美味びみ)” の例文
しかるにケーポンは施術後一年かあるいは十五か月位に至ってもっと美味びみな肉になるのでその点だけでも養鶏家には非常の利益がある。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そのうへ個人こじん經濟状態けいざいじやうたいよつ是非ぜひなく粗惡そあくしよく我慢がまんせねばならぬひともあり、是非ぜひなく過量くわりやう美味びみはねばならぬひともある。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
みやことほきよりみつぎたれば塩引しほびきならん。頭骨かしらのほね澄徹すきとほるところを氷頭ひづとてなます也。子をはらゝごといふ、これをしほにしたるも美味びみ也。
「うふふん。じ、実に美味びみなるものじゃ。珍中の珍、奇中の奇、あたかもハワイ海戦の如き味じゃ。うふふん」
「こういう霜腹気しもばらけの日に、泥鰌どじょう丸煮まるにかなんかで、熱燗をキュッとひっかけたら、さぞ美味びみなことであろう」
地中に直下する根は多肉たにくで、桔梗根ききょうこんと称し袪痰剤きょたんざいとなるので、したがってこの桔梗ききょうがたいせつな薬用植物の一つとなっている。春に芽出めだ新葉しんようなえは、食用として美味びみである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
旅行りよかうして旅宿やどいてこのがつかりするあぢまた特別とくべつなもので、「疲勞ひらう美味びみ」とでもはうか、しか自分じぶん場合ばあひはそんなどころではなくやまひ手傳てつだつてるのだからはなからいきねつ今更いまさらごとかん
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
『はゝゝゝゝ。ひどつたよ。しかしこれで當分たうぶん餓死うゑじにする氣遣きづかひはない。』とわたくしたゞちに小刀ナイフ取出とりだした。勿論もちろん沙魚ふかといふさかな左程さほど美味びみなものではないが、この塲合ばあひにはいくらつても喰足くひたらぬ心地こゝち
「君この芋を食って見たまえ。掘りたてですこぶる美味びみだ」
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「小僧! 美味びみか?」
泣虫小僧 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
亡兄ばうけい(京伝)いはく、それはよきおもひつきなりまづこゝろむべしとてにはか調てうじさせしに、いかにも美味びみなり。
ところで、この酒を一杯けんじよう。これはこの地方で申す火酒ウォッカの一種であって、特別醸造じょうぞうになるもの、すこぶる美味びみじゃ。飲むときは、銀製の深いさかずきで呑めといわれている。
亡兄ばうけい(京伝)いはく、それはよきおもひつきなりまづこゝろむべしとてにはか調てうじさせしに、いかにも美味びみなり。
「ああ余は遠く来た甲斐かいがあったよ。ほう、美味びみ満腹まんぷくだ。はて、何といわれたかね」
此村にかたあるゆゑ、水鳥かたしたひてきたり、山のくぼみとびきたり、かならず天の網にかゝる。大抵は𪃈あぢといふかもたる鳥也、美味びみなるゆゑ赤塚の冬至鳥とうじとりとてとほ称美しようびす。
塩沢しほざはにありしは四十余日、其地海に遠くして夏は海魚にとぼしく、江戸者の口に魚肉ぎよにくのぼらざりし事四十余日、小千谷をぢやにいたりてはじめて生鯛なまたひしよくせしに美味びみなりし事いふべからず。