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羞
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はにか
ふりがな文庫
“
羞
(
はにか
)” の例文
絶えいるやうな
羞
(
はにか
)
みをふくんだ愛のしるしをみせてくれた、あの感動を、なぜ忘れてゐたのか、自分でも不思議なくらゐであつた。
山形屋の青春
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
だが彼はやはり固くなつて、顔を子供のやうに
赧
(
あか
)
らめた。少年の方でもそのやうな事を真顔で云はれたので、同様に
羞
(
はにか
)
む様子を見せた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
また、酌をするときには左手で右の
袂
(
たもと
)
を押えるという芸のこまかいところを演じてみせ、先生がすすめれば、
羞
(
はにか
)
みながらも杯を受けた。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
悪戯
(
いたづら
)
つぽさと
羞
(
はにか
)
みとのまざり合つてゐる様子だの、そのすべてが、何かしら微妙な、手で触れにくい、不思議な物として見えたのだつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
私は今も決して、陰気な女でもなければ憂鬱な
羞
(
はにか
)
みやでもないつもりだ。だのに、朝鮮にいた七年の間は全くその反対であった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
▼ もっと見る
そう云われて、彼の側にくっついていた小さな女の児は、いま私の視線を受け、
羞
(
はにか
)
みと得意の表情で、くるりと小父の後に隠れてしまった。
吾亦紅
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
おぬいさんの眼は、俺を見る時、少し上気した皮膚の中から大きくつやつやしく輝いて、ある
羞
(
はにか
)
みを感じながらも俺から離れようとはしない。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
指摘して貰ひ度いものだぜ。その場合には他の面々は、一朝にして紳士と豹変しようといふ厳則さへ成り立つてゐるんだから、無益な
羞
(
はにか
)
みは禁物だよ。
まぼろし
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
『ハ、其邊まで
御同伴
(
ごいつしよ
)
。』と馴々しく言ひ乍ら、
羞
(
はにか
)
む色もなく男と並んで、『マア私の方が
這麽
(
こんな
)
に小さい!』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
與吉
(
よきち
)
は
羞
(
はにか
)
んだやうにして五
厘
(
りん
)
の
銅貨
(
どうくわ
)
で
脣
(
くちびる
)
をこすりながら
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
彼
(
かれ
)
の
口
(
くち
)
の
兩端
(
りやうはし
)
には
鴉
(
からす
)
の
灸
(
きう
)
といはれて
居
(
ゐ
)
る
瘡
(
かさ
)
が
出來
(
でき
)
て
泥
(
どろ
)
でもくつゝけたやうになつて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼の親友だったシンドラーは確言している——「彼は一種の処女的な
羞
(
はにか
)
みをもって生涯を過ごし、弱点に負けて自己を責めるような羽目に陥ることは無かった」
ベートーヴェンの生涯:02 ベートーヴェンの生涯
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
お久美さんは何を思ったのかポーッと顔を赤くして
羞
(
はにか
)
む様に微笑するのを見て蕙子は何も彼もすっかり分った様な気がして薄笑いをしながら頭を左右に揺り動かして
お久美さんと其の周囲
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
又、これはほんの私の推量だが、彼が
羞
(
はにか
)
む時彼は平気なので、彼が平気な時彼は羞んでるのだ。
高橋新吉論
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
まだ
羞
(
はにか
)
みながら、しかし懸命に自己存在を主張しようとしてゐる自分の作が、無理解な土足に踏みつけられて傷ついて行くのを眺める気持、それは我が子を眺める親の気持にも似てゐよう。
独語:――癩文学といふこと――
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
青年は
羞
(
はにか
)
み
家
(
や
)
であるが、その癖人一倍、
人懐
(
ひとなつこ
)
い性格を持っているらしかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
紺飛白
(
こんがすり
)
に
小倉袴
(
こくらばかま
)
のその男は、ちょっと
羞
(
はにか
)
むように早口に云った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
羞
(
はにか
)
むものがあるように見受けるから、掲げて参考に供する。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
たちまち二人ともぎごちなく、
羞
(
はにか
)
んで、
真
(
ま
)
っ
赤
(
か
)
になる。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
宇乃は「まあ」といって
羞
(
はにか
)
み笑いをし、茶とか菓子とか、食事などの意味である、と答えた。帯刀は頷いて、宇乃は賢いからなと云った。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
肩をすぼめて
羞
(
はにか
)
みを装ふ女が好もしいか、千種は、ふと自分が後者の部類に属するのではないかと気づき、努めて自然であらうと心掛けた。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
『ハ、
其辺
(
そこいら
)
まで
御同伴
(
ごいつしよ
)
。』と
馴々敷
(
なれなれしく
)
言ひ乍ら、
羞
(
はにか
)
む色もなく男と並んで、『マア
私
(
わたし
)
の方が
這麽
(
こんな
)
に小い!』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「おとつゝあは
爺
(
ぢい
)
