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鳴物
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なりもの
ふりがな文庫
“
鳴物
(
なりもの
)” の例文
興行あるごとに
打囃
(
うちはや
)
す
鳴物
(
なりもの
)
の音
頼母
(
たのも
)
しく、野衾の恐れも薄らぐに、
行
(
ゆ
)
きて見れば、木戸の
賑
(
にぎわ
)
いさえあるを、内はいかにおもしろからむ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
向揚幕
(
むこうあげまく
)
より役者の花道に出でんとする時、大向う
立見
(
たちみ
)
の看客の掛声をなすは場内の空気を緊張せしむるに力ある事
唄
(
うた
)
鳴物
(
なりもの
)
に
優
(
まさ
)
る事あり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その事実に現われたことを申せば、
鳴物
(
なりもの
)
などの一条で、
三味線
(
しゃみせん
)
とか何とか
云
(
い
)
うものを、聞こうとも思わなければ何とも思わぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
文政末年の秋の日ももう
午
(
ひる
)
に近づいて、広小路の青物市の呼び声がやがて見世物やおででこ芝居の
鳴物
(
なりもの
)
に変ろうとする頃で
放し鰻
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そこでみんなは、
鳴物
(
なりもの
)
を持ってきました。かねはお寺でかりてきました。おそうしきの出る時刻を、知らせてまわるときにたたく、あのかねです。
和太郎さんと牛
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
▼ もっと見る
などとお増は、そこへ
土産物
(
みやげもの
)
の
最中
(
もなか
)
の袋を出しながら、訊ねた。そこからは、芝居の木の音や、
鳴物
(
なりもの
)
の音がよく聞えた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
こういう事態の起こっている間に、柳町の
掛
(
かけ
)
小屋では、今が木戸番の声や
鳴物
(
なりもの
)
の客呼びがたけなわのところであります。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世間一般が
鳴物
(
なりもの
)
を
停止
(
ちょうじ
)
しているのに、不謹慎にも聚楽の城中ではさま/″\な宴会を催し、
撿挍
(
けんぎょう
)
を召して平家を語らせたり、相撲を興行したりした。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
勝久の
初
(
はじめ
)
て招かれたのは
今戸
(
いまど
)
の別邸で、当日は
立三味線
(
たてさみせん
)
が勝秀、外に
脇二人
(
わきににん
)
、
立唄
(
たてうた
)
が勝久、外に脇唄二人、その他
鳴物
(
なりもの
)
連中で、
悉
(
ことごと
)
く女芸人であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
どろどろの
鳴物
(
なりもの
)
でそこらが暗くなりますと、
天狗
(
てんぐ
)
が幾つも出て来ます。皆羽根を附けていて、欄干を伝うのもありますし、宙返りなども鮮かにするのです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
鳴物
(
なりもの
)
が
賑
(
にぎ
)
やかに始まり、若い男と女太夫の二人が立って、猿若を踊りだした。甲斐はおくみに酌をさせながら、なんの屈託もなさそうに、ゆっくりと飲んでいた。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ところが
小田原
(
をだはら
)
から
熱海
(
あたみ
)
までの
人車鐵道
(
じんしやてつだう
)
に
此
(
この
)
喇叭がある。
不愉快
(
ふゆくわい
)
千萬な
此
(
この
)
交通機關
(
かうつうきくわん
)
に
此
(
この
)
鳴物
(
なりもの
)
が
附
(
つ
)
いてる
丈
(
だ
)
けで
如何
(
どう
)
か
興
(
きよう
)
を
助
(
たす
)
けて
居
(
ゐ
)
るとは
兼
(
かね
)
て
自分
(
じぶん
)
の
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
たところである。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「さア、皆んな見てくれ、こいつは七平の一世一代だ——おりん姐さん、
鳴物
(
なりもの
)
を頼むぜ」
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
やがて幕あきのしやぎりの
鳴物
(
なりもの
)
が耳に近く響いて来た。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
