理想りそう)” の例文
畢竟ひつきやうにんいろで、けつして一りつにはかぬものでしよく本義ほんぎとか理想りそうとかをいてところ實際問題じつさいもんだいとしてはあまやくたぬ。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
「その心配しんぱい道理どうりである。が、おじいさんは、ほんとうにそうした理想りそう世界せかいっているのだろうか。」と、冒険好ぼうけんずきな、ケーがんがいいました。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
世界中せかいじゅう人々ひとびとがみなおたがいあいしあい、そして力強ちからづよきてゆくこと、それがかれ理想りそうであり、そしてかれはいつも平和へいわ自由じゆう民衆みんしゅうとの味方みかたであります。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
問題をかかげていちいち実際と、思想というか理想りそうというか、かつておのれの心の、向上したときに抱いた考えと引きくらべてみると、年るにしたがって
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
すなは人命じんめい損失そんしつ實際じつさい幾倍いくばいし、財産ざいさん損失そんしつ幾十倍いくじゆうばいにもおよんだであらう。じつにその村民そんみん行動こうどう震災しんさいたいしてわれ/\の理想りそうとするところ實行じつこうしたものといへる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
が、もともと竜宮りゅうぐう理想りそう別世界べっせかいなのであるから、つくろうとおもえばうみそこにでも、またそのほか何処どこにでもつくれる。そこが現世げんせつくりつけの世界せかいたいへんにちがてんじゃ……。
今日は夕日の富士が、画にかいた「理想りそう」の様に遠くて美しかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それと同がくぐらゐの足し前を母にせがんでやうや理想りそうに近い寫眞器しやしんきを買つたそれは可成かなあかるいアナスチグマツトレンズに百分の一べうまで利くオオトシヤツタア裝置そうちを持つプレモかたの二まいかけ寫眞器しやしんき
諭吉ゆきち一生いっしょうは、この理想りそうでつらぬかれました。
じいさんの御話おはなしからかんがえてましても、竜宮りゅうぐうはドウやらひとつ蜃気楼しんきろう乙姫様おとひめさま思召おぼしめしでかりそめにつくあげげられるひとつ理想りそう世界せかいらしくおもわれますのに、実地じっちあたってますと
いま、わすれていた記憶きおくがすっかりよみがええってきた。これから、もっと、もっと、きたへさしてゆくとわたしのいった理想りそう土地とちられるのだ。しかし、わたしちからは、もうそこまでゆくことができない。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
のどんなうつくしいおんなとも、それはくらべものにならないほど、理想りそうかおおもわれました。かれ空想くうそうするようなかおさがそうとしましたけれど、モデルになるようなおんなはなかなか見当みあたりませんでした。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)