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諾
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うべな
ふりがな文庫
“
諾
(
うべな
)” の例文
父の世にありしきとき、伴はれてゆきし嬉しさ、なほ忘れざりしかば、しぶしぶ
諾
(
うべな
)
ひつるを、「かくてこそ
善
(
よ
)
き子なれ」とみな
誉
(
ほ
)
めつ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
己れ炊事を
親
(
みずか
)
らするの覚悟なくば
彼
(
か
)
の豪壮なる壮士の
輩
(
はい
)
のいかで
賤業
(
せんぎょう
)
を
諾
(
うべな
)
わん、私利私欲を
棄
(
す
)
ててこそ、
鬼神
(
きしん
)
をも服従せしむべきなりけれ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
世上貫一の
外
(
ほか
)
に愛する者無かりし宮は、その貫一と奔るを
諾
(
うべな
)
はずして、
僅
(
わづか
)
に一
瞥
(
べつ
)
の富の前に、百年の契を
蹂躙
(
ふみにじ
)
りて
吝
(
をし
)
まざりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
二刻
(
ふたとき
)
ほどの前であり、爾来説きつづけているのであったが、どうしたものか冬次郎はそれを
諾
(
うべな
)
おうとはしないのであった。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
生前に父親も親戚も
婿
(
むこ
)
をとるよう可なりお蘭を責めたものだが、こればかりはお蘭は
諾
(
うべな
)
わなかった。四郎が伝え聞いたらどんなに落胆するであろう。
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
姫。おん身の宣給ふところには、わが
諾
(
うべな
)
ひ難き節あれど、われは我心を
明
(
あか
)
すべき詞を求め得ず。人の心にも世のたゝずまひにも、げに神の御心は
顯
(
あらは
)
れたるべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
尼はいくぶん
躊躇
(
ちゅうちょ
)
しながらも、何時かその甥の申出を女に伝えることを
諾
(
うべな
)
わないわけにはいかなかった。
曠野
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
それでいて、また、子路ほど全身的に孔子に
凭
(
よ
)
り掛かっている者もないのである。どしどし問返すのは、心から
納得
(
なっとく
)
出来ないものを
表面
(
うわべ
)
だけ
諾
(
うべな
)
うことの出来ぬ性分だからだ。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
友達その白鼠は名のみ聞いて見た事なし、かつは物語の種なれば今宵祈って一目見せたまえというに、亭主
諾
(
うべな
)
い、その夜また燈を掲げ、各集り居るに案のごとく白鼠出で来る。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その夫
何某
(
なにがし
)
智慧
(
ちえ
)
ある人にて、欺きて蛇に約し、
汝
(
なんじ
)
巨鷲
(
おおわし
)
の頭
三個
(
みつ
)
を得て、それを我に渡しなば、妻をやらむとこたえしに、蛇はこれを
諾
(
うべな
)
いて鷲と戦い
亡失
(
ほろびう
)
せしということの候なり。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
漢土
(
もろこし
)
びとぢやとは言へ、心はまるでやまとのものと一つと思ふが、お身は
諾
(
うべな
)
ふかね。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
洗えの、なんのとは、申すまい。その代りせめて
今宵
(
こよい
)
だけでも、拙者が連れてまいろうとする所で語り明かさぬか? その位なことは、
諾
(
うべな
)
ってもいいだろう。いくらか、義理がある
筈
(
はず
)
だ
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
彼らはわれわれに感嘆して、神とまで
崇
(
あが
)
めるに至るだろう。なぜならば、われわれは彼らの先頭に立って、彼らの恐れている自由に甘んじて耐えて、彼らの上に君臨することを
諾
(
うべな
)
うからだ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
されども彼は進み出で禍難攘ふを
諾
(
うべな
)
はず、 450
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
生前に父親も
親戚
(
しんせき
)
も
婿
(
むこ
)
をとるようかなりお蘭を責めたものだが、こればかりはお蘭は
諾
(
うべな
)
わなかった。四郎が伝え聞いたらどんなに
落胆
(
らくたん
)
するであろう。
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「それにつきては
一条
(
ひとくだり
)
のもの
語
(
がたり
)
あり、われもこよひは何ゆゑか
寝
(
いね
)
られねば、起きて語り聞かせむ。」と
諾
(
うべな
)
ひぬ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
なお帰らねば
廃嫡
(
はいちゃく
)
せんなど、種々の難題を持ち出せしかど、財産のために我が
抱負
(
ほうふ
)
理想を
枉
(
ま
)
ぐべきに
非
(
あら
)
ずとて、彼は
諾
(
うべな
)
う
気色
(
けしき
)
だになければ、さしもの両親も
倦
(
あぐ
)
み果てて
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「あれか……あれはな……殿の息女だ! ……左内が……いかさま……
諾
(
うべな
)
わないはずだ。……」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
我はけふの謝肉祭に賣り盡して、今は珍しきものになりたる
菫
(
すみれ
)
の花束を貯へおきつ。かの歌女もし我心に
協
(
かな
)
はゞ、我はこれを
贄
(
にへ
)
にせんといふ。我は共に往かんことを
諾
(
うべな
)
ひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
因って迎え申したから時至れば一矢射たまえと乞う、
諾
(
うべな
)
いて楼に上って待つと敵の大蛇あまたの
眷属
(
けんぞく
)
を率いて出で来るを向う
様
(
ざま
)
に
鏑矢
(
かぶらや
)
にて口中に射入れ舌根を射切って喉下に射出す
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
アカイア諸軍汝らを亡すことを
諾
(
うべな
)
ふや?
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
これこそ日頃尋ね求める、我らにとっては大事の加担者! これを手放してよいものかと、礼を厚うして
請
(
こ
)
い求むれば、意外にもすぐ
諾
(
うべな
)
いくれて、共に木曽路へ行こうと云う。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
我は八日の期限にて、二十「スクヂイ」を借らんといひしに、翁は快く
諾
(
うべな
)
ひて粲然たる黄金を卓上に並べたり。されど少女は影だに見せざりき。我は三日過ぎて金返しに往きぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
長常という彫物師は類なき上手なり、円山主水応挙も絵の上手なりしが、智恩院宮諸太夫樫田
阿波守
(
あわのかみ
)
という人長常に
小柄
(
こづか
)
を彫りてよ、応挙の下絵を書かせんと
誂
(
あつら
)
えければ長常
諾
(
うべな
)
いたり。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
妾は当時の川上が
性行
(
せいこう
)
を
諒知
(
りょうち
)
し居たるを以て、まさかに
新駒
(
しんこま
)
や
家橘
(
かきつ
)
の
輩
(
はい
)
に引幕を贈ると同一には
視
(
み
)
らるることもあるまじとて、その事を
諾
(
うべな
)
いしに、この事を聞きたる同地の有志家連は
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
いっかなわたくしが直接に呼出すのを
諾
(
うべな
)
いませんでした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
といふに、げに故あることならむとおもひて
諾
(
うべな
)
ひぬ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
贖得べく一齋に心合はせて
諾
(
うべな
)
へり。
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
しかしどうやら公卿のほうでは、それを
諾
(
うべな
)
おうとはしないようであった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
商客
諾
(
うべな
)
えば彼ら大いに火を焚き
袒
(
かたぬ
)
ぎて
繞
(
めぐ
)
り坐り煙草を吸う。商客一同
鞭
(
むち
)
を執りてその周囲を踊り廻り、その肩と背を
劇
(
はげ
)
しく
笞
(
むち
)
うつも彼ら平気で
何処
(
どこ
)
に風吹くかという体で喫烟し、時に
徐
(
しず
)
かに談話す。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
こう思って江戸入りを
諾
(
うべな
)
ったのであった。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
諾
常用漢字
中学
部首:⾔
15画
“諾”を含む語句
諾威
承諾
許諾
諾否
諾々
唯々諾々
然諾
伊弉諾
快諾
伊弉諾尊
英諾威
否諾
諾威人
一諾
応諾
御承諾
甘諾
易々諾々
約諾
内諾
...