まをす)” の例文
何故なぜでもいけませぬ、わたしわがまゝゆゑまをすまいとおもときうしてもやでござんすとて、ついとつてゑんがはへいづるに、くもなきそらつきかげすゞしく
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ねふか(根深)ければかれず、いづみ(泉)たまあれば水たえずとまをすやうに、御信念ごしんねんのねのふかくいさぎよきたまの、心のうちにわたらせ給歟、たうとし、たうとし。恐々。
考へとつ追つ相談なし居たるに或日此家このや手代てだいきたり決して御催促をまをすわけには是なく候へども最早もはや暫時しばらくの御逗留ゆゑ御旅籠おはたご餘程よほどたまりしにより少々にても御拂ひ下さるべきや又は後藤樣の御歸りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はゞかりながら御鼻おんばなしたなが/\とえさせたまへば、そんじよ其處そこらにたいした御男子樣ごなんしさまとて、分厘ふんりん價値ねうちしと、つぢちて御慮外ごりよぐわいまをすもありけり。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たしとおもはゞかはごと芝居しばゐきもれかは苦情くぜうまをすべき、花見はなみ月見つきみ旦那だんなさまもよほてゝ、ともらぬるそでたのしみ、おかへりのおそとき何處どこまでも電話でんわをかけて、よるくるとも寐給ねたまはず
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まをすまいと思ふ時はどうしても嫌やでござんすとて、ついと立つてえんがはへいづるに、雲なき空の月かげ涼しく、見おろす町にからころと駒下駄こまげたの音さしてゆきかふ人のかげ分明あきらかなり、結城さんと呼ぶに
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おどりにみやうゆきといふ美形びけい唯今たゞいまのお座敷ざしきにておこめのなりますはと至極しごくあどけなきことまをすとも、もとは此所こゝ卷帶黨まきおびづれにてはながるたの内職ないしよくせしものなり、評判ひやうばん其頃そのころたかるもの日々ひゞうとければ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)