“ぜんぜん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
漸々58.3%
全然22.9%
冉々6.3%
前々4.2%
蠕々4.2%
全々2.1%
喘々2.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし吾人が客観的描写に興味を有してくると、漸々ぜんぜんこの散漫と滅裂と神秘を妙に思わないような時機が到着しはせまいかと思われます。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
多少たせうはヒステリーの所爲せゐかともおもつたが、全然ぜんぜんさうともけつしかねて、しばらく茫然ぼんやりしてゐた。すると御米およねおもめた調子てうし
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
成敗せいはいを度外において、白雲の自然にしゅうを出でて冉々ぜんぜんたるごとき心持ちで一局を了してこそ、個中こちゅうあじわいはわかるものだよ
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
主人の家内のめひに当ります者が、内に引取つて御座いまして、これを私にめあはせやうと云ふ意衷つもりで、前々ぜんぜんからその話は有りましたので御座いますが、どうも私は気が向きませんもので
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
白鞭を以て地を築いてあなと成す、虫を中に置き、その上に沃盥よくかんす、少頃しばし蠕々ぜんぜん長きがごとし、竅中きょうちゅう泉湧き、倏忽しゅっこつ自ずからわだかまる、一席のごとく黒気あり香煙のごとし、ただちに簷外えんがいに出で
そうか……ううん、こちらにもいない……本当にいないんだ、全々ぜんぜん来ないそうだ、途中で?……むろん、逢わなかったさ……うん大変だよ、よしよし、ありがとう……。
白妖 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
幸か不幸か、待乳まつちの多市は、お十夜の妖刀に二ヵ所の傷を負わされながら、川長の者に救われてここに療治をうけ、今なお気息喘々ぜんぜん苦患くげんの枕に昏睡こんすいしている。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)