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めんてい
ふりがな文庫
“
面体
(
めんてい
)” の例文
旧字:
面體
だが、こいつは下手人であろうと、なかろうと、異様な
面体
(
めんてい
)
といい、
夜中
(
やちゅう
)
他人の邸内をさまよう曲者、取押さえない訳には行かぬ。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
……はて、
堂上人
(
どうじょうびと
)
のくせに、父王昇が
巷
(
ちまた
)
で
零落
(
れいらく
)
していた時代の姿を知っているのはいぶかしいと……拙者もじっと彼の
面体
(
めんてい
)
を見てやりました
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
喧嘩
(
けんか
)
でもしたか、
不埓
(
ふらち
)
な奴だ、出世前の大事の身体、殊に
面体
(
めんてい
)
に疵を受けているではないか、
私
(
わたくし
)
の
遺恨
(
いこん
)
で身体に疵を付けるなどとは不忠者め
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
勿論
(
もちろん
)
敵の
面体
(
めんてい
)
を見識らぬ我々は、お前に別れては困るに違ないが、もはや是非に及ばない。只運を天に任せて、
名告
(
なの
)
り合う日を待つより外はない。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
餞別
(
せんべつ
)
に貰った小判の百両を懐中に深く秘め、編笠に
面体
(
めんてい
)
を隠したまま、まず日頃信心する観音様の近くに陣取って心静かにうろ覚えのお経を
誦
(
ず
)
しながら
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
お土産の顔つきが、時の
間
(
ま
)
に、細長うなりました。なれども、
過失
(
あやまち
)
の功名、死んで変りました人相が、かえって、もとの
面体
(
めんてい
)
に戻りました。……姫君も御覧ぜい。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
着
(
つ
)
け
髭
(
ひげ
)
、ほくろ、
痣
(
あざ
)
と、いろいろに
面体
(
めんてい
)
を換えるのを面白がったが、或る晩、三味線堀の古着屋で、
藍地
(
あいじ
)
に大小あられの小紋を散らした女物の
袷
(
あわせ
)
が眼に附いてから
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
幸
(
さいわい
)
、その侍の
相方
(
あいかた
)
の
籤
(
くじ
)
を引いた楓は、
面体
(
めんてい
)
から持ち物まで、かなりはっきりした記憶を持っていた。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この
面体
(
めんてい
)
に生れもつかぬ大傷が出来た、それが憎いからこうしてくれるのだ、よく焼かれて往生しろ
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
わが
面体
(
めんてい
)
を後のかたみに残さんと、さきにその方を召し出し、頼家に似せたる
面
(
おもて
)
を作れと、絵姿までも
遣
(
つか
)
わしておいたるに、日を
経
(
ふ
)
るも
出来
(
しゅったい
)
せず、幾たびか延引を申し立てて
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
御本堂への御つとめ許し賜はらば格別の御
利益
(
りやく
)
たるべしと、念珠、殊勝
気
(
げ
)
に
爪繰
(
つまぐ
)
りて頼み入りしに
彼
(
か
)
の寺男、わが
面体
(
めんてい
)
の爛れたるをつく/″\見て、まことの非人とや思ひけむ
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「闇、これは何じゃ! うなだれて、髪のみ見えて、
面体
(
めんてい
)
はわからぬが、たしかに、死骸と見えるが——か、かようなものを何ゆえなれば! こりゃ、そのままには捨て置かぬぞ!」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「その金三郎と申す浪人の
面体
(
めんてい
)
は」
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
四辺
(
あたり
)
は
粛然
(
しん
)
として水を撒いたよう。お繼は
鉄切声
(
かなきりごえ
)
、親の敵と呼んで
振冠
(
ふりかぶ
)
ったなり、
面体
(
めんてい
)
も唇の色も変って来る。
然
(
そ
)
うなると女でも男でも変りは無いもので
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しばらくのあいだ、龍巻と
談合
(
だんごう
)
していた梅雪は、伊那丸の
面体
(
めんてい
)
を、しかと見さだめたうえで、約束の
褒美
(
ほうび
)
をわたそうといった。龍巻も心得て、うしろへ
怒鳴
(
どな
)
った。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう一つ、平次には不思議な手練があって、むつかしい捕物に出くわすと、二三間
