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漾々
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ようよう
ふりがな文庫
“
漾々
(
ようよう
)” の例文
波は
漾々
(
ようよう
)
として遠く
烟
(
けむ
)
り、月は
朧
(
おぼろ
)
に一湾の
真砂
(
まさご
)
を照して、空も
汀
(
みぎは
)
も
淡白
(
うすじろ
)
き中に、立尽せる二人の姿は墨の
滴
(
したた
)
りたるやうの影を作れり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼はその中へ飛び込んで、恍惚として泳ぎ、
漾々
(
ようよう
)
として波のまにまにただよい、そして嵐の中に全く沈んでしまうことができる。
神童
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
渠はひしとわが身を
抱
(
いだ
)
きて、松の幹に打ち当てつ。ふとかたわらを見れば、
漾々
(
ようよう
)
たる霞が池は、霜の置きたるように
微黯
(
ほのぐら
)
き月影を宿せり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あたりの風景がぼんやり緑色に
烟
(
けむ
)
って、そうしてその薄明の
漾々
(
ようよう
)
と動いている中を、真紅の旗が燃えている有様を、ああその色を、私はめそめそ泣きながら、死んでも忘れまいと思ったら
トカトントン
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
私はその流れが
何処
(
いずこ
)
に源を発し、何処に流れ去るのかを知らない。然しその河は
漾々
(
ようよう
)
として無辺際から無辺際へと流れて行く。私は又その河の両岸をなす土壌の何物であるかをも知らない。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
漾
漢検1級
部首:⽔
14画
々
3画
“漾”で始まる語句
漾
漾人
漾蕩
漾虚集