“ようよう”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヨウヨウ
語句割合
漸々44.1%
揚々11.8%
妖々6.9%
洋々4.9%
漾々4.9%
揺々3.9%
燿々2.9%
瑤々2.9%
雍容2.9%
杳々2.0%
溶々2.0%
耀々2.0%
遥々2.0%
瑶々1.0%
夭々1.0%
溶溶1.0%
溶漾1.0%
要用1.0%
雝々1.0%
颺々1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
事務所から疲れ切って道子は義兄と会食の約束があった竹葉へかけつけ、折角であった御馳走も今漸々ようよう胸に落付いたような工合である。
築地河岸 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
八五郎は飛んで行きましたが、得意の耳と鼻を働かせて、二た刻ばかりつと、揚々ようようと帰って来ました。後ろにはお北がいております。
じょうあまりな白木しらきの十字架は、八人の手下にゆらゆらとささえられ、すぐそばに呂宋兵衛るそんべえが、南蛮錦なんばんにしき陣羽織じんばおりに身をつつみ、白馬はくばにまたがり、十二鉄騎てっきにまもられながら、妖々ようよう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その綜合的美観はその位置と丘陵の高さとが、明らかにして洋々ようようたる河川の大景たいけい相俟あいまって、よく調和して映照えいしょうしているにある。加えて、蒼古そうこな森林相がその麓からうちのぼっている。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
彼はその中へ飛び込んで、恍惚として泳ぎ、漾々ようようとして波のまにまにただよい、そして嵐の中に全く沈んでしまうことができる。
神童 (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
董卓は早くも車駕を命じ、珠簾しゅれん宝台ほうだいに貂蝉を抱き乗せ、扈従こじゅうの兵馬一万に前後を守らせ、郿塢びうの仙境をさして、揺々ようようと発してしまった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
欄を濡らしている涙の下は、元日の明るい陽を燿々ようようと乗せて、無限の希望へかがやいて行く若水わかみずのせせらぎであったが。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白きは浪裏白跳の張順の四か。黒きはさすが弱りぬいた李逵りきのもがきか。瑤々ようようたる波騒なみざいのかすかに立つところ、見ゆるが如くまた見えぬようでもある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼が言う所、何ぞそれ雍容ようよう悠長なる。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
その上方に日本アルプスの北部が杳々ようようとして最後の背景をなしている、また兎、中、駒、八海、荒沢、大鳥岳の連嶺は数十条の残雪を有していて、蒲原かんばらの平野も日本海も脚下に開展している
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
学生は学生らしくすべしという訓戒をたれた敬虔けいけんな態度を見ると、竹やりむしろ旗の暴動よりも、静粛の方がどれだけりっぱかしれないという溶々ようよう大海のごとき寛濶かんかつな気持ちが全身にみなぎった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
実際今の万吉は、春の鳥のように軽快だ、前途に耀々ようようたる曙光しょこうがある。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朝のもやがすっかり晴れて、雲雀ひばりは高く舞い、林から畑、畑から遠く農家の屋根、それから木々の絶え間には、試合のあった御岳山あたりの山々が、いま眠りからめたように遥々ようようとして見え渡ります。
かなりおおきな船だ。蓆帆むしろぼに風が鳴り、揚子江の黄いろい水が、瑶々ようようとそのふなべりを洗い、見るまに、手をうち振る江岸の人々も街も小さくうすれ去った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、その雲鬂花顔うんびんかがんに、一万金の愛想笑あいそえみをこぼして、金簪きんさん瑶々ようようと立って行った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
桃之ももの夭々ようよう、其葉蓁々しんしん、桃の節句は昔から婚嫁こんかの季節だ。村の嫁入よめいり婿取むことりは多く此頃に行われる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
女の体をんでしまった大川おおかわの水は、何のこだわりもないようにぼかされた月の光の下を溶溶ようようとして流れた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
前には刀禰とねの大河が溶漾ようようと流れていた。上つ瀬には桜皮かにわの舟に小檝おがいを操り、藻臥もふじ束鮒つかふなを漁ろうと、狭手さで網さしわたしている。下つ瀬には網代あじろ人が州の小屋にこもって網代にすずきのかかるのを待っている。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それは代は払ってもいが、能く積っても見なんし、どう考えてもいやに釣られて、小峯が来るか/\と思って、長い間時間を費し、それ/″\要用ようようのある身の上
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ついに「大雅思斉たいがしせい」の章の「刑干寡妻かさいをただし至干兄弟けいていにいたり以御干家邦もってかほうをぎょす」を引いて、宗右衛門が雝々ようようの和を破るのを責め、声色せいしょく共にはげしかった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あの颺々ようようとして芸術三昧ざんまいに飛揚してせた親友の、音楽が済み去ったあとで余情だけは残るもののその木地きじは実は空間であると同じような妙味のある片付き方で終った。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)