呂
常用漢字
中学
部首:⼝
7画
律
常用漢字
小6
部首:⼻
9画
“呂”で始まる語句
呂宋
呂布
呂
呂蒙
呂昇
呂虔
呂範
呂々
呂曠
呂望