トップ
>
吾妻
>
あずま
ふりがな文庫
“
吾妻
(
あずま
)” の例文
かくてその坂にお登りになつて非常にお歎きになつて、「わたしの妻はなあ」と仰せられました。それからこの國を
吾妻
(
あずま
)
とはいうのです。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
三十歳を半ば越しても、六本の
高調子
(
たかじょうし
)
で「
吾妻
(
あずま
)
八景」の——松葉かんざし、うたすじの、道の石ふみ、露ふみわけて、ふくむ
矢立
(
やたて
)
の、すみイだ河……
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
例の荒川にわたしたるなれば、その大なるはいうまでもなく、いといかめしき鉄の橋にて、打見たるところ東京なる
吾妻
(
あずま
)
橋によく似かよいたる節あり。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
せめて
吾妻
(
あずま
)
橋まで——今くず折れるのはまだ恥かしく、口惜しい——だが室子はその時すでに気を失いつつあった。
娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
東京では
向島
(
むこうじま
)
の
吾妻
(
あずま
)
神社の脇にある
相生
(
あいおい
)
の楠もその一つで、根本から四尺ほどの所が
二股
(
ふたまた
)
に分れていますが、始めは二本の木であったものと思われます。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
ある朝新吉が、帳場で帳面を調べていると、店先へ
淡色
(
うすいろ
)
の
吾妻
(
あずま
)
コートを着た
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しの女が一人、
腕車
(
くるま
)
でやって来た。それが小野の内儀さんのお国であった。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「はい、
吾妻
(
あずま
)
川の
湖
(
みずうみ
)
へ出ますところで、二人とも、しっかり抱き合い身を投げたのを、今朝の暗いうちに、倉屋敷の船頭衆が見つけまして大騒ぎになりました」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
百本
杭
(
ぐい
)
から
吾妻
(
あずま
)
橋の方角へ、大川端をぶらぶらと歩いてゆくと、向島の桜はまだ青葉にはなり切らないので、遅い花見らしい男や女の群れがときどきに通った。
半七捕物帳:30 あま酒売
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
凛々
(
りり
)
しき声に
前
(
さき
)
を払わして
手套
(
てぶくろ
)
を脱ぎつつ入り来る武男のあとより、
外套
(
がいとう
)
と
吾妻
(
あずま
)
コートを
婢
(
おんな
)
に渡しつつ、浪子は夫に引き沿うてしとやかに座につき、手をつかえつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
長い間この辺から
吾妻
(
あずま
)
橋へかけて探したのは大間違で、あいつの穴というのは、浅野セメントの近所、
清洲橋
(
きよすばし
)
からあまり遠くない所にあるに相違ねエと睨んだがどうだい
悪人の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
花婿は黒山高帽子に毛皮の
襟
(
えり
)
の付きたる
外套
(
がいとう
)
を
着
(
ちゃく
)
して、喜色満面に
溢
(
あふ
)
れていたるに引きかえ、花嫁はそれと正反対、紺色の
吾妻
(
あずま
)
コートに白の肩掛、髪も結ばず
束
(
たば
)
のままの
モルガンお雪
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
『日本紀』七に日本武尊東征の帰途、
毎
(
つね
)
に水死した
弟橘媛
(
おとたちばなひめ
)
を忍びたもう。故に
碓氷嶺
(
うすひね
)
に登りて東南を望み三たび歎じて
吾妻
(
あずま
)
はやといった。爾来東国を吾妻の国というと見える。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
葉子は
吾妻
(
あずま
)
コートも脱がずにいいかげんぬれたままで黙ってそのあとからついて行った。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
忽然
(
こつぜん
)
として会堂の戸が開いた。中から人が出る。人は天国から
浮世
(
うきよ
)
へ帰る。美禰子は終りから四番目であった。
縞
(
しま
)
の
吾妻
(
あずま
)
コートを着て、うつ向いて、上り口の階段を降りて来た。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
向うに見える、庭口から巣鴨の通へ出ようとする
枝折門
(
しおりもん
)
に、
曳
(
ひ
)
きつけた
腕車
(
くるま
)
の
傍
(
わき
)
に、栗梅のお
召縮緬
(
めしちりめん
)
の
吾妻
(
あずま
)
コオトを着て……いや、着ながらでさ、……立っていたのがお夏さんでね。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
