揺々ようよう)” の例文
旧字:搖々
自ら太政相国だいじょうしょうこくと称し、宮門の出入には、金花の車蓋しゃがいに万珠のれんを垂れこめ、轣音れきおん揺々ようようと、行装の綺羅きらと勢威を内外に誇り示した。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
董卓は早くも車駕を命じ、珠簾しゅれん宝台ほうだいに貂蝉を抱き乗せ、扈従こじゅうの兵馬一万に前後を守らせ、郿塢びうの仙境をさして、揺々ようようと発してしまった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
関上遥けき一天を望むと、錦繍きんしゅう大旆たいはいやら無数の旗幟きしが、颯々さっさつとひるがえっている所に、青羅の傘蓋さんがい揺々ようようと風に従って雲か虹のように見えた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが秋の午過ひるすぎを、揺々ようようと、動くが如く、動かぬがごとく、いわゆる戦気満々に、発向はっこう——の一令を待っているのが、武者のみか、馬までが、もどかしげに見えるのだった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
揺々ようようたる大波はえ立ち、真っ赤な熱風はその舟も人も、またたく間に焼こうとする。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、驚いて見あげると、日月の旗、龍鳳りゅうほうはん黄羅こうらの傘を揺々ようようと張らせ、左右には、金瓜きんか銀斧ぎんふの近衛兵をしたがえた自称帝王の袁術えんじゅつが、黄金のよろいに身をかためて、傲然ごうぜんと見おろしていた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)