山形屋の青春やまがたやのせいしゅん
山形屋の若主人宇部東吉は東京へ商品の買ひ出しに出たきり、もう二週間も帰つて来ない。そのうへ、消息がふつつり絶えたきりになつてゐる。こんなことは今までに例のないことだから、留守居の細君みよ子はもう眼を泣きはらし、父親の紋七はコタツの中でぷりぷ …