溶々ようよう)” の例文
なんじに筧の水の幽韻ゆういんはない。雪氷をかした山川の清冽せいれつは無い。瀑布ばくふ咆哮ほうこうは無い。大河の溶々ようようは無い。大海の汪洋おうようは無い。儞は謙遜な農家の友である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
学生は学生らしくすべしという訓戒をたれた敬虔けいけんな態度を見ると、竹やりむしろ旗の暴動よりも、静粛の方がどれだけりっぱかしれないという溶々ようよう大海のごとき寛濶かんかつな気持ちが全身にみなぎった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)