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漸々
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だんだん
ふりがな文庫
“
漸々
(
だんだん
)” の例文
「
漸々
(
だんだん
)
毛が抜け変って赤くなります。」といった。私は、好い加減な
偽
(
うそ
)
をいうのだと思って、別に「
然
(
そ
)
うか。」とも答えなかった。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
併
(
しか
)
し彼等が
漸々
(
だんだん
)
に
亡
(
ほろ
)
びて行くことは争われぬ道理で、昔に比べると
其人数
(
そのにんず
)
も非常に減って来たに相違ない。
軈
(
やが
)
ては自然と
亡
(
ほろ
)
び
尽
(
つく
)
すであろう。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
自分は此等縁辺のものを代る/″\喰ひ廻つて、そして、高等小学から中学と、
漸々
(
だんだん
)
文の林の奥へと進んだのであつた。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
貧民窟は実に静かで、夜は
漸々
(
だんだん
)
更けて行く。石油のカンテラが揺いて油烟が美しい曲線をなして立ち上る。植木は相も変らず居睡りを続けて居る。
死線を越えて:02 太陽を射るもの
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
車屋の黒はその
後
(
ご
)
跛
(
びっこ
)
になった。彼の光沢ある毛は
漸々
(
だんだん
)
色が
褪
(
さ
)
めて抜けて来る。吾輩が
琥珀
(
こはく
)
よりも美しいと評した彼の眼には
眼脂
(
めやに
)
が一杯たまっている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
木の枝
岩角
(
いわかど
)
などに
縋
(
すが
)
って、私たちの手を引っ張り上げてくれなどして、
漸々
(
だんだん
)
木のある場所まで登りましたが、さあ
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
門を叩いている音は
漸々
(
だんだん
)
激しくなる。ただの訪問者ではないことはすぐ分った。大きな
閂
(
かんぬき
)
が揺れているのだ。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを窃む為に倫敦から忍び返ってお紺を殺したのだ、其の疑いを輪田夏子へ掛け自分は其の金を隠して置き年を経るに従って
漸々
(
だんだん
)
に引き出して自分の物にして了ったのだ
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
ミハイル、アウエリヤヌイチは
元
(
もと
)
は
富
(
と
)
んでいた
大地主
(
おおじぬし
)
、
騎兵隊
(
きへいたい
)
に
属
(
ぞく
)
していた
者
(
もの
)
、しかるに
漸々
(
だんだん
)
身代
(
しんだい
)
を
耗
(
す
)
ってしまって、
貧乏
(
びんぼう
)
し、
老年
(
ろうねん
)
に
成
(
な
)
ってから、
遂
(
つい
)
にこの
郵便局
(
ゆうびんきょく
)
に
入
(
はい
)
ったので。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「有望」という事にある限界線を置いている彼等が、時折その線を突破する平一郎を
漸々
(
だんだん
)
によく思わなくなったのも無理はない。勝れたる者は苦しめられなくてはならない現世である。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
漸々
(
だんだん
)
自分の
行末
(
いくすえ
)
までが気にかかり、こうして東京に出て来たものの、
何日
(
いつ
)
我が
望
(
のぞみ
)
が
成就
(
じょうじゅ
)
して国へ
芽出度
(
めでたく
)
帰れるかなどと、つまらなく悲観に陥って、月を
仰
(
あお
)
ぎながら、
片門前
(
かたもんぜん
)
の
通
(
とおり
)
を通って
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
修禅寺の僧が泛ぶ……というような順序で、
漸々
(
だんだん
)
に筋を
纏
(
まと
)
めて行く
中
(
うち
)
に、二人の娘や婿が自然に現われる事になったのです。
修禅寺物語:――明治座五月興行――
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
美妙
(
びみょう
)
の音楽の音が響いて来て、初めは何でも遠くの方に聞こえたと思うと
漸々
(
だんだん
)
近
(
ち
)
かく、しまいには何でも池の中から湧き出て来るように思われた。
稚子ヶ淵
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
密語
(
ひそめき
)
の声は
漸々
(
だんだん
)
高まつた。中には声に出して何やら笑ふのもある。と、孝子は草履の音を忍ばせて健の
傍
(
かたはら
)
に寄つて来た。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
塔を
繞
(
めぐ
)
る音、壁にあたる音の次第に募ると思ううち、城の内にて
俄
(
にわ
)
かに人の騒ぐ
気合
(
けはい
)
がする。それが
漸々
(
だんだん
)
烈しくなる。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
つい浮かされて少しの間は面白くて元気も善いが、
漸々
(
だんだん
)
に夢が醒めるのですよ。町へ出て脚気に罹る人でも、初めから誰れが脚気に罹ると思ひますか?
