くわい)” の例文
旧字:
くわいがあるとかで、ひるから出かけて居りますが、もう、そろそろ、帰りませう、おあがりなさい、と小さい老母は、やさしく招いた。
火の鳥 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
其時平岡は座敷の真中まんなか引繰ひつくかへつててゐた。昨夕ゆふべどこかのくわいて、飲みごした結果けつくわだと云つて、赤いをしきりにこすつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
成程なるほどと思つて当日たうじつつて見ると、幟等のぼりなどさかんに落語はなしくわいがあつたといふ。して見ると無理に衆人ひとかせよう、とわけでもなんでもなかつたのでござります。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
すべての自然は妙術なれば汝の能く解する所ならじ、凡ての偶事は指呼に従ふものにして汝の関する所ならじ、凡ての不和は遂に調和なる事も汝がくわいし得る所ならじ
厭世詩家と女性 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
此日このひくわいみやびなりしをおもして、詩を作らう、詩を作らう、和韻わゐんに人をおどろかしたいものともだへしが、一心いつしんつては不思議ふしぎ感応かんおうもあるものにて、近日きんじつ突然とつぜんとして一詩たり
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
これより音楽会おんがくくわい つづいておどりの大くわいをひらきます
ことわりますか」と聞いた。代助は此間から珍らしくあるくわいを一二回欠席した。来客もはないでむと思ふ分は両度程謝絶した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此噺このはなし日外いつぞやしも日待ひまちとき開始ひらきはじめしより、いざや一くわいもよほさんと、四方赤良大人よものあからうし朱楽管江大人あけらくわんかううし鹿都辺真顔しかつべまがほ大屋おほや裏住うらずみ竹杖たけづゑ為軽すがる、つむりの光、宿屋やどや飯盛めしもりを始めとして
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
う云ふ意味があるのか、ちつとも知らなかつた。それで君が発起人だと云ふんだが、くわいをやる時、君の名前で通知をして、さう云ふえら人達ひとたちがみんなつてるのかな」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
向島むかうじま武蔵屋むさしや落語らくごくわい権三ごんざますと、四方よも大人うしふでにみしらせ、おのれ焉馬えんば判者はんじやになれよと、狂歌きやうかの友どち一ぴやく余人よにん戯作げさくの口を開けば、遠からん者は長崎ながさきから強飯こはめしはなし、近くば
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
馬鹿ばか云つちや不可いけない。発起人つて、表向おもてむきの発起人ぢやない。たゞ僕がさう云ふくわいを企だてたのだ。つまり僕が原口さんをすゝめて、万事ばんじ原口さんが周旋する様にこしらへたのだ」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「あの晩、原口さんが、先生に文芸家のくわいをやるからろと、勧めてゐたらう」と云ふ。三四郎は無論覚えてゐる。与次郎のはなしによると、実はあれも自身の発起にかゝるものださうだ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御父おとうさんはくわいだ」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)