飛退
(
とびすさ
)
って、腹巻から
鍋銭
(
なべせん
)
を取出し、それを曲者の
面体
(
めんてい
)
目がけてパッと
抛
(
ほう
)
り付けます。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おれの
面体
(
めんてい
)
にこの傷をつけたのは、あのこましゃくれの、お喋りの、
盲目
(
めくら
)
の小法師の
仕業
(
しわざ
)
だ! そこでいつもきまって、弁信というものを憎み呪うのが例になっている。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
平八郎の首は焼けふくらんで、肩に
埋
(
うづ
)
まつたやうになつてゐるのを、頭を抱へて引き上げて、
面体
(
めんてい
)
を見定めた。格之助は
創
(
きず
)
の様子で、父の手に掛かつて死んだものと察せられた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
何のそれほどご案じになることがござりましょう
火膨
(
ひぶく
)
れの痕が直りましたらやがて元のお姿に戻られますと
慰
(
なぐさ
)
めればこれほどの
大火傷
(
おおやけど
)
に
面体
(
めんてい
)
の変らぬはずがあろうかそのような気休めは聞きともないそれより顔を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「じぶんの首と
対面
(
たいめん
)
して話をすることはおもしろい。これ
忍剣
(
にんけん
)
の首! よくそちの
面体
(
めんてい
)
をわしに見せろ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前々
(
ぜん/″\
)
橋本の取巻で来ました男で、皆是が
見知
(
みしり
)
と成って這入って来たのを見ると、お瀧も松五郎も
面体
(
めんてい
)
土気色に成り、最早
遁
(
のが
)
れる
路
(
みち
)
なく、ぶる/\手先が慄え出しました。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お銀様が細目にして行った
行燈
(
あんどん
)
の傍へ行ってそれを
掻
(
か
)
き立てた時に、頭巾から洩れる
面体
(
めんてい
)
をうかがえば、それが神尾主膳であったことは、意外のようで意外でありますまい。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
確と
面体
(
めんてい
)
を認めてから静かに討たんければ成らぬ、殊に
汝
(
そち
)
は剣術が出来てもまだ年功がなし年も
往
(
い
)
かぬから其の
痩腕
(
やせうで
)
では
迚
(
とて
)
も又市には及ばぬ、
私
(
わし
)
も共に討たんでは成らぬ
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お
喋
(
しゃべ
)
りの坊主の、ロクでなしさえ無ければ、こんなことにはならなかったのだ、自分の
面体
(
めんてい
)
に生れもつかぬ刻印を打ち込んで、入墨者同様の身にしてしまったのは、あのこましゃくれた
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「この
面体
(
めんてい
)
は、よくご存じでございましょう」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
太「これ怪我を致すな、人違いを致すな、宜く心を静めて
面体
(
めんてい
)
を見ろ、人違い/\」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「こりゃこれ、男の
面体
(
めんてい
)
へ」
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「見やがれ、おれの
面体
(
めんてい
)
を」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
汝
(
なんじ
)
は文治郎が掛合に参った時
悪口
(
あっこう
)
を
吐
(
つ
)
き、能くも
面体
(
めんてい
)
へ疵を付けたな、
汝
(
おの
)
れ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
孝心な者じゃ、教えてやるが手前は親の
敵
(
かたき
)
を討つというが、敵の
面体
(
めんてい
)
を
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
明治八年九月四日午前一時頃我等別荘浅草区橋場町一丁目十三番地留守居の者共
夫々
(
それ/″\
)
取締致し打伏し居り候処河岸船付桟橋より強盗忍び入り
候
(
そろ
)
ものと相見え裏口より雨戸を押開け
面体
(
めんてい
)
を
匿
(
かく
)
し抜刀を
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
甲「うむ、此の者に貰ったに相違ないか、
面体
(
めんてい
)
を覚えて居るか」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
体
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“面”で始まる語句
面
面白
面影
面目
面持
面喰
面倒
面色
面長
面当