くわん)” の例文
新字:
哀れ、御身を落葉とくわんじ給ひて元の枝をば屋島とは見給ひけん、入りにし跡を何處とも知らせぬ濱千鳥、潮干しほひの磯に何を尋ねよとや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
が、甚だ正直でないもの、世渡りの道を知らないもの、道徳覿念のお粗末なのは、『斬取り強盜は武士の慣ひ』とくわんじたのも已むを得ないことでした。
つる千年せんねんかめ萬年まんねん人間にんげん常住じやうぢういつも月夜つきよこめめしならんをねがかりにも無常むじやうくわんずるなかれとは大福だいふく長者ちやうじやるべきひと肝心かんじん肝要かんえうかなめいしかたつてうごかぬところなりとか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
不思議ふしぎにもおな不幸ふかうかへすべくつくられたはゝであるとくわんじたときときならぬ呪咀のろひこゑみゝはたいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とよたゝふるもよし、夢の世とくわんずるもよし。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
しかせば我は胸中にくわんじ、しかして悟るべし
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
世の成りゆきをくわんずるか。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
なにはゞかりての御遠慮ごゑんりよぞやくわんずれば御恨おうらみも未練みれんなにもあらずお二かたさま首尾しびとゝのひしあかつきにはいさぎよく斯々かう/\して流石さすが貞操みさをたつるとだけきみさまにられなばそれ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
にや縁に從つて一念とみ事理じりを悟れども、曠劫くわうごふ習氣しふきは一朝一夕にきよむるに由なし。變相殊體へんさうしゆたいに身を苦しめて、有無流轉うむるてんくわんじても、猶ほ此世の悲哀にはなれ得ざるぞ是非もなき。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
小六ころく實際じつさいこんなようをするのを、内心ないしんではおほいに輕蔑けいべつしてゐた。ことに昨今さくこん自分じぶんむなくかれた境遇きやうぐうからして、此際このさい多少たせう自己じこ侮辱ぶじよくしてゐるかのくわんいだいて雜巾ざふきんにしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あゝ我汝を善くくわんず、汝に請ふは不可なりき
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)