再興さいこう)” の例文
「伊那丸どの、お返し申すしなはこのなかにある。すなわち、それは武田家たけだけのご再興さいこうになくてかなわぬ什宝じゅうほう御旗みはた楯無たてなし名器めいきでござりますぞ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夫切それきりたえ此落語このらくごふものはなかつたのでございます。それよりくだつて天明てんめいねんいたり、落語らくごふものが再興さいこういたしました。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
其方儀不正の無之これなく而已のみならずが家の衰頽すゐたい再興さいこうせんことを年來心掛たくはへたる金子ををしむ事なく叔母早へ分與わけあたへたるはじんなり義なり憑司ひやうじしやう次郎とまじはりをたちを退ひたるは智なり又梅を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
孫權そんけん或時あるときさう再興さいこうをして屏風びやうぶゑがかしむ、畫伯ぐわはくふでつてあやまつておとしてしろきにてんつ。つてごまかして、はへとなす、孫權そんけんしんなることをうたがうてもつはじいてかへりみてわらふといへり。
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それから一時いちじ中絶ちうぜつした我楽多文庫がらくたぶんこです、吉岡書籍店よしをかしよじやくてん引受ひきうけて見たいとふので、ぢき再興さいこうさせて、文庫ぶんこ改題かいだいして、かた菊版きくばんなほしました、これ新著百種しんちよひやくしゆ壱号いちがうが出るとも無く発行はつかうしたので
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
わしもおまへのやうな大きな身代しんだいになりたい、くにいへつぶれたから江戸えどかせいで、くにいへ再興さいこうしたいと思つて出てたのだから、どうか資本もとでしてくれとふと、多助たすけがそりやアいけない
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
そなたが、うしなった甲斐かいの領土の甲斐源氏かいげんじいえ再興さいこうしたいという願望がんぼうは、まさしくこうである、正義せいぎである、男子のなすべき事業じぎょうである。だが、考えてたもれ、今は天下大事てんかだいじときである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一日も早く成長せいちやうさせて藤崎の家を再興さいこうせらるゝが佛へたいし何よりの追善つゐぜんなりと言諭いひさとされてくやし涙に暮ながら唯此上はせがれ道之助が一日も早く成長なしふだつじにて十兵衞とやらを殺害なしたる本人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
や、や、や! ではこの伊那丸いなまるが、かくまで心をくだいて、武田家たけだけ再興さいこうはかっているのに、お父上には、もう現世げんせの争闘をおみあそばして、まったく、心からの世捨人よすてびととおなりなされたのですか
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)