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石町
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こくちょう
ふりがな文庫
“
石町
(
こくちょう
)” の例文
「でも、今鳴ったのは、もう
石町
(
こくちょう
)
の九ツ(十二時)です。老先生、ちょうど、きょうとあしたの境、今が、真夜なかでございます」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ことのついでにいってしまえば、もと西巻は、日本橋の
石町
(
こくちょう
)
、
銀町
(
しろがねちょう
)
、
伝馬町
(
てんまちょう
)
……その界隈を担いであるくぼてふりの
肴
(
さかな
)
やだった。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
「きのうの夕方、
石町
(
こくちょう
)
の暮れ六ツが丁度きこえる頃でしたろう」と、お竹はなにか怖い物でも見たように声をひそめて話した。
半七捕物帳:02 石灯籠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そう決心するとともに、彼はその日の昼過ぎから、ちょっと
石町
(
こくちょう
)
まで
伺候
(
しこう
)
してくると同宿の二人に断って、ぶらりと表へ出た。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
大勝の
御店
(
おたな
)
により、
石町
(
こくちょう
)
の御隠居の
本店
(
ほんだな
)
により、その他大勝
一族
(
いちまき
)
の軒を並べた店々により、あの辺の町の空気は捨吉に親しいものであった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
……神田川をへだてて、むかいは松平
越前守
(
えちぜんのかみ
)
の
上屋敷
(
かみやしき
)
。……西どなりは、
鞘町
(
さやまち
)
、東どなりは道路をへだてて
石町
(
こくちょう
)
……。
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
あれが神田川を乗越して東神田からお玉ヶ池、東は両国矢の倉辺まで、西は今川橋から
石町
(
こくちょう
)
、本町、室町まで、伝馬町の牢屋敷も、両芝居も、やっぱり残りませんでした。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
人目
(
ひとめ
)
を
避
(
さ
)
けるために、わざと
蓙巻
(
ござまき
)
を
深
(
ふか
)
く
垂
(
た
)
れた
医者駕籠
(
いしゃかご
)
に
乗
(
の
)
せて、
男衆
(
おとこしゅう
)
と
弟子
(
でし
)
の
二人
(
ふたり
)
だけが
付添
(
つきそ
)
ったまま、
菊之丞
(
きくのじょう
)
の
不随
(
ふずい
)
の
体
(
からだ
)
は、その
日
(
ひ
)
の
午近
(
ひるちか
)
くに、
石町
(
こくちょう
)
の
住居
(
すまい
)
に
運
(
はこ
)
ばれて
行
(
い
)
った。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
常磐橋
(
ときわばし
)
の東の、
石町
(
こくちょう
)
一丁目にあって、
御影堂
(
みかげどう
)
として知られた、扇をつくる家だった。
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
日本橋通りの
本町
(
ほんちょう
)
の角からと、
石町
(
こくちょう
)
から曲るのと、二本の大通りが浅草橋へむかって通っている。
現今
(
いま
)
は電車線路のあるもとの石町通りが
街
(
まち
)
の本線になっているが、
以前
(
もと
)
は反対だった。
旧聞日本橋:02 町の構成
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
石町
(
こくちょう
)
で、大光斎といわれる
大店
(
おおだな
)
の人形師、その家つき娘の、末起の母親おゆうはそりゃ美しかった。色白で、細面ですらりとした瘠せ形で、どこかに、人の母となっても
邪気
(
あどけ
)
なさが漂っていた。
方子と末起
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
彼をもっともひいきにして呉れる客に、日本橋
石町
(
こくちょう
)
の大きな乾物商で、阿波屋加平というひとがある。まだ狩野にいたじぶんから彼の画風を愛し、久堅町へ家をもってからもよく面倒をみて呉れた。
おれの女房
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
石町
(
こくちょう
)
、焼きが廻ったの。それが解らぬとは驚いたな」
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
二人の勇士は九月なかばの
陰
(
くも
)
った日に、
石町
(
こくちょう
)
の暮れ六ツの鐘を聞きながら、岩井町から遠くもない柳原堤へ出かけて行った。
半七捕物帳:43 柳原堤の女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それを知りながら、せっかく
石町
(
こくちょう
)
まで出かけて行って、何にも言わずに還ってきた自分はいったいどうしたというのだろう?