やがて
鳴物
(
なりもの
)
が鳴り出した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
どろどろと
鳴物
(
なりもの
)
聞えて、
四辺
(
あたり
)
暗くなりし、青白きものあり、
一条
(
ひとすじ
)
左の
方
(
かた
)
より
閃
(
ひらめ
)
きのぼりて、浅尾の頬を
掠
(
かす
)
めて頭上に鎌首を
擡
(
もた
)
げたるは
蛇
(
くちなわ
)
なり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、七日間の政務の停止を告げ、宴遊
鳴物
(
なりもの
)
は申すにおよばず、公私とも、一切を謹んで
哀悼
(
あいとう
)
すべし、ともつけ加えた。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なにしろ舞台がこんな所で、ふくろの鳴き声や
狸囃子
(
たぬきばやし
)
の
鳴物
(
なりもの
)
じゃあ、しんみりしたお芝居にゃあなりませんけれど、漫才の
掛合
(
かけあい
)
だと思えばいいでしょう。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
学海桜痴両
居士
(
こじ
)
が活歴劇流行の
頃
(
ころ
)
は
唄
(
うた
)
鳴物
(
なりもの
)
並に
床
(
ゆか
)
の浄瑠璃はしばしば無用のものとして退けられたり。彼らは江戸演劇を以て純粋の
科白劇
(
かはくげき
)
なりと
思為
(
しい
)
したるが如し。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「さア、皆んな見てくれ、こいつは
七平
(
しちへい
)
の一世一代だ——おりん
姐
(
ねえ
)
さん、
鳴物
(
なりもの
)
を頼むぜ」
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
云
(
い
)
う詩が出来ました。
之
(
これ
)
を見ると私が変人のようにあるが、実は
鳴物
(
なりもの
)
は
甚
(
はなは
)
だ好きで、女の子には娘にも孫にも琴、三味線を初め、又運動半分に
踊
(
おどり
)
の稽古もさせて老余唯一の楽みにして居ます。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
というのは、その道具立てや、出入りの
鳴物
(
なりもの
)
や
合方
(
あいかた
)
のたぐいが、わたしにはちっとも判らないからであった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ある日ハイドンは、町の
玩具屋
(
おもちゃや
)
へ行ってあらゆる
鳴物
(
なりもの
)
の玩具を求め、それを自分の楽員達に配って、新作の交響曲を演奏させた。楽員達が
仰天
(
ぎょうてん
)
したのも無理のないことであった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
「それはね、坊ちゃん、あの何ですッて。あなたのね、
母様
(
おっかさん
)
がおなくなり遊ばしたのを、御近所に居ながら
鳴物
(
なりもの
)
もいかがな訳だって、お嬢様が御遠慮を遊ばすんでございますよ。」
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
拍子木
(
ひょうしぎ
)
の
音
(
おと
)
と
幕明
(
まくあき
)
の
唄
(
うた
)
とに伴ひて
引幕
(
ひきまく
)
の波打ちつつあき行く瞬間の感覚、独吟の唄一トくさり
聴
(
き
)
きて役者の
花道
(
はなみち
)
へ
出
(
いづ
)
る時、あるひは
徐
(
おもむ
)
ろに
囃子
(
はやし
)
の
鳴物
(
なりもの
)
に送られて
動行
(
うごきゆ
)
く
廻舞台
(
まわりぶたい
)
を見送る時
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
嘉永六年七月には徳川
家慶
(
いえよし
)
が
薨去
(
こうきょ
)
したので、七月二十二日から五十日間の
鳴物
(
なりもの
)
停止
(
ちょうじ
)
を命ぜられた。
半七捕物帳:46 十五夜御用心
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『
前太平記
(
ぜんたいへいき
)
』を
殆
(
ほと
)
んどそのままに脚色したもので、やはり従来のチョボの
浄瑠璃
(
じょうるり
)
を用い、
合方
(
あいかた
)
や
鳴物
(
なりもの
)
を用い、
台詞
(
せりふ
)
も主に七五調を用い、その形式は従来のものと変わらないのであるが
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“鳴物”の解説
鳴物(なりもの)とは、一般的には打楽器を中心とした楽器一般を指すが、実態としてはその言葉を用いる主体によって意味が異なる。
(出典:Wikipedia)
鳴
常用漢字
小2
部首:⿃
14画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“鳴物”で始まる語句
鳴物停止
鳴物入
鳴物師