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
すると黒い物が
漸々
(
だんだん
)
近づいて、それがやはり人間であるように思われた。私は、それで、
先
(
ま
)
ず大声を立てて呼んで見る気になった。其処で呼んで見た。
日没の幻影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
併
(
しか
)
し近所に銀山も拓けて、
漸々
(
だんだん
)
ここらも
賑
(
にぎや
)
かになるから、𤢖も山奥へ隠れて
了
(
しま
)
って、余り出なくなるかも知れない。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もとかなりの地位にあった彼女の父は、久しく浪人生活を続けた結果、
漸々
(
だんだん
)
経済上の苦境に陥いって来たのである。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、
漸々
(
だんだん
)
病勢が
猖獗
(
さかん
)
になるに
従
(
つ
)
れて、渠自身も余り丈夫な体ではなし、流石に不安を感ぜぬ訳に行かなくなつた。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
嘘らしいような不思議の話でも、
漸々
(
だんだん
)
に理屈を詮じ詰めて行くと、それ相当の
根拠
(
よりどころ
)
のあることを発見するものだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
日
(
ひ
)
は
漸々
(
だんだん
)
西
(
にし
)
に
傾
(
かたむ
)
いて、
波
(
なみ
)
の
上
(
うえ
)
が
黄金色
(
こがねいろ
)
に
輝
(
かがや
)
いて、あちらの
岩影
(
いわかげ
)
が
赤
(
あか
)
く
光
(
ひか
)
った
時分
(
じぶん
)
には、もうその
船
(
ふね
)
の
姿
(
すがた
)
は
波
(
なみ
)
の
中
(
うち
)
に
隠
(
かく
)
れて、
煙
(
けむり
)
が
一筋
(
ひとすじ
)
、
空
(
そら
)
に
残
(
のこ
)
っていたばかりです。
赤い船
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そうこうしている中に予科三年位から
漸々
(
だんだん
)
解るようになって来たのである。
私の経過した学生時代
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
北上川の水音は
漸々
(
だんだん
)
近くなつた。足は何時しか、町へ行く路を進んでゐた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ほんの
仄白
(
ほのじろ
)
く沙原が見えるようになった。夜が地平線から、頭を出して
此方
(
こちら
)
を覗いている。赤い夕焼は次第に彼方に、追いやられてしまった。夜が、
漸々
(
だんだん
)
此方に歩いて来る。
日没の幻影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
空は
漸々
(
だんだん
)
暗くなって来た。雪がまた
降
(
ふっ
)
て来そうになった。私は銃を
担
(
かつ
)
いで家へ急いだ。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私は白い粉薬を
見詰
(
みつめ
)
ていると、
漸々
(
だんだん
)
気が変になって、意識が茫然として来て、この儘この粉薬を自分の口に入れはしまいかと疑った。——この時私は敢て顔を上げては見なかったが——。
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼方の
畦
(
あぜ
)
に
悄然
(
しょんぼり
)
と立ってる並木にすら、聞えなかったであろう。
漸々
(
だんだん
)
黒雲は頭の上を通り越した。薄明るかった南の方の空が、暗くなった。黒雲が空を掩い尽したのである。ただ闇の裡に風が
暴
(
あ
)
れた。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
漸
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
々
3画
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漸々的