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
しばらく日本橋
石町
(
こくちょう
)
の御隠居さんの家に勤めていた頃は、朝も暗いうちに起き、夜が明けてから髪なぞを結ったためしは
殆
(
ほと
)
んどなかったという。
食堂
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
石町
(
こくちょう
)
の
蔦屋
(
つたや
)
という
書肆
(
ほんや
)
でございまする。おやしきの若旦那さまには、たびたび、御用命をいただいては、よく……」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
廂
(
ひさし
)
の
深
(
ふか
)
さがおいかぶさって、
雨
(
あめ
)
に
煙
(
けむ
)
った
家
(
いえ
)
の
中
(
なか
)
は、
蔵
(
くら
)
のように
手許
(
てもと
)
が
暗
(
くら
)
く、まだ
漸
(
ようや
)
く
石町
(
こくちょう
)
の八つの
鐘
(
かね
)
を
聞
(
き
)
いたばかりだというのに、あたりは
行燈
(
あんどん
)
がほしいくらい、
鼠色
(
ねずみいろ
)
にぼけていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
その手前にかけている小柄な男は、洋書問屋の
草分
(
くさわけ
)
、日本橋
石町
(
こくちょう
)
の長崎屋喜兵衛。
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「どこといって、べつに——以前は
石町
(
こくちょう
)
のほうにいたこともありますが」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
石町
(
こくちょう
)
の御隠居の家の整理を頼まれたのも、その縁故から大勝の主人に知られるように成って行ったのも、それからだ。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
悪い者に出会ったと思ったのであろう、見て知らぬ振りを装いながら、編笠の人は、
石町
(
こくちょう
)
の辻をついと曲って行く。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大抵二月の二十五日ごろに江戸に着いて、三月上旬に登城するのが習いで、オランダ人は日本橋
石町
(
こくちょう
)
三丁目の長崎屋源右衛門方に宿を取ることに決まっていました。
半七捕物帳:48 ズウフラ怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「何んでもいいから
石町
(
こくちょう
)
の
六
(
む
)
つを聞いたら、もう一度ここへ来てくんねえ。勝負にならねえといわれたんじゃ歌麿の
名折
(
なおれ
)
だ。飽くまでその陰女に会って、お前の敵を討たにゃならねえ」
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
一行は九月十七日に京都を立って、同月二十五日には無事江府に
下着
(
げちゃく
)
した。そして、
石町
(
こくちょう
)
の
旅人宿
(
りょじんやど
)
小山屋に、
江州
(
ごうしゅう
)
の豪家垣見左内公儀に訴訟の筋あって出府したと称して
逗留
(
とうりゅう
)
することになった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
編笠の姿は、どこ吹く風かという態度で、
石町
(
こくちょう
)
から裏道へそれ、やがて、呉服橋をこえて、丸の内へ入ってゆく。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
田辺のお
婆
(
ばあ
)
さんがよく
噂
(
うわさ
)
して捨吉に話し聞かせる
石町
(
こくちょう
)
の御隠居、一代の
豪奢
(
ごうしゃ
)
を
極
(
きわ
)
め尽したというあの年とった婦人が住む古い大きな商家のあるあたりにも近い。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
暗い
行燈
(
あんどう
)
の前で、次郎左衛門は黙って
石町
(
こくちょう
)
の
四
(
よ
)
つ(午後十時)の鐘を聴いていた。治六は旅の疲れでもう正体もなく寝入ってしまったらしいが、彼の眼は冴えていた。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
所
(
ところ
)
は
石町
(
こくちょう
)
の
鐘撞堂新道
(
かねつきどうしんみち
)
。
白紙
(
はくし
)
の
上
(
うえ
)
に、ぽつんと一
点
(
てん
)
、
桃色
(
ももいろ
)
の
絵
(
え
)
の
具
(
ぐ
)
を
垂
(
た
)
らしたように、
芝居
(
しばい
)
の
衣装
(
いしょう
)
をそのまま
付
(
つ
)
けて、すっきりたたずんだ
中村松江
(
なかむらしょうこう
)
の
頬
(
ほほ
)
は、
火桶
(
ひおけ
)
のほてりに
上気
(
じょうき
)
したのであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「いいえ、来ていません。このごろは
石町
(
こくちょう
)
の油屋へ仕事に行っているそうです」
半七捕物帳:43 柳原堤の女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
石町
(
こくちょう
)
の鐘つき堂をぐるぐる廻り、また追いつめられて、瀬戸物町の方へ馳けたが、折ふし通りかかった二人づれの同心に、番所に居合せた捕方の三、四人も加わり、逃げれば逃げるほど
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「その牢抜けのなかに
石町
(
こくちょう
)
の金蔵というのが居りますそうで……」
半七捕物帳:64 廻り灯籠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
石町
(
こくちょう
)
の八ツ(午後二時)の鐘が響いた。
半七捕物帳:03 勘平の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
弥助 もう
石町
(
こくちょう
)
の九つか。
勘平の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“石町”の解説
石町(こくまち)は、大阪府大阪市中央区の町名。現行行政地名は石町一丁目および石町二丁目。
(出典:Wikipedia)
石
常用漢字
小1
部首:⽯
5画
町
常用漢字
小1
部首:⽥
7画
“石町”で始まる語句
石町裏
石町河岸