源氏物語:26 常夏 (新字新仮名) / 紫式部(著)
数世紀の間不幸な火災を免れて来たわずかの建築物は、今なおその装飾の壮大華麗によって、人に畏敬の念をおこさせる力がある。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心、岡倉覚三(著)
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
力持のお勢さんも、この人にはなんだか畏敬が先に立つと見えて、お給仕の時も冗談が一ついえないで堅くなっている。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌 (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
東京八景:(苦難の或人に贈る) (新字新仮名) / 太宰治(著)
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記― (新字新仮名) / 中島敦(著)
ひとたび下からの畏敬なき馬上におかれては、鬼柴田の号令といえ、ついにうつろな空声に帰せざるを得ない。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
多少ともこれに似た畏敬の念を彼に抱かせた同時代人があるとすれば、それはコロレンコだろう。
チェーホフ序説:――一つの反措定として―― (新字新仮名) / 神西清(著)
先祖は失意の人の為に好い「隠れ家」を造って置いてくれた。彼は家附の支配人の手から、退屈な事業を受取ってみて、はじめて先祖の畏敬すべきことを知ったのである。
そして、朝日の光は、そこに職分を忘れた奉行と、心底を割った囚人とがともに全裸の人間として男と男の友愛、畏敬、信頼に一つにとけ合っているのを見いだしたのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
太田にとっては岡田良造は畏敬すべき存在であった。ただ、この言語に絶した苛酷な運命にさいなまれた人間の、心のほんとうの奥底は依然うかがい知るべくもないのであった。
明治文明史上に於ける福沢翁 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
その時、子規は、夏目先生の就職その他についていろいろ骨を折って運動をしたというような話をして聞かせた。実際子規と先生とは互いに畏敬し合った最も親しい交友であったと思われる。
親愛なるクリストフ君——わが畏敬せる友、と呼んでよろしいでしょうか。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
その頃物理の畏敬すべき先輩が恋愛事件で失脚されたことがあった。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出―― (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
藩内では家老であり、その時代には一種の志士として畏敬されていたのであったから、荘内藩の巡邏隊はそれを聞いて、やや意を安んずるところあって
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
マードック先生の『日本歴史』 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
傑作をうちながめる人たれか心に浮かぶ綿々たる無限の思いに、畏敬の念をおこさない者があろう。傑作はすべて、いかにも親しみあり、肝胆相照らしているではないか。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心、岡倉覚三(著)
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)