帝室にして
能
(
よ
)
くその地位を守り
幾艱難
(
いくかんなん
)
のその間にも
至尊
(
しそん
)
犯
(
おか
)
すべからざるの一義を
貫
(
つらぬ
)
き、たとえば
彼
(
か
)
の有名なる
中山大納言
(
なかやまだいなごん
)
が
東下
(
とうか
)
したるとき、将軍家を
目
(
もく
)
して
吾妻
(
あずま
)
の代官と放言したりというがごとき
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
陰惨
(
いんさん
)
な灰色の天地から、都鳥なく
吾妻
(
あずま
)
の空へ……。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
なれし
吾妻
(
あずま
)
の花や散るらん
現代語訳 平家物語:10 第十巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
六
吾妻
(
あずま
)
はやとし
日本武
(
やまとたけ
)
県歌 信濃の国
(新字新仮名)
/
浅井洌
(著)
芸者襟付の
不断着
(
ふだんぎ
)
に帯は
必
(
かならず
)
引掛
(
ひっかけ
)
にして
前掛
(
まえかけ
)
をしめ、黒縮緬五ツ紋の
羽織
(
はおり
)
を着て
素足
(
すあし
)
にて
寄席
(
よせ
)
なぞへ行きたり。毛織のショール既にすたれて
吾妻
(
あずま
)
コート流行。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「
吾妻
(
あずま
)
橋を渡りましたら駕籠がありましょう。いや、これはどうもいろいろ御厄介になりました」
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三番目に
見栄
(
みば
)
えのしない
小躯
(
こがら
)
のお作が、ひょッこりと降りると、その後から、叔父の連合いだという四十ばかりの女が、黒い
吾妻
(
あずま
)
コートを着て、「ハイ、御苦労さま。」と軽い東京弁で
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
関西で
吾妻
(
あずま
)
菊、東国で
蝦夷
(
えぞ
)
菊というものと色も形もほぼ同じで、あれよりもはるかに姿が弱々しく、地を去ることわずかに二、三寸、青い空をまぶしがり、海の音に聞き入るような花であった。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
藤色
(
ふじいろ
)
縮緬
(
ちりめん
)
のおこそ
頭巾
(
ずきん
)
とともに信玄袋をわきへ押しやり、浪子の枕べ近く立ち寄るは島田の十七八、紺地
斜綾
(
はすあや
)
の
吾妻
(
あずま
)
コートにすらりとした姿を包んで、
三日月眉
(
みかづきまゆ
)
におやかに、
凛々
(
りり
)
しき黒目がちの
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そこでその老人を譽めて、
吾妻
(
あずま
)
の國の造になさいました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
オリブ色の
吾妻
(
あずま
)
コオトの
袂
(
たもと
)
のふりから
二枚重
(
にまいがさね
)
の
紅裏
(
もみうら
)
を
揃
(
そろ
)
わせ、片手に
進物
(
しんもつ
)
の菓子折ででもあるらしい絞りの
福紗包
(
ふくさづつみ
)
を持ち、出口に近い釣革へつかまると、その下の腰掛から
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
勿論、その逃げてゆくうしろ姿を見つけた者はあったが、人間の河童は
陸
(
おか
)
でも身が軽いので、あれあれといううちに
吾妻
(
あずま
)
橋の方へ飛んで行ってしまった。そこへ幸次郎が帰って来た。
半七捕物帳:19 お照の父
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
古来鳥居奥村両派の
画
(
え
)
に見たる太くして
円味
(
まるみ
)
ある古風の線は今や細く鋭く鮮明となり、衣裳の模様は極めて綿密に描き
出
(
いだ
)
されその色彩はいはゆる
吾妻
(
あずま
)
錦絵の佳美を誇ると共に
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
吾妻
(
あずま
)
橋を渡って、本所を通り越して、深川の果ての果て、砂村
新田
(
しんでん
)
の稲荷前にゆき着いたのは八幡の鐘がもう夕七つ(午後四時)を撞き出したあとで、春といってもまだ
日晷
(
ひあし
)
の短いこの頃の夕風は
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
長吉は
顫
(
ふる
)
えた。お糸である。お糸は立派なセルの
吾妻
(
あずま
)
コオトの
紐
(
ひも
)
を
解
(
と
)
き解き上って来た。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
吾
漢検準1級
部首:⼝
7画
妻
常用漢字
小5
部首:⼥
8画
“吾妻”で始まる語句
吾妻橋
吾妻下駄
吾妻鏡
吾妻山
吾妻川
吾妻村
吾妻屋
吾妻座
吾妻袂
吾妻鑑