飼猫かひねこ)” の例文
いや、なにより、こんなときねこだが、飼猫かひねこなんどは、ごろ人間にんげんとともに臆病おくびやうで、ねこが(ねこ)につて、ぼやけてる。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みじかしとくらこゝろ如何いかばかり長閑のどけかるらんころ落花らくくわの三ぐわつじんちればぞさそあさあらしにには吹雪ふゞきのしろたへ流石さすがそでさむからでてふうらの麗朗うら/\とせしあまあがり露椽先ぬれゑんさき飼猫かひねこのたまかるきて首玉くびたましぼばなゆるものは侍女こしもとのお八重やへとてとし優子ゆうこに一おとれどおとらずけぬ愛敬あいけう片靨かたゑくぼれゆゑする目元めもとのしほの莞爾につこりとして
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此處こゝまでこらへたのは、飯屋めしや飼猫かひねこだ、とおもつたからで。う、ぢいさまのとゞかないのを見澄みすまして
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
團右衞門方だんゑもんかた飼猫かひねこをすが一ぴき、これははじめからたのであるが、元二げんじ邸内ていない奉公ほうこうをしてから以來いらい何處どこからたか、むく/\とふとつた黒毛くろげつや天鵝絨びろうどのやうなめすひと
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところが、わか御新造ごしんぞより、としとつた旦那だんな團右衞門だんゑもんはうが、いさゝ煩惱ぼんなうふくらゐ至極しごく猫好ねこずきで、ちつともかまはないで、おなじやうにくろよ、くろよ、と可愛かはいがるので何時いつともなしに飼猫かひねこ同樣どうやうつたとふ。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)