に
燒
(
や
)
かつたツちツてんだあ」
與吉
(
よきち
)
は
勢
(
いきほ
)
ひに
壓
(
あつ
)
せられて
羞
(
はにか
)
むやうにしながら
漸
(
やつ
)
といつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
だがAさんは食事の間、先刻の事を細君には少しも云ひ出さずに箸を動かしてゐた。主人はさういふAさんを、何度か注視した。——弟に対する自分の愛情を
羞
(
はにか
)
んでゐるのだ。
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
こっちをみつめるまなざしにも、話しぶりにも、しなを作った
羞
(
はにか
)
みようにも、薄い紙一重を隔てて見るような、もどかしさが感じられた。
饒舌りすぎる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「松代さんより弟の鋭市さんが
羞
(
はにか
)
み
屋
(
や
)
なのよ。あなたの前へ出ると、なんだか頭がしびれるみたいだつて云つてたわよ。」
花問答
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
およねは
羞
(
はにか
)
み笑いをし、しなをつくって盃を取ったが、酌をされると、その盃を持ったまま眼の隅で庭のほうを見、すぐにまた源次郎を見た。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
羞
(
はにか
)
む時以外は滅多に笑顔を見せないやうなこの菊子といふ少女は、眼鼻だちの整つた割に、ぱつとしたところのない、淋しいとは云へないまでも何処か真面目すぎるやうな感じの少女であつた。
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
てれくさそうな
羞
(
はにか
)
み笑いをうかべながら留さんは云った、「——高品さんのおかみさんがおらに呉れたで、読んだだよ」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
羞
(
はにか
)
んだ顔、うつとりなにかに見惚れてゐる顔、驚いて眼を見開いた顔、悪戯ツ児のやうに笑ひをこらへた顔、それから、だんだんに、淋しく打ち沈んだ顔、恨みを含んでちらと上眼を使つた顔
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
松吉は着替えをするために、帯を解きながら
訊
(
き
)
いた。おちづは風呂敷包をひろげながら、ちょっと
羞
(
はにか
)
んで首を振った。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「おらんこと小説に書いたって」どんな
闇夜
(
やみよ
)
でも黒く見えるという、石炭のような黒い顔に、てれくさそうな
羞
(
はにか
)
み笑いをうかべながら留さんは云った
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
むしろ
伝法
(
でんぽう
)
な姿であって、しかもその身ごなしの柔軟さや、
羞
(
はにか
)
みのために消えたそうな表情のういういしさは、たとえがたいほど
嬌
(
なまめ
)
かしく、いろめいてみえた。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
これらの呼びかけや行動は、近所の人たちの眼があり耳のあるところで公明正大に演じられるのだが、みさおは決して
羞
(
はにか
)
んだり怒ったりするようなことはない。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
まるでお世辞でも云われたように
羞
(
はにか
)
んだ、「——あいつも口の軽いのが悪い癖だから、ばかなことばかし云って人に誤解されるだ、なにしろ世間知らずだでねえよ」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
まるでお世辞でも云われたように
羞
(
はにか
)
んだ、「——あいつも口の軽いのが悪い癖だから、ばかなことばかし云って人に誤解されるだ、なにしろ世間知らずだでねえよ」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ひいきにしていただいたみなさん、どなたもおみえにならないんですよ、どうぞ参ちゃんだけはまたいらしってね」そこで
慌
(
あわ
)
てて口へ片手を当て、肩をすくめながら
羞
(
はにか
)
み笑いをした
おさん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
帰途徳田秋声を訪れた、少女が余に
羞
(
はにか
)
み
乍
(
なが
)
ら微笑した。氏の末子であると、センチメンタルな娘であると。氏は浦安に心を
索
(
ひ
)
かれているようだった。三つの一幕物を置いて来た。分るかしらん。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
少し尻さがりの眼も細かったが、絶えず
羞
(
はにか
)
んでいるような潤いがあり、人に目礼をしたり話しかけたりするときには、まるで恋でも語りかけるのかと思うほど、その眼の潤いが情熱的にみえた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
少し
尻
(
しり
)
さがりの眼も細かったが、絶えず
羞
(
はにか
)
んでいるような
潤
(
うるお
)
いがあり、人に目礼をしたり話しかけたりするときには、まるで恋でも語りかけるのかと思うほど、その眼の潤いが情熱的にみえた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それで一曲しょもうすると、少し
羞
(
はにか
)
みはしたが、いそいそと歌口をしめすのだった。心得があったのである。もとの主にまさっているとはいえぬまでも、梅八の耳には甲乙をわけがたいものだった。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「いやだわ、お嬢さんだなんて」りつ子は
羞
(
はにか
)
んだ
おごそかな渇き
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
おちづは
羞
(
はにか
)
みながら、ふと悲しげに声を曇らせた。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
七十郎はちょっと
羞
(
はにか
)
んで付け加えた。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
羞
常用漢字
中学
部首:⽺
11画
“羞”を含む語句
羞恥
含羞
羞耻
嬌羞
羞明
含羞草
可羞
羞含
羞恥心
面羞
心羞
気羞
珍羞
羞痒
多羞
羞耻心
花羞
羞渋
羞恥家
羞顔
...