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物識
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ものし
ふりがな文庫
“
物識
(
ものし
)” の例文
と
物識
(
ものし
)
り顔で言う男もあれば、いやいやそうではない、何事につけても敬神崇仏、これを忘れるなという深いお心、むかし
支那
(
しな
)
に
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
土を噛まない首だとて、こう粗末に扱われては、ちっとやそっとの祟りはあるだろうが、それについて
物識
(
ものし
)
りが附け加えて言う
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
或
物識
(
ものし
)
りの説では、この頃あの袋は随分大阪では流行しているのだそうだ、名も宴会袋とか何んとかいってこの目的のために作られてあって
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
あの驚く
可
(
べ
)
き
物識
(
ものし
)
り、故小栗虫太郎氏の小説の中にさえも、音楽上のことに関しては多少の誤は免れなかったようである。
探偵小説と音楽
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何しろ
新材料
(
はやみみ
)
と云う
所
(
とこ
)
で、近所の年寄や仲間に話して聞かせると辰公は
物識
(
ものし
)
りだと
尊
(
た
)
てられる。迚も
重宝
(
ちょうほう
)
な物だが、
生憎
(
あいにく
)
、今夜は余り
材料
(
たね
)
が無い。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
▼ もっと見る
毒殺して、十両ゴマ化そうとしたに違いないのですぜ。あいつはもとから
物識
(
ものし
)
りなのですからね。ネエ旦那そうでしょう、一ツ考えておくんなさい
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「学問なんて、要らん。腕と力とさえありゃ、龍になって、昇天することが出来る。
物識
(
ものし
)
り馬鹿ちゅうものもある。そんなものにはなりとうない」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
あの
物識
(
ものし
)
りのところへ
持
(
も
)
っていって、
見
(
み
)
てもらおうかしらん。どうせつまらないものでも、もともとだ、
万
(
まん
)
一いい
代物
(
しろもの
)
であったら
思
(
おも
)
わぬもうけものだ。
天下一品
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この人々は官民間で
夙
(
つと
)
に美術界のことに尽力していた人で、当時の
物識
(
ものし
)
りであり、先覚者でもあったのであります。
幕末維新懐古談:47 彫工会の成り立ちについて
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「坊やちゃん、元禄が濡れるから御よしなさい、ね」と姉が
洒落
(
しゃ
)
れた事を云う。その
癖
(
くせ
)
この姉はついこの間まで元禄と
双六
(
すごろく
)
とを間違えていた
物識
(
ものし
)
りである。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
無意味な先生は誰かと云えば、先生よりも
物識
(
ものし
)
りの生徒の先生と、涅槃大学校の印度哲学科の先生であった。
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
というのは、彼はなかなか
物識
(
ものし
)
りでね、それも非常に
偏
(
かたよ
)
った、風変りなことを、実によく調べているのだ。
百面相役者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
むかし、ある
物識
(
ものし
)
りが、
明盲
(
あきめくら
)
の男を戒めて、すべて広い世間の
交際
(
つきあひ
)
は、自分の一量見をがむしやらに立てようとしてはいけない、相身互ひの世の中だから、何事にも
茶話:08 大正十五(一九二六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
寧
(
むし
)
ろ地下街というべきところは、いつの間に造られ、一体どこをどう
匍
(
は
)
いまわっているのであるか、仮りに
物識
(
ものし
)
りを誇る東京市民の一人を、そこに連れこんだとしても
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そう何からなにまで誰でも知ってるんじゃあ僕も
物識
(
ものし
)
り顔をする機会がなくて困るんだが——ここにたった一つ、これは確かに僕が最初に発見したんだと揚言して
憚
(
はばか
)
らない
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
ところが漁夫達の中に一人の
物識
(
ものし
)
りがいまして、そういう沼に住むくらいの正覚坊だから、きっと石に
化
(
ば
)
けたのに違いない、と言い出しました。人々もなるほどと考えました。
正覚坊
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
すなわち目に
一丁字
(
いっていじ
)
なきこれ等の女性文人が、特に
物識
(
ものし
)
りとして尊ばれた根拠である。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ことによるとあのお艶という女は
眷属様
(
けんぞくさま
)
のお一人がかりに
人体
(
にんたい
)
をとってお
徒歩
(
しのび
)
に出られるのではあるまいかなどと
物識
(
ものし
)
り顔に並べ立てる者も出て来て、この説はかなりに有力になり
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
年寄りの
物識
(
ものし
)
り連中で、彼らはヴァン・タッセル老人をかこんでヴェランダのはしに坐り、
煙草
(
たばこ
)
をふかしながら昔ばなしをしたり、独立戦争の長い物語をのんびりとやったりしていた。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
仁右衛門は声の主が笠井の
四国猿奴
(
しこくざるめ
)
だと知るとかっとなった。笠井は農場一の
物識
(
ものし
)
りで
金持
(
まるもち
)
だ。それだけで
癇癪
(
かんしゃく
)
の種には十分だ。彼れはいきなり笠井に飛びかかって
胸倉
(
むなぐら
)
をひっつかんだ。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼は孫が自分より
物識
(
ものし
)
りになるのを喜んでいた。そしてまた、印刷所のインキにたいして尊敬をいだいていた。ところでこの新しい職業では、前の職業にいるときより仕事はいっそう骨が折れた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
と、
物識
(
ものし
)
り顔が、声を出して読んでいる。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
物識
(
ものし
)
り顔に世を渡る。
秋の小曲
(新字旧仮名)
/
漢那浪笛
(著)
だいに様、だいに様と言わないで、本名の山県大弐を呼びさえすれば、土地の
物識
(
ものし
)
りは知っているということもわかりました。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この
人
(
ひと
)
に
聞
(
き
)
けば、
役所
(
やくしょ
)
の
届
(
とど
)
けのことも、また
書画
(
しょが
)
の
鑑定
(
かんてい
)
も、ちょっとした
法律上
(
ほうりつじょう
)
のこともわかりましたので、
村
(
むら
)
の
中
(
うち
)
の
物識
(
ものし
)
りということになっていました。
天下一品
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この世の中に存在する人間の中で「
物識
(
ものし
)
りと称する人間ほどイヤなものはない」と私は考えているほどである。
随筆銭形平次:18 平次読む人読まぬ人――三人の政治家――
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ある時
物識
(
ものし
)
りのお客が訪ねて来て、爺さんを相手に、「寺子屋」の武部源蔵は、あの浄瑠璃の作者が、同じ時代に江戸に武部源内といつた、名高い寺子屋の師匠があつたので
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「おお、蟹寺博士か。なるほど、そいつはいい思いつきだ。先生は非常な
物識
(
ものし
)
りだから、きっとこの不思議をといて下さるだろう。ではすぐ博士に電話をかけて、おいでを願おう」
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
当時或る一部の
数奇者
(
すきしゃ
)
——単に数奇者といっては意を尽くせませんが、或る一部の学者
物識
(
ものし
)
りであって、日本の美術工芸を愛好する人たち——そういう人たちが、その頃の日本の絵画
幕末維新懐古談:45 竜池会の起ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そのうえ、彼は婦人たちにたいへんな
物識
(
ものし
)
りとして尊敬されていた。なにしろ彼は数冊の書物を読んでいたし、コットン・マザーの「ニューイングランド魔術史」には精通していたのだ。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
「それは貴殿の無学のせいだ。」と日頃の百右衛門の思い上った横着振りに対する
鬱憤
(
うっぷん
)
もあり、
噛
(
か
)
みつくような口調で言って、「とかく
生半可
(
なまはんか
)
の
物識
(
ものし
)
りに限って世に不思議なし、化物なし、 ...
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
なかにひとり
物識
(
ものし
)
りぶったのが
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
おれの仲間の
藪
(
やぶ
)
のところへ、なまじ
物識
(
ものし
)
りの奴が病気上りに、先生『
鮭
(
ふぐ
)
』を食べてよろしうございますか、と手紙で問い合わせて来たものだ。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この
詐欺師
(
さぎし
)
めが、
天下
(
てんか
)
一
品
(
ぴん
)
に、二つあって、たまるものか。おまえは、あの
物識
(
ものし
)
りとぐるになって、
俺
(
おれ
)
に、やくざ
物
(
もの
)
を
買
(
か
)
わせようとたくらんだにちがいない。
天下一品
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
従ってわが東京における諸外国大使の動きも非常に活溌であって、或る
物識
(
ものし
)
りの故老の言葉を借りると、欧洲大戦当時、ロンドンにおける外交戦の多彩活況も、これには遠くおよばないそうである。
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と一座の中の
物識
(
ものし
)
りが、勝麟太郎の家柄を洗い立てにかかったのが、ようやく話題の中心に移ろうとする時でありました。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「わたしが、そんなに
物識
(
ものし
)
りなのではございません、みんな白骨温泉の炉辺閑話の受売りでございますから、買いかぶらないように、お聞き下さいましよ」
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一行のうちの
物識
(
ものし
)
りが答えます。やがてこの本陣を出て右の猿橋へかかった時分に、そこで一行は、橋以外にまた奇体なものにぶっつかることになりました。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ところで——
物識
(
ものし
)
りの先生、この信州松本に、藤江正明老人という神主様のあることを、御存じですか?」
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さすがの
物識
(
ものし
)
りも苦笑をもってするほか、おやじに一矢酬ゆることができません。その苦衷を知ってか知らずにか、金茶金十郎が、傍らから差出口を試みて
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なるほど、この
老爺
(
おやじ
)
物識
(
ものし
)
りだ、色が黒いから「炭焼江戸ッ子」だなんて言ったのは誰だ! 上は法華経よりはじめて、江戸時代の裏表を手に取るように知っている。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
物識
(
ものし
)
りだからといって、昨日今日の戦いのことではなし、小西の紋がどうで、石田がどうで、安国寺がどうで、小早川がどうだということを、精細に心得ている者が無い。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
単に自分よりも
物識
(
ものし
)
りであるという意味で問いつ語りつしているのではない、何かこの問題に向って、圧倒的に、自己の断定を押しつけてしまわねば満足できない、そこで居合わせたお雪ちゃんを
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「曲亭の
燕石雑志
(
えんせきざっし
)
なんぞにありゃしないか、あれは
物識
(
ものし
)
りだから」
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「年寄の
物識
(
ものし
)
りに尋ねたらわかるでしょう」
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「なんのまあ、お前様ほどの
物識
(
ものし
)
りが」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あっぱれ立派な
物識
(
ものし
)
りめかして
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
識
常用漢字
小5
部首:⾔
19画
“物識”で始まる語句
物識顏
物識顔