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豊頬
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ほうきょう
ふりがな文庫
“
豊頬
(
ほうきょう
)” の例文
旧字:
豐頬
ふっくら
豊頬
(
ほうきょう
)
な面だちであるが、やはり父義朝に似て、
長面
(
ながおもて
)
のほうであった。一体に源家の人々は、四
肢
(
し
)
逞
(
たくま
)
しく、
尖
(
とが
)
り骨で顔が長い。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
豊頬
(
ほうきょう
)
をもつ美少女のごとく、口辺には微笑すら浮べている。この差異はどこから来るのだろうか。思惟の対象に深浅があるわけではない。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
(
嬌態
(
きょうたい
)
の魂とキリストとの対話が。)——クリストフはそれに胸を悪くした。ダンスの足取りをしている
豊頬
(
ほうきょう
)
の天使を見るような気がした。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
女は尺に足らぬ
紅絹
(
もみ
)
の
衝立
(
ついたて
)
に、花よりも美くしき顔をかくす。常に
勝
(
まさ
)
る
豊頬
(
ほうきょう
)
の色は、
湧
(
わ
)
く血潮の
疾
(
と
)
く流るるか、あざやかなる絹のたすけか。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのころでは高い鼻と
豊頬
(
ほうきょう
)
とのもちぐされで、水鼻をたらして、水天宮様のお札を製造する内職よりほか仕事がなかった。
旧聞日本橋:07 テンコツさん一家
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
すると、つぎに、その萩乃の
表情
(
かお
)
に、急激な変化がきた。眼はうるみをおびて輝き、
豊頬
(
ほうきょう
)
に
紅
(
くれない
)
を
呈
(
てい
)
して、ホーッ! と、肩をすぼめて長い溜息。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
紅顔
豊頬
(
ほうきょう
)
、みずみずしかった切長の黒瞳も、毛を
毟
(
むし
)
られたシャモみたいな肌になり
顴骨
(
かんこつ
)
がとびだし、乾いた瞳に絶えず脅えた表情がよみとられた。
さようなら
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
濃い
眉
(
まゆ
)
、大きな目、デップリと太った、如何にも重役型の紳士であったが、いつも
艶々
(
つやつや
)
と赤らんでいる
豊頬
(
ほうきょう
)
も、今日は色を失っているように見えた。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この時
賊
(
ぞく
)
は
周章
(
しゅうしょう
)
の余り、有り合わせたる
鉄瓶
(
てつびん
)
を春琴の頭上に投げ付けて去りしかば、雪を
欺
(
あざむ
)
く
豊頬
(
ほうきょう
)
に熱湯の
余沫
(
よまつ
)
飛び散りて
口惜
(
くちお
)
しくも一点
火傷
(
やけど
)
の
痕
(
あと
)
を
留
(
とど
)
めぬ。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
絹よりもずっと目の荒い麻布の上に、濃い絵の具で、少し斜めに向いた
豊頬
(
ほうきょう
)
の美人が画かれている。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
李徴は
漸
(
ようや
)
く
焦躁
(
しょうそう
)
に駆られて来た。この
頃
(
ころ
)
からその
容貌
(
ようぼう
)
も
峭刻
(
しょうこく
)
となり、肉落ち骨
秀
(
ひい
)
で、眼光のみ
徒
(
いたず
)
らに
炯々
(
けいけい
)
として、
曾
(
かつ
)
て進士に
登第
(
とうだい
)
した頃の
豊頬
(
ほうきょう
)
の美少年の
俤
(
おもかげ
)
は、
何処
(
どこ
)
に求めようもない。
山月記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼女の涼しい目は眠られないふた晩に醜く
脹
(
は
)
れ
上
(
あ
)
がり、かわいい
靨
(
えくぼ
)
の宿った
豊頬
(
ほうきょう
)
はげっそりと
痩
(
や
)
せて、耳の上から崩れ落ちたひと握りの
縺毛
(
もつれげ
)
が、その
尖
(
とが
)
り
出
(
で
)
た
頬骨
(
ほおぼね
)
にはらりとかかっていた。
五階の窓:04 合作の四
