トップ
>
肌襦袢
>
はだじゅばん
ふりがな文庫
“
肌襦袢
(
はだじゅばん
)” の例文
家主の婆あさんの
姪
(
めい
)
というのが、毎晩
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
一つになって来て、金井君の寝ている寝台の
縁
(
ふち
)
に腰を掛けて、三十分ずつ話をする。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
木綿の
晒
(
さらし
)
にもSFが入るので、あなたの
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
のために大なる買占めをして一反サラシを買いました(!)では又。かぜを引かないで下さい。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
……皿小鉢を洗うだけでも、いい加減な
水行
(
みずぎょう
)
の処へ持って来て、亭主の
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
から、
安達
(
あだち
)
ヶ原で血を
舐
(
な
)
めた
婆々
(
ばばあ
)
の
鼻拭
(
はなふき
)
の洗濯までさせられる。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
狭い路地などは通れませんような恐ろしい長い笄で、夏
絽
(
ろ
)
を着ましても皆
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
を着ませんで、深川の芸者ばかりは素肌へ着たのでございます。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
校長は洋服の上衣もチョッキもネクタイもすっかり取って汚れ目の見える
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
一つになって、さも心地のよさそうな様子であぐらをかいていたが
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
それから、無心ついでにお願いしますが、
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
や何か下着類の古いので不用なのがあったら、廻してくれませんか。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
朝早く自分たちは蘆のかげなる稽古場に衣服を脱ぎ捨て
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
のような短い水着一枚になって大川筋をば汐の流に
任
(
まか
)
して
上流
(
かみ
)
は
向島
(
むこうじま
)
下流
(
しも
)
は
佃
(
つくだ
)
のあたりまで泳いで行き
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
お高は、あした旅立つ龍造寺主計のために、
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
を何枚も縫ってやっているところであった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
武者羽織、小袖、下着、
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
など、それは久しく替えたこともないように
垢
(
あか
)
じみていた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
病人の
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
に祈祷を
献
(
ささ
)
げてもらった柴又だけが、脈があることを明言したのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そして、最後に、母が刺されたその夜に、身に付けていた、白い
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
に、手を触れなければならなかった。それには、所々血が
滲
(
にじ
)
んでいた。美奈子は、それに手を触れるのが恐ろしかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼は
晒
(
さら
)
し木綿の
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
と白いさるまたを見せ、死に装束だ、という意味のことを云ったそうである。襦袢もさるまたも既製品で、一と五〇くらい出せばどこでも売っている品物だそうであった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
チョッキの
隙間
(
すきま
)
から彼は彼女の
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
を見ていた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
トウン——と、足拍子を踏むと、膝を敷き、落した肩を左から
片膚
(
かたはだ
)
脱いだ、淡紅の薄い
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
に膚が透く。眉をひらき、瞳を澄まして、向直って
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
家の入り口には、
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
や腰巻や
浴衣
(
ゆかた
)
が
物干竿
(
ものほしざお
)
に干しつらねてある。郁治は清三とつれだって行った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「こら。こんなよ。触って御覧なさい。」と君江は細い赤襟をつけた
晒木綿
(
さらしもめん
)
の
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
をぬぎ、窓の敷居に掛けて風にさらすため、四ツ
匐
(
ば
)
いになって腕を
伸
(
のば
)
す。矢田はその形を眺めて
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そやったら
早
(
はよ
)
せんならんいうて大慌てに慌てて二人がかりで着せましたもんの、冬やったらどないなと
胡麻化
(
ごまか
)
せるのんですが、
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
の上に
明石
(
あかし
)
の
単衣
(
ひとえ
)
もん着てなさるだけやのんで
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼は
晒
(
さら
)
し木綿の
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
と白いさるまたを見せ、死に装束だ、という意味のことを云ったそうである。襦袢もさるまたも既製品で、一と五〇くらい出せばどこでも売っている品物だそうであった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
欄干に赤い
襟裏
(
えりうら
)
の附いた
著物
(
きもの
)
や
葡萄茶
(
えびちゃ
)
の
袴
(
はかま
)
が
曝
(
さら
)
してあることがある。赤い袖の
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
がしどけなく投げ掛けてあることもある。この衣類の
主
(
ぬし
)
が夕方には、はでな
湯帷子
(
ゆかた
)
を著て、
縁端
(
えんばな
)
で凉んでいる。
二人の友
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「ここのお神さんはおひろちゃんですよ。私は世話焼きに来ているだけなんです。いつまでこんなこともしていられないんです。働けるうちに神戸へ行って子供の
守
(
もり
)
でもしてやらなければ」そして彼女は
汚
(
よご
)
れた
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
を
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
納戸へ
通口
(
かよいぐち
)
らしい、
浅間
(
あさま
)
な柱に、
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
ばかりを着た、
胡麻塩頭
(
ごましおあたま
)
の亭主が、
売溜
(
うりだめ
)
の銭箱の
蓋
(
ふた
)
を
圧
(
おさ
)
えざまに、仰向けに
凭
(
もた
)
れて、あんぐりと口を開けた。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
毛氈
(
もうせん
)
に片膝のせて、「私も仮装をするんですわ。」令夫人といえども、
下町娘
(
したまちッこ
)
だから、お祭り気は、
頸脚
(
えりあし
)
に
幽
(
かすか
)
な、
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
ほどは
紅
(
くれない
)
に
膚
(
はだ
)
を
覗
(
のぞ
)
いた。……
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二階の十畳の広間に引見した
大人
(
たいじん
)
は、
風通小紋
(
ふうつうこもん
)
の
単衣
(
ひとえ
)
に、白の
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
、少々汚れ目が黄ばんだ……兄妹分の新夫人、お洲美さんの手が届かないようで、悪いけれども、新郎
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
娘は、
紅麻
(
べにあさ
)
の
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
の袖なしで、ほんの
手拭
(
てぬぐい
)
で包んだ
容子
(
ようす
)
に、雪のような胸をふっくりさして、浴衣の肌を脱いで、袖を
緋
(
ひ
)
の
扱帯
(
しごき
)
に挟んでいました。急いで来て暑かったんでしょう。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手拭の
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
から透通った、肩を落して、裏の三畳、濡縁の柱によっかかったのが、その姿ですから、くくりつけられでもしたように見えて、ぬの一重の膝の上に、
小児
(
こども
)
の絵入雑誌を拡げた
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
後
(
あと
)
に柳町の折とては、着て肌を
蔽
(
おお
)
うほどのものもなかった、
肌襦袢
(
はだじゅばん
)
とあれだけでは、
襖
(
ふすま
)
から透見も出来なかったことなど聞き、聞き……地蔵菩薩の白い豆府は布ばかり、渋黒い菎蒻は、ててらにして
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
肌
常用漢字
中学
部首:⾁
6画
襦
漢検1級
部首:⾐
19画
袢
漢検1級
部首:⾐
10画
“肌”で始まる語句
肌
肌理
肌着
肌身
肌寒
肌合
肌膚
肌目
肌脱
肌衣