洋々ようよう)” の例文
これは親ごころの阿呆あほらしさに解説を加えたものであるが、まだ三十をすぎて間のない私は、身体も健康けんこうだったし、前途は洋々ようようたる希望と野心にふくれあがっていた。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
その綜合的美観はその位置と丘陵の高さとが、明らかにして洋々ようようたる河川の大景たいけい相俟あいまって、よく調和して映照えいしょうしているにある。加えて、蒼古そうこな森林相がその麓からうちのぼっている。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
彼等は新しい大陸に足を立てゝ居る。彼等の過去は、彼船と共に夢と消ゆる共、彼等の現在は荒寥こうりょうであるとも、彼等は洋々ようようたる未来を代表して居る。彼等は新世界のアダム、イヴである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
武田たけだとうのまえには、洋々ようようとしたひろい光明こうみょうが待っているかと感ぜられる。見よ! もう大根沢おおねざわ渓谷けいこくのあいだから、莞爾かんじとした富士ふじのかおが、伊那丸の無事ぶじをむかえているではないか。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、うたがやむとともに、それらのかたちかげもどこへかぼっしてしまいました。かれが、またハーモニカで、インターナショナルをうたったときには、洋々ようようたる海原うなばら前面ぜんめんがりました。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
なにしろ——前途ぜんと洋々ようようたるものだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)