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
着物の青も
豊頬
(
ほうきょう
)
の紅も昔よりもかえって新鮮なように思われるのであった。
青衣童女像
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
近頃出来の頭の小さい軽薄な地蔵に比すれば、頭が余程大きく、
曲眉
(
きょくび
)
豊頬
(
ほうきょう
)
ゆったりとした
柔和
(
にゅうわ
)
の
相好
(
そうごう
)
、少しも近代生活の
齷齪
(
あくせく
)
したさまがなく、大分ふるいものと見えて
日苔
(
ひごけ
)
が真白について居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
仏像の眼を思わせるようなその
慈眼
(
じがん
)
と、清潔であたたかい血の色を浮かしたその
豊頬
(
ほうきょう
)
とに、まず心をひきつけられ、さらに、
透徹
(
とうてつ
)
した理知と燃えるような情熱とによって語られるその
言々句々
(
げんげんくく
)
に
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
クリストフが牛飼いの少女の両の
豊頬
(
ほうきょう
)
で接吻したのは、単にロールヘンをばかりではなかった。自分のドイツ全体をであった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ゆったりと弧をひいた
眉
(
まゆ
)
、細長く水平に切れた半眼の
眼差
(
まなざし
)
、微笑していないが微笑しているようにみえる
豊頬
(
ほうきょう
)
、その優しい典雅な
尊貌
(
そんぼう
)
は無比である。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
わたくしはあなたのお顔を、
天平
(
てんぴょう
)
時代の
豊頬
(
ほうきょう
)
な、輪廓のただしい美に、近代的知識と、情熱に輝き
燃
(
もえ
)
る
瞳
(
ひとみ
)
を入れたようだとつねにもうしておりました。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
見るからに
業刀
(
わざもの
)
と思われ、送りの人々の眼をみはらせたが、より以上、その長剣がすこしも不似合でない彼の
優
(
すぐ
)
れた骨がらと、猩々緋の
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
なのと、色の白い
豊頬
(
ほうきょう
)
な
面
(
おもて
)
と
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
厚味のある
唇
(
くちびる
)
、唇の両脇で二段になった
豊頬
(
ほうきょう
)
、物いいたげにパッチリ開いた
二重瞼
(
ふたえまぶた
)
、その上に
大様
(
おおよう
)
に
頬笑
(
ほほえ
)
んでいる濃い
眉
(
まゆ
)
、そして何よりも不思議なのは、
羽二重
(
はぶたえ
)
で
紅綿
(
べにわた
)
を包んだ様に
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
顔から
手頸
(
てくび
)
、指の先に至るまでむっちりと脂肪分の行き
亘
(
わた
)
った色白な皮膚で、目鼻立ちの整った
豊頬
(
ほうきょう
)
の好男子であるけれども、肥えているために軽薄には見えず、年相応に
貫禄
(
かんろく
)
のついた紳士で
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
光沢
(
つや
)
のいい忠相の
豊頬
(
ほうきょう
)
にほほえみがみなぎる。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
薔薇
(
ばら
)
色の
豊頬
(
ほうきょう
)
をした金髪の少年で、頭髪を横の方できれいに分け、
唇
(
くちびる
)
のあたりには
産毛
(
うぶげ
)
の影が見えていた。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その
桟敷
(
さじき
)
の上には、
豊頬
(
ほうきょう
)
の天使が二人、足を踊らして、王冠を宙にささげていた。劇場のありさまはあたかも祭典のようだった。舞台は
樫
(
かし
)
の枝や花咲いた
月桂樹
(
げっけいじゅ
)
で飾られていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
“豊頬”の意味
《名詞》
肉付きがよくふっくらした美しい頬。
(出典:Wiktionary)
豊
常用漢字
小5
部首:⾖
13画
頬
部首:⾴
15画
“豊頬”で始まる語句
豊頬美肉
豊頬隆準
豊頬黒瞳