鼻紙はながみ)” の例文
あのかみは、またすきなおして、おまえたちの使つかっているような鼻紙はながみや、もっとりっぱなかみになるのだし、てつくずは、かして、またいいてつになるのだ。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
廣小路ひろこうぢいづればくるまもあり、阿關おせき紙入かみいれより紙幣しへいいくらか取出とりいだして小菊こぎくかみにしほらしくつゝみて、ろくさんこれはまこと失禮しつれいなれど鼻紙はながみなりともつてくだされ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
引又所持しよぢ鼻紙はながみ入が殺害せつがい人の傍邊かたはらおちて在しと申が此儀は如何なるぞとたゞさるゝに九助は其儀は同日私し儀も金谷村の法會ほふゑせきへ參り居り混雜こんざつみぎり鼻紙入を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
トラ十へ、これをさしいれたいから頼みますと、にぎりずしが一おりと、鼻紙はながみじょうとをもってきたのです。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
どういふわけ梅廼屋うめのや塔婆たふばげたか、不審ふしんに思ひながら、矢立やたて紙入かみいれ鼻紙はながみ取出とりだして、戒名かいみやう俗名ぞくみやうみなうつしましたが、年号月日ねんがうぐわつぴ判然はつきりわかりませぬから、てら玄関げんくわんかゝつて
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼は懐中かいちゅう紙入かみいれを探って銭を出し、それを鼻紙はながみくるんだ。
竈の中の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
頭腦あたまなか此樣こんことにこしらへて一けんごとの格子かうし烟草たばこ無理むりどり鼻紙はながみ無心むしんちつたれつれを一ほまれ心得こゝろゑれば、堅氣かたぎいゑ相續息子そうぞくむすこ地廻ぢまわりと改名かいめいして
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
罪せずいはんや罪のうたがはしきは輕くしやうの疑しきは重くすと是賞を重んじ罪をかるくする事の理なり其方共が吟味ぎんみは定めて九助の衣類のすそそみたると鼻紙はながみ入の落てありしとを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
清吉せいきちは、上衣うわぎのポケットをさがしていたが、やぶれた鼻紙はながみといっしょに五せん白銅はくどうして
野菊の花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
用心口ようじんぐちしてお寢間ねまもどたまひしが再度ふたゝびつてお菓子戸棚くわしとだなのびすけつとのびんとりいだし、お鼻紙はながみうへけておしひねり、雪灯ぼんぼり片手かたてゑんいづれば天井てんぜうねづみがた/\とれて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
取調とりしらべ申べきはずなるに其儀是なきよし又死人しにんの傍邊に同人の鼻紙はながみ入が落てありし趣きなれども右の品は同日ひるの中九助儀金谷村かなやむらの法會の席にてうしなひし品なりと申然すれば同人にうらみある者是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)