妖々ようよう)” の例文
比丘尼びくに小町うんぬんの妖々ようようたるなぞのみでしたから、名人の秀麗な面がしだいしだいに蒼白そうはくの度を加え、烱々たるまなざしが静かに徐々に閉じられて
じょうあまりな白木しらきの十字架は、八人の手下にゆらゆらとささえられ、すぐそばに呂宋兵衛るそんべえが、南蛮錦なんばんにしき陣羽織じんばおりに身をつつみ、白馬はくばにまたがり、十二鉄騎てっきにまもられながら、妖々ようよう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藤の根に猫蛇びょうだ相搏あいう妖々ようよう
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
ジャカジャカチンチンと下座のおはやしが始まるといっしょに、嫣然えんぜんとして右門主従三名のほうへびの笑いを投げかけながら、妖々ようようとそこに競い咲くごとく姿を見せた者は
奇怪も奇怪! ぶきみもぶきみ! 事実はがぜんここにいたって妖々ようようと、さらにいっそうの怪奇ななぞと疑雲に包まれ終わったかと思われましたが、しかし、両名の陳述を聴取するや同時
妖々ようようとして現われ出たものは、まだ二十六、七歳のあだめかしい、根下がりいちょうに結った青白い女の顔でしたから、ふたりが等しく意外な面持ちに打たれているとき、突然でありました。
その両眼が物におびえでもしたかのごとく妖々ようようとしてさえ渡りました。
針です! 針です! ぶきみに妖々ようようぎすまされた長